ES&T 2006年6月21日
家庭用殺虫剤ピレスロイドが カリフォルニアの都市の小川を汚染 情報源:Environmental Science & Technology: Science News, June 21, 2006 Pyrethroids pollute urban runoff A common household insecticide is now found at toxic levels in urban California streams. http://pubs.acs.org/subscribe/journals/esthag-w/2006/jun/business/rr_pyrethroids.html 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2006年7月9日 このページへのリンク http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_06/06_06/060621_est_Pyrethroid.html 家庭でよく使われている殺虫剤が、今、カリフォルニアの都市の小川で有害なレベルで検出されている。 農業排水が流れ込む小川ので有害レベルで検出されているよく使われている殺虫剤の一群はまた、都市の小川を汚染している。新たな研究結果が、サンフランシスコ湾河口を調査している官民連携による都市農薬汚染防止プロジェクト(Urban Pesticide Pollution Prevention Project)によって本年4月に発表された。 現在、ダイアジノンやクロリピリホスのような有機リン系農薬の家庭での使用は廃止されているが、ピレスロイド系殺虫剤(訳注)は住宅用殺虫剤として市場で支配的になってきている。それらは殺虫剤の中でに最も一般的な成分である。販売と使用についてのある調査は、住宅所有者と専門の害虫駆除業者はシロアリを駆除するために住宅やビルの周囲でピレスロイド系殺虫剤をよく使用する。多くのピレスロイド系殺虫剤が小川の堆積物中で検出されるが、ビフェントリン が最も毒性に寄与しているということが分っている。 カリフォルニア州の調査結果はテネシー州の都市の小川で収集されたデータとは異なっており、そこではピレスロイド系はほとんど検出されず、体積物は有毒ではない。このことは土地計画の相違に関係するかもしれない。カリフォルニでは雨水は直接パイプを通じて小川に排出されるが、テネシーでは庭や敷地を通じて小川に流れ込むので、小川に排水が流れ込む前に農薬は泥のに結合する。 しかし、ヨコエビ類(amphipod)と呼ばれる小さな小エビに急性毒性を引き起こすレベルは、現在の分析的検出限界よりほんのわずか高いだけである。 訳注(参考資料) ![]() ピレスロイド (pyrethroid) とは、除虫菊に含まれる有効成分の総称で、今日では各種誘導体が合成され広く殺虫剤として利用されている。 ![]() ピレスロイドを含む農薬は安全であると、一般に宣伝されている。例えば、「除虫菊(シロバナムシヨケギク)の花に含まれる殺虫成分、ピレトリン類及びこれと化学構造のよく似たピレトリン類似の合成化合物の総称で、極めて微量で昆虫に対して速効性である一方、温血動物の体内では速やかに解毒されるため安全性が高い」といった説明がされている。 しかし、ピレスロイドは除虫菊から抽出されるピレトリンに似ているが、より有毒で、長い分解時間を持つように設計されている。 ピレスロイドを含む製品は家庭用のスプレーや蚊取り線香・タンス用の防虫剤など幅広く使用されており、また農業用にもピレスロイド単独、あるいはその他の農薬と混合して使われる。また、シロアリ防除にも使われる。 発達中の神経系(胚と胎児・幼児)は、神経細胞の増殖・移動・分化を活発に行っており、この時期にピレスロイドに被ばくさせると、被ばくが中断し、成熟した後にも構造や機能に悪影響が残る。 その他、成熟した神経系への影響、免疫系への影響、内分泌系への影響が知られており、発癌性や生殖・発達・行動などへの影響も懸念される。 |