2006年3月
安全な化粧品キャンペーン
あなたの化粧品は安全ですか?


情報源:The Campaign for Safe Cosmetics
Are Your Products Safe?
http://www.safecosmetics.org/your_health/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2006年3月31日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_06/06_03/campaign_safe_cosmetics.html

【訳者解説】
  1. アメリカでは、化粧品にフタル酸エステル類、アクリルアミド、酸化エチレンなど有害な化学物質が含まれているのに、食品医薬品化粧品法(FDCA)では十分に規制されていないとし、公衆健康、教育、宗教、労働、女性、環境、消費者の団体が連合して”安全な化粧品キャンペーン”を組織し、健康・美容関連の業界に対し有害化学物質の使用をやめ、より安全な代替品を使用するよう呼びかる運動を展開しています。すでに300社以上の健康・美容関連の会社から賛同署名を得ているとのことです。ここでは安全な化粧品キャンペーンのウェブサイトから、その活動を紹介します。

  2. この運動とは別にアメリカでは、現行の食品医薬品化粧品法(FDCA)の規制対象とならないナノ粒子を使用した化粧品が規制されることなく市場に出始めており、その安全性の問題が指摘されてます。
    顔にナノ粒子フラーレン/安全が未確認なのにナノ粒子C60を含む化粧品が市場に

  3. 日本では化粧品は薬事法で規制されますが、「化粧品は人体に対する作用が緩やかで、最近では重大な健康被害をもたらすおそれが少ない」という理由で、2001年に規制緩和が行われ、”欧米並み”になりました。日本でも当然ナノ粒子は規制の対象となっていません。
    日本における化粧品の規制の概要を参考までに末尾に記しました。

  4. 欧州連合(EU)では2003年1月、化粧品指令Cosmetics Directive (76/768/EEC) を改正し、発がん性、変異原性、又は生殖毒性があると知られている、又はその強い疑いがある化学物質の使用を禁止しました。

あなたの化粧品は安全ですか?


 ひとつの消費者製品中の化学物質だけでは害を及ぼさないかもしれない。しかし、残念ながら我々は毎日、化粧品やパーソナル・ケア用品を含んで、多くの異なる経路から産業化学物質に繰り返し暴露している。

 これらの化学物質の多くは我々の体内、母乳、そして子どもたちの中に入り込んでいる。これらの化学物質のあるものは、その発生が増加しているがん、先天性欠損症、その他の健康問題に関連している。フタル酸エステル類、アクリルアミド、酸化エチレンなどを含んで、様々な化粧品の中で見出される化学物質のあるものは、EPA 及びカリフォルニア州によって発ガン物質あるいは生殖毒性物質としてリストされている。

最近の健康調査報告書のいくつかを読む
よく使う化粧品が有害化学物質を含んでいるかどうかを見る

■アメリカの現行法は我々を守ってくれない

 連邦政府の法律の主要な抜け穴は、350億ドル(約4兆円)の化粧品産業が、テストも要求されず、健康影響の監視もなく、ラベル表示要求も不適切なままに、化学物質を制限もなくパーソナル・ケア製品に使うことを許していることである。

食品医薬品局(FDA)のウェブサイトから
 ”化粧品の販売を統制する規制要求は、他のFDA規制製品(訳注:医薬品、生物医薬品、医療器具、食品添加物)に適用されるものほど厳しくない。製造者は、色素及びいくつかの禁止物質以外は、どのような成分も原材料も使うことができ、政府のレビューや承認を受けることもなく製品を市場に出すことができる。”

化粧品に関するFDAの権限についてのもっと詳しい情報

■欧州の新しい法律は製品をもっと安全にする

 欧州連合は、アメリカに比べてもっと強化された保護的な化粧品の法律を持っている。2003年1月、欧州連合(EU)は、化粧品指令Cosmetics Directive (76/768/EEC) を改正し、発がん性、変異原性、又は生殖毒性があると知られている、又はその強い疑いがある化学物質の使用を禁止した。この改正は2004年9月に発効した。欧州連合はまた、人間の健康をもっとよく守るために全ての化学物質を規制する新たな法律を提案している(訳注:REACHのこと)。この提案で欧州連合は化学会社がその製品を市場に出す前に健康影響のテストを実施することを求めている。ブッシュ政権はこれらの保護的な法案の成立を阻止するために妨害をしてきた。

欧州連合の新たな化学物質規制案(REACH)に対してアメリカが行った干渉についての米下院議員ヘンリー・ワックスマンの詳しい報告書(2004年4月1日)

■安全な化粧品キャンペーンとは何か?

 安全な化粧品キャンペーンは化粧品会社に対し、有害な化学物質を使用せず、アメリカのどこでも、また彼らが製品を提供する市場のどこででも容易に入手できる安全な製品を作ることを約束する”安全な化粧品の盟約(Compact for Safe Cosmetics)”に署名するよう要請するものである。今日までに300社以上の化粧品会社が、この盟約に署名した。我々はまた、有害化学物質から我々の健康を守るためのもっと気の利いた法律を制定するよう要求している。

もっと安全な製品ともっと気の利いた法律のための我々の要求への賛同・署名のお願い
我々についての下詳しい情報

■もっと気の利いた法律のための州レベルの取り組み

 現在は、連邦政府による化粧品産業の監視は事実上、存在しないので、いくつかの州では化粧品中の有害化学物質を制限するために州自身で行動を起こしている。
詳細


日本における化粧品の規制の概要(訳注:参考用)

■薬事法
 化粧品を規制している法律は薬事法である。

■化粧品の定義(薬事法第2条第3項)
 薬事法で、化粧品とは「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、または皮膚もしくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他、これらに類似する方法で使用されることが目的とされているもので、人体に対する作用が緩和なもの」と規定されている。

■化粧品規制緩和
1. 背景
 1998年厚生省「今後の化粧品規制の在り方について」によれば
 ・化粧品は人体に対する作用が穏やかで、最近では重大な健康被害をもたらすおそれが少ない。
 ・欧米諸国では企業の自己責任において成分名を表示して供給。欧米の規制制度との整合化を図る。
2.2001年4月の規制緩和
(1)成分規制
 ・配合禁止・配合制限成分リスト(ネガティブリスト)方式とする
 ・防腐剤、紫外線吸収剤、タール色素については配合可能成分リスト(ポジティブリスト)方式とする
 ・種別毎の承認制は廃止
(2)許可制
 ・業態許可のみ存続させ、個別の品目許可は廃止
 ・品質管理については業界自主基準の充実等により対応
(3)全成分表示

■化粧品基準(薬事法42条第2項/厚生省告示第331号
 2001年4月から化粧品基準が定められ、それまでの「化粧品品質基準」と「化粧品原料基準」は廃止された。
  1. 粧品の原料は、それに含有される不純物等も含め、感染のおそれがある物を含む等その使用によって保健衛生上の危険を生じるおそれがある物であってはならない。
  2. 防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素以外の成分の配合の禁止
     化粧品は、医薬品の成分(添加剤としてのみ使用される成分を除く。)及び別表第1に掲げる物を配合してはならない。
  3. 防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素以外の成分の配合の制限
     化粧品は、別表第2の成分名の欄に掲げる物を配合する場合は、同表の100g中の最大配合量の欄に掲げる範囲内でなければならない。
  4. 防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素の配合の制限
     化粧品に配合される防腐剤(化粧品中の微生物の発育を抑制することを目的として化粧品に配合される物をいう。)は、別表第3に掲げる物でなければならない。
  5. 化粧品に配合される紫外線吸収剤(紫外線を特異的に吸収する物であって、紫外線による有害な影響から皮膚又は毛髪を保護することを目的として化粧品に配合されるものをいう。)は、別表第4に掲げる物でなければならない。
  6. 化粧品に配合されるタール色素については、医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令(昭和41年厚生省令第30号)第3条の規定を準用する。ただし、赤色219号及び黄色204号については、毛髪及び爪のみに使用される化粧品に限り、配合することができる。
別表第1(60品目)、別表第2別表第3 については、厚生省告示第331号を参照

■全成分表示(薬事法第61条)
 2001年3月までは、表示指定成分といってアレルギーを起こす恐れのある102成分の表示が定められていたが、2001年4月からは化粧品の規制緩和にともない、全成分表示が義務づけられた。
 企業は化粧品基準に違反しない限り、自己責任のもとに配合する成分を自由に選べる。



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