C&EN 2008年11月3日
ダウ社 農薬禁止に異議
ケベック州の農薬2,4-D禁止は
科学的根拠なしとして告訴


情報源:Chemical & Engineering News, November 3, 2008
Dow Contests Pesticide Ban
Company accuses Quebec of prohibiting 2,4-D without scientific basis
by Glenn Hess
http://pubs.acs.org/cen/news/86/i44/8644notw3.html

掲載日:2008年11月7日
化学物質問題市民研究会
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_08/08_11/081103_C&EN_Dow_2-4-D.html


 ダウ・アグロサイエンス社は、ケベック州の住宅での除草剤使用禁止は北米自由貿易協定(NAFTA)(訳注1)違反であるとして異議を唱え、200万ドル(約2億円)の補償をカナダ政府に求めている。

 広葉雑草の除草に広く使用されている除草剤2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)のメーカである同社は、芝生や園芸用除草剤の禁止は、カナダ、アメリカ、メキシコの間の貿易協定(NAFTA)における投資者保護条項に抵触すると異議を唱えている。ケベック州は2年前に農薬禁止を制定した(訳注2)。

 ダウ社は、カナダは北米自由貿易協定(NAFTA)の第11章の義務に違反していると主張しているが、11章は会社が自分たちの投資を害すると信じる法律や規則を3国のうちのどの連邦政府でも制定すれば訴えることが許される。

 ダウ社は、ケベック州は2002年に、禁止のための科学的根拠なしに2,4-D に反対するキャンペーンを開始したと断言した(訳注3)。同社はヘルス・カナダ(カナダ健康省)のある部署が今年の初めに、2,4-Dはラベルの指示に従えば様々な芝生(awn, turf)及び農業用に安全に使うことができると結論付けたことに言及している。

 ”ケベック政府の措置は、非科学的な基準に基づく全面禁止に等しく、我々はこれはNAFTAのある条項に違反しているという見解である”とダウ・アグロサイエンス・カナダのCEOで社長であるジム・ウィスピンスキは述べている。

 同社は200万ドル(約2億円)以上の補償に加えて、法的費用及び特定できない損害の支払いを求めている。

 ”ダウ社のこの措置は、既得権益による民主的プロセスに対する露骨な攻撃である”とエンバイロンメンタル・ディフェンス・カナダのディレクターであるリック・スミスは述べた。”これはまた、ダウ社の対社会関係の観点に基づくばかげた動きである。。親たちは自分たちの子どもの身に農薬を撒き散らそうとする会社などやさしい目で見ることはないであろう”。

 農薬禁止はカナダで拡大している。6月にはオンタリオ州が、カナダで最も人口の多いこの州全土で来年の春から芝生及び園芸における美観のための農薬の販売と使用を禁じる法案を通過させた(訳注4)。


訳注1
北米自由貿易協定(NAFTA)の概要(NAFTA:North American Free Trade Agreement)/外務省

訳注2
January 17, 2006 PANNA: Activists Defend Quebec's Ban on 2,4-D

訳注3
Planet Ark 2001年6月29日 カナダ最高裁 芝生用農薬使用の禁止を認める

訳注4
David Suzuki Foundation June 18, 2008 New Law to Weed Out Lawn and Garden Pesticides in Ontario
David Suzuki Foundation June 18, 2008 Ontario adopts law to ban sale of lawn and garden pesticides



化学物質問題市民研究会
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