チャールストン・ガゼット 2011年7月19日
C8 委員会
デュポンのPFOAでがん死上昇を発見と述べる


情報源:The Charleston Gazette, July 19, 2011
C8 panel says it has found cancer death rise at DuPont
By Ken Ward Jr.
http://wvgazette.com/News/201107190940

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2011年7月21日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_11/110719_Gazette_C8_panel_cancer_DuPont.html


【チャールストン ウェスト・バージニア】化学物質C8(PFOA)の潜在的な健康影響を調査している科学者3人委員会の最新の調査結果によれば、C8に曝露したデュポンのウッド・カウンティ工場の労働者等は、腎臓がん及びその他の腎臓疾病による死亡が多いらしい。

 C8科学委員会は、腎臓がんと良性の慢性腎臓疾病について、”低レベル曝露の労働者に比べて高レベル曝露の労働者の中に統計的に有意な死亡率の増加”を発見した。

 科学者等は、7月19日(火)に発表された報告書サマリーで、死亡の増加は、”腎臓はC8が見つかる体の一部なので、この化学物質への曝露が原因である可能性がある”と述べた。

 科学委員会は他の二つの報告書を同日、発表した。そのうちのひとつは、中部オハイオ・バレーの住人の血中のC8レベルの増加は、肝臓疾病の指標となる肝臓酵素の増加と関連することを発見した。もうひとつは、C8曝露と妊娠高血圧腎症(pre-eclampsia)、又は妊娠中の女性の糖尿病との潜在的な関連を発見した。

 これらの発見は、ウッド巡回判事J.D. ビーンが、科学者等はC8曝露と何らかの疾病との間に確からしい関連があるかどうかについて、全体の結論を出し、公式な結論を発表するのに時間がかかりすぎていると述べて叱責してから2ヶ月後に発表された。

 科学委員会メンバーは、デュポンと、パーカーズブルグの南にあるデュポンのワシントン・ワークス工場からのC8によって飲料水が汚染された約7万人の住人との間の、1億760万ドル(約140億円)の和解の主要な条項の実施のために働いている。

 委員会のメンバーである、 Kyle Steenland、David Savitz 及び Tony Fletcher は、C8について調査し、曝露と疾病との間に”確からしい関連性”があるかどうか決定するために指名されていた。もし、彼等が関連性があると結論を出せば、デュポンはこの地域の住人のための将来の医学的監視のために、最高2億3,500万ドル(約190億円)までの支払い責任がある。

 同委員会は、ピアレビューされた論文と別の報告書を発表して法廷に提出したが、それらはC8曝露が、高コレストロールや高血圧から、子どもの出生障害や学習障害まで様々な有害健康影響に関連していることを示していた。しかし現在までの所、委員らはそのような問題とC8曝露との間に”確からしい”関連を見つけたのか、あるいは無視するのかを示す報告書はまだ提出していない。

 C8は、パーフルオロオクタン酸又はPFOAとも呼ばれている。ウェスト・バージニアではデュポンは1950年代からテフロンやその他の焦げ付き防止製品、耐油性紙容器、防汚繊維製品などの製造プロセスで使用していた。

 デュポン及びその他の会社はその排出を削減し、この化学物質の自主的な段階的廃止に合意していたが、研究者等は可能性ある健康影響の増大やこの「化学物質の消費者製品中の存在、及び廃棄物処分からの汚染の継続についての懸念を抱いている。

 この新たな報告書は、C8曝露と妊娠高血圧腎症(pre-eclampsia)との関連を初めて特定した研究である。科学委員会のメンバーは、彼等が発見した関連性は、”小さいが、様々な曝露検証で明確に現れている”と述べた。

 しかし同報告書は、委員会の研究は、他の新生児集団を調査した他の科学者等による研究で特定されたC8曝露と出生時低体重との関連性は発見しなかったと述べた。

 新たな肝臓酵素研究では、科学委員会は、C8曝露との関連は、統計的に高度に有意であり、偶然によるものであるようには見えない”と述べた。

 科学委員会は、ワシントン・ワークスのC8曝露従業員中に見られる腎臓疾病による死亡に関する発見は統計的に有意であるが、それらは少数の対象に基づいており、全労働者についてこれらの疾病に全体的に過剰なリスクは存在しないと警告した。

 以前に、法廷の記録は、デュポンが2006年に、科学委員会が同工場労働者の調査を継続することを止めさせようとしたことを示していた。同年、デュポンは自前の調査で、同工場の労働者の中に、わずかであり、統計的には有意ではない腎臓がんの死亡率の上昇を見出したと報告した。

 科学的問題に関し、デュポンに助言する専門家の独立チームは、その研究についての同社のニュース声明の言い回しを、デュポンは不当にこの問題を軽視したと述べて、批判した。

 7月19日(火)に発表された声明の中で、デュポンの広報担当ジャネット・スミスは、科学委員会による追加作業が現在行なわれており、”原因と影響に関して何らかの結論が引き出される前に作業は完了しなくてはならない(作業が完了する前に結論を出すなの意)”と述べた。


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化学物質問題市民研究会
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