C&EN 2008年9月8日
カリフォルニア州 化学物質法案採択
連邦政府の TSCA への行動の前兆となるか


情報源:Chemical & Engineering News, September 8, 2008
California Chemical Legislation
State's new laws on chemicals could presage federal action
by Cheryl Hogue
http://pubs.acs.org/cen/news/86/i36/8636notw5.html

掲載日:2008年9月12日
化学物質問題市民研究会
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_08/08_09/08098_C&EN_California.html


 8月31日、カリフォルニア州議会は、よりグリーンな化学物質の使用を促進する二つの法案を採択したが、この動きは全米の化学物質メーカーに影響を与え、連邦政府の有害物質規正法の見直しの前兆となり得る。

 この法案は、消費者製品中の有害化合物の廃止と、もっと環境に優しい化学物質の開発を促進するために、州の新たな規制システムを立ち上げるものである。カリフォルニア州議会議員と州知事アーノルド・シュワルツェネッガー(共和党)は、化学産業界及び環境団体からの意見の調整に頭を絞っている。

 二つの法案(訳注1)のうちのひとつは、カリフォルニア州有害物質規制局に2011年までに消費者製品中に見出される化学物質を特定し、可能性ある規制の優先付けをし、評価するためのプロセスを確立するよう指示している。

 このカリオルニア州の法案が採択されたことは、次の米国議会が32年前に制定された連邦政府の有害物質規正法(TSCA)の見直しを行うチャンスとなると、ピュー・チャリタブル・トラスト(The Pew Charitable Trusts)の環境健康担当のアンディ・イグレジャスは述べている。

 このグリーンな化学物質法案に加えて、カリフォルニア州議会は、州内外の過フッ素化合物(PFCs)製造者に影響を与える措置を採択した(訳注2)。それは PFCs のいくつかの種類を州内で製造又は販売されている食品容器包装での使用を2010年から禁じるものである。 PFCs は、撥油性及び撥水性を持った食品包装を作るためにしばしば使用されている。
 この禁止は、パーフルオロオクタン酸(PFOA)、パーフルオロオクタンスルフォン酸(PFOS)、7以上のフッ素過炭素原子を含む PFOA と PFOS の同族体、及び環境中で PFOA 又は PFOSに分解する PFCs を対象としている。 PFOA と PFOS は生体蓄積し、健康問題と関連する。

 この法案の提出者であるカリフォルニア州上院議員エレン・コルベット(民主党)は、この法案が対象とする PFCs の”安全な代替品があり、責任ある会社は既に使用している時に”、その使用をを続けることを許す理由がないと述べている。 コルベット議員の側近は、ファーストフードレストランのチェーン店は、禁止される PFCs を含む食品容器包装の購入を停止したと C&EN に述べた。

 アメリカ化学協議会とカリフォルニア化学産業協議会はシュワルツェネッガー知事にPFC禁止を拒否するよう要請している。


訳注1
二つの法案とは下記のものである。
・AB 1879: 懸念ある化学物質の特定と規制(Identify and Regulate Chemicals of Concern)
・SB 509 : オンライン有害物質データベースの構築(Create an Online Hazard Database)
California Safe Consumer Products Bills (AB 1879 and SB 509) / Breast Cancer Fund

ちなみに、ビスフェノールAの哺乳瓶等での使用禁止を求める下記法案は8月29日に否決された。
・SB 1713:有害物質フリー幼児と赤ちゃん法(Toxin-Free Toddlers and Babies Act )
California Legislation / Breast Cancer Fund

訳注2
カリフォルニア州 化学物質規制を見直し(過フッ素化合物の禁止)
California to overhaul chemical regulations / Chemistry World09 September 2008



化学物質問題市民研究会
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