グリーンピース・ニュース 2006年8月25日
グリーンな電子機器を求めて
情報源:Greenpeace Press Center, 05 March 2008
Searching for Green Electronics
http://www.greenpeace.org/international/press/reports/searching-for-green-electronics

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
掲載日:2008年3月30日
このページへのリンク
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_08/08_03/080305_gp_Green_Electronics.html


 我々は、2007年中に市場で入手できる最もグリーンな電子機器を探し出すための任務についた。我々は、デスクトップPCとノートPC、携帯電話及び携帯端末(PDA)の主要ブランドを調査した。14社の37製品が我々の基準(訳注1)に照らして評価が行われた。我々の調査は、産業側は既にグリーン電子機器への道を歩み始めていることを明確に示しているが、その道は遠い。

 ”グリーンITは2007年の流行ことばとなった。エネルギー消費の削減、廃棄物削減、あるいは操業や製品のグリーン化のための強固な措置をどこかのIT会社が言わない日はほとんどなかったといってよい。よりグリーンな電子機器を求めるレースは産業界の中でめまぐるしく行われており、グリーンピースはこのレースの経過を我々の『グリーンな電子機器のためのガイド』の中で紹介している(訳注2)。我々はまた、会社の約束が本当に市場で入手できるグリーン製品を製造するという実際の行動によって実現されているかどうかを検証すべき時であると考えた。

 我々の調査は製品を我々の厳重な評価のために提供したいと望む会社の自主的な参加に基づいている。有害物質の使用、エネルギー効率、リサイクル可能性、アップグレード可能性、その他、可視性や製造中のエネルギー使用のような革新を評価して、我々は14社によって提出された”最もグリーン”なモデルをテストし、その結果を本報告書に発表した(訳注3)。

報告書ダウンロード


訳注1
『グリーンな電子機器のためのガイド』における評価基準

化学物質方針及び実施(5つの基準)
  1. 予防原則に基づいた化学物質方針
  2. 化学物質管理:例えば禁止/制限物質のリスト、基本方針の明確化などを通じた化学物質に関するサプライチェーン管理
  3. 塩ビ(PVC)の全ての使用の段階的廃止のタイムライン
  4. フッ素系難燃剤( BFR)の全ての使用の段階的廃止(EUのRoHS指令による禁止物質だけではない)のタイムライン
  5. PVC及びBFRを使用しない電子製品のモデルの上市
不用製品の回収とリサイクルのための製造者責任に関する方針と実施(4つの基準)
  1. 個々の(財政的)製造者責任の支援−製造者は自社ブランドの不用製品の回収と再使用/リサイクルによる寿命の尽きた自社製品の管理に資金を充当すること
  2. 製品が販売されているどこの国において、たとえ電子廃棄物に対する製造者責任を求める国内法がなくても自主的な回収/リサイクルを行うこと
  3. 製品の販売が行われている全ての国で回収とリサイクルに関し、顧客に対し個別に明確な情報を提供すること
  4. 収集しリサイクルされた廃電機電子機器(WEEE)の量に関して報告すること

訳注2
グリーンな電子機器のためのガイド
グリーンピースは、グリーンな電子機器のためのガイドを2006年以来、下記のように年に数回更新している。今回の2008年3月発表のものは第7版である。メーカーのランクはめまぐるしく変わっている。
Aug 06 | Dec 06 | Apr 07 | June 07 | Sept 07 | Dec 07

第1版 2006年8月25日発表 グリーンな電子機器のためのガイド(当会訳


訳注3
『グリーンな電子機器のためのガイド』におけるランク

(得点(10点満点)、メーカー 、評価概要)

詳細については、"Guide to Greener Electronics"を参照
http://www.greenpeace.org/international/campaigns/toxics/electronics/how-the-companies-line-up

7.7
サムソン(Samsung)
有害化学物質に対する方針はよい。回収の実施が不完全で減点。

7.7
東芝(Toshiba)
特に電子廃棄物及びリサイクル方針に改善が見られる。

7.3
ノキア(Nokia)
有害物質除去が強み。しかし回収実施の不備で減点。

7.3
ソニー(Sony)
有害な塩ビ(PVC)を使用しない製品が増加。リサイクリングと回収、特にアメリカ、に関すする報告が改善された。

7.3
デル(Dell)
前回の評価と変わらず。最悪の化学物質(塩ビとフッ素系難燃剤)を使用しない製品が市場にでていない。

7.3
レノボ(Lenovo)
前回の評価と変わらず。最悪の化学物質(塩ビとフッ素系難燃剤)を使用しない製品が市場にでていない。

6.7
ソニー・エリクソン(Sony Ericsson)
電子廃棄物方針と実施に関する減点で6順位後退。

6.7
LGE
リサイクル報告に関する減点で2順位後退。

6.7
アップル(Apple)
上昇傾向。新モデルは有害化学物質の使用を削減。回収プログラムは世界的である必要がある。

6.7
富士通・ジーメンンス(Fujitsu-Siemens)
順位後退。有害物質廃止のタイムライン及びリサイクルされた量のもっと良い報告が必要。

6.7
HP
最悪有害物質(塩ビとフッ素系難燃剤)の廃止タイムラインが全製品についてではない。回収の範囲の改善が必要。

6.3
モトローラ(Motorola)
回収実施について減点。ほとんどの有害物質の廃止のタイムラインがない。

5.7
エーサ(Acer)
順位後退。最悪有害物質(塩ビとフッ素系難燃剤)を含まない製品が市場に出ていない。回収の範囲の改善とリサイクルされた量のもっと良い報告が必要。
5.0
シャープ(Sharp)
有害化学物質排除について若干加点。回収方針と実施についてわずかな改善。

4.7
パナソニック(Panasonic)
ガイドに新規掲載。 有害化学物質排除について若干の加点。しかし回収方針と実施がお粗末。

4.7
マイクロソフト(Microsoft)
有害化学物質廃止へのタイムラインが改善(2010)されたが、しかし回収方針と実施がお粗末。 4.3
フィリップス(Philips)
有害化学物質廃止への期限が改善されたが電子廃棄物のリサイクルについてはゼロ点。

0.3
任天堂(Nintendo)
わずかな改善はあったが、はるかに遅れている。



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