ETUI(欧州労連研究所)ニュース 2009年2月5日
電磁界の健康影響
欧州委員会の科学委員会(SCENIHR) 意見を採択


情報源:ETUI News, February 5, 2009
Health effects of electromagnetic fields: Commission's Scientific Committee adopts opinion
http://hesa.etui.org/uk/newsevents/newsfiche.asp?pk=1190

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2009年2月28日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_09/09_02/090205_etui_electromagnetic_fields.html


 2月3日、欧州委員会の新規及び新たに特定された健康リスクに関する科学委員会(SCENIHR)は、電磁界(EMF)の健康影響の可能性に関する意見を発表した。技術が急速に進歩し、また新たな科学的研究が発表されているので、欧州委員会は科学委員会に2007年3月21日発表の意見を更新するよう要請した。この更新では200以上の新たな科学的論文を検討したが、その結論は前回の意見とほとんど相違はなかった。
 現在の証拠に基づけば、主要な結論は、無線通信技術で使用される無線周波電磁界(radio frequency field) は、全体としてはヒト集団におけるがんの増大をもたらしそうにないということである。しかし、頻繁に携帯電話を使用する個人に対し、携帯電話への長期的な暴露(10年以上)ががんのリスクを増大させるかどうかを明確にすること、及び、子どもへの影響を検証するためにの更なる研究が必要であるとしている。

 欧州委員会は携帯電話と子どもの脳腫瘍との関係を調査するために、第7次研究枠組プログラムからの資金を約束した。例えば金属検知器や店舗の防犯装置などに使用される中間周波磁界の健康影響のデータはまだ欠如している。この分野の研究は、これらの製品への暴露が増えているなら重要であり、継続される必要がある。更新された意見は、高圧送電線における極低周波電磁界は子どもの白血病の要因となるかもしれないという2007年の意見を確認した。

 さらに、更新された意見は、アルツハイマー病との関係の可能性を示す二つの新たな疫学研究を特定した。これらは、深刻な問題であり、さらなる調査を実施する必要がある。これらの問題は重大であり、また多くの疑問に対する明確な証拠がなく、この問題に対する公衆の懸念が増大していることに留意して、欧州委員会は2月11、12日に電磁界(EMF)と健康に関するワークショップを開催する。このワークショップは、電磁界と健康に関する最新の科学的評価を討議し、建設的な政策対話を作り出すために、科学者、利害関係者、政策策定者が参集するものである。

 新規及び新たに特定された健康リスクに関する科学委員会(SCENIHR)の報告書は下記にて入手できる。
Health Effects of Exposure to EMF by Scientific Committee on Emerging and Newly Identified Health Risks (SCENIHR)
http://ec.europa.eu/health/ph_risk/committees/04_scenihr/docs/scenihr_o_022.pdf


化学物質問題市民研究会
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