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カナダ・トロント市 農薬条例 Ｑ＆Ａ
情報源：Toronto/Environment/Pesticides Pesticide By-law Quesions and Answers 訳：安間 武 （化学物質問題市民研究会） http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日：2006年1月29日
農薬条例について 1. 農薬条例とは何か？ 農薬条例（PDFファイル16.5KB）は、農薬について高まる市民の懸念へのトロント市の対応である。この市条例はトロント市内における公共及び私有の土地での農薬の屋外使用を制限する。それは2004年4月1日に発効し、個人住宅所有者、借家人、芝生管理会社、ゴルフコース及び施設管理者を含む、屋外で農薬を使用する全ての人々に適用される。 備考：2005年9月1日から農薬を使用したある者には罰金が科せられる。 2. 農薬とは何か？ 農薬は、植物、昆虫を及び植物の病気を殺す製品である。芝生や庭に用いられる農薬は、植物を枯らす除草剤、昆虫を殺す殺虫剤、及び菌類を殺す殺菌剤を含む。 3. なぜ市議会は農薬条例を採択したのか？ この条例はトロント市に住む人々の健康、安全、安寧を守るために採択された。科学者らは農薬への曝露と生殖系及び神経系を含む健康問題との関連性を明らかにしている。子ども達と成人のある人々は特に農薬の影響に過敏である。農薬はまた、芝生と庭からドン川とハンバー川に洗い流され、我々の飲料水源であるオンタリオ湖に流れ込む。 4. 市条例は有効なのか？ どのように機能するのか？ 農薬条例は有効である。2004年4月1日に発効した。市は、市民に自然の芝生と庭に適応する時間を与えるために農薬条例の導入を段階的に行っている。公衆衛生監督官がこの市条例を執行している。現在、監督官が、個人住宅所有者、施設所有者を訪問したり芝生管理会社と会って全ての事実を調べ、疑わしい農薬使用についての苦情に対応している。 2005年9月1日をもって、新たな施行期間が始まった。個人住宅所有者及び借家人を除き農薬を使用したものは誰でも法律違反で罰金の対象となる。これには芝生管理会社、造園業者、商用地及び集合住宅管理者が含まれる。個人住宅所有者及び借家人はこの市条例に従わなくてはならないが、2007年9月1日までは罰金の対象とはならない。もしあなたが農薬を使用したり業者を使用するならこの新たな段階についてよく知っておく必要がある。 この市条例の完全実施は下記のように導入される。
5. もし農薬を使用しているのを見かけたらどうすればよいか？ もし、この市条例に違反して農薬が使用されているという疑いをあなたが持ったなら、あなたはトロント市公衆衛生局（416-338-7600）に連絡することができる。公衆衛生監督官が全ての苦情に対応するであろう。 できるだけ多くの情報を寄せていただきたい。会社名と電話番号、芝の様子に関する情報など少しでも多くの情報があれば、より早い時点で市当局は対応できる。 我々は誰の苦情でも受け付けるが、証言書に署名していただけると助かる。署名のある証言は、もし法廷で罰金について議論された場合、あるいは召喚状により法廷に持ち込まれた場合に重要である。市当局は、裁判に持ち込まれたり、その情報を開示するよう何らかの命令がない限り、あなたの名前を違反者や違反業者に開示することはない。 農薬を使用しない芝生や庭の手入れ 6. 農薬を使用せずにどのようにして雑草や昆虫を防除できるのか？ あなたは農薬使用を芝生や庭の健康を改善するための自然法に置き換えることができる。自然法として、あなたの土地を堆肥や肥料で肥やし、芝刈り機の高さを上げ（raising the height of your lawn mower）、芝の種をまき、手で雑草を取り、適当に水をまく。これらにより厚く、深く根を張った芝を作り、雑草のない、害虫に強い健康な庭にすることができる。自然法についてもっと知りたい人は、『農薬いらず・・・芝生と庭の自然な手入れガイド』を読んでいただきたい。 自然法を用いずに農薬の使用をやめる場合には、あなたの芝生と庭は調整するのに時間がかかり、雑草と害虫の問題が生ずるかもしれない。 自然法に従っても雑草や害虫の問題があるなら、市条例はいくつかの選択肢をあなたに提供する。農薬条例は、ある雑草や害虫に使用できるリスクの低い有害生物防除製品をリストしている（PDFファイル56.7KB）。 市条例は、有害生物の防除又は敷地内への侵入を防ぐために農薬の使用を許している。市は芝生の中の雑草や菌類疾病は侵入とは考えていない。芝生管理専門家又は他の植物健康管理専門家が相談に応じてくれるであろう。 7. 侵入（infestation）とは何か？ 市条例は、有害生物の防除又は敷地内への侵入を防ぐために農薬の使用を許している。市条例では侵入を”多くの有害生物の存在、又は重大な損害又は損傷の緊急又は潜在的リスクを及ぼす状態”として定義している。 市は芝生の中の雑草や一般的な菌類疾病は侵入とは考えていない。手で雑草を取り、適切に水を撒き、芝を刈り、堆肥と肥料をやり、芝の種を撒くことで、あなたの芝は厚く、深い根を張り、タンポポやその他の雑草を減らすであろう。 地虫やナンキン虫は、ほとんどの芝生にいる虫であるが、ある条件下で被害が出るレベルに達することがある。よく観察し定期的に数を勘定し、”侵入レベル”に達したかどうかを決めるために、よく観察し定期的に数を勘定する。（地虫やナンキン虫をどのように勘定するかについては質問8 を参照） 健康な芝生は、ダメージを受けることなく有害生物に耐えるので、侵入レベルは芝生と有害生物に依存する。下記の数は侵入レベルにあるかどうか決定するためのガイドラインとすることができる。
8. どのようにして地虫やナンキン虫を勘定するのか？ 訳省略 9. それでも芝生管理会社を使うことはできるのか？ できるが、芝生管理会社は農薬条例及びその他の条項及び連邦法を順守しなくてはならない。例えば、住宅地の芝生及び一般駐車場における除草剤制限はまだ適用される。農薬の使用が許される状況においては、警告表示を出し、散布後48時間は芝生にそれを残しておかなくてはならない。 芝生管理会社や造園業者と契約する前に、よく話し合うこと。あなたが質問することとして、会社が農薬条例を知っているかどうか、彼らのサービスは市条例に合致しているかどうかを確認することが含まれるかもしれない。市は、”芝生管理会社を選ぶ”というファクトシートを用意し、あなたがサービス会社と市条例について議論するのに役立つようにしている。 10. 農薬を使わずに樹木をどのように手入れしたらよいのか？ 健康な樹木は害虫や病気に強い。問題がないか頻繁に観察し、木の根元に堆肥やマルチを施し、水をやることを含む自然法は植物の健康を増進させるはずである。 市条例は、ある種のリスクの低い防除製品を許しており、それらのあるものは樹木によくある害虫や病気に適切かもしれない。常に製品のラベルをよく読むことが重要である。農薬使用はまた、地所への有害生物の侵入を防ぐために許されている。もし、有害生物又は病気の侵入が疑われるなら、樹木栽培家又は植物健康管理専門家に相談することを勧める。 11. 農薬を使わずに野菜や花をどのように手入れしたらばよいのか？ 健康な野菜や花は害虫や病気に強い。問題がないか頻繁に観察し、堆肥やマルチを施し、手で除草し、剪定し、適切に水をやることを含む自然法は、あなたの野菜や花の健康を増進させるはずである。園芸用の本が、どのようにすれば害虫に強くなるか、そして害虫を捕食する有益な生物をどの様に惹きつけるかを示すであろう。自然法で生き残れない植物はその土地に適さないということかもしれないので、その土地にもっと適した他の種の植物に替えることで問題を解決できるかもしれない。 市条例は、ある種のリスクの低い防除製品を許しており、それらのあるものは菜園や花によくある害虫や病気に適切かもしれない。常に製品のラベルをよく読むことが重要である。農薬使用はまた、地所への有害生物の侵入を防ぐために許されている。 12. プールに農薬を使用できるか？ できる。農薬条例は水泳プールや遊泳プールでの消毒に農薬の使用を許している。この目的のために用いられるアルジサイド（殺藻薬）が市条例で許されている。 市条例で許されている有害生物防除製品 13. 有害生物や雑草から逃れるためにお用いることができる製品はあるのか？ 市条例は、有害生物や雑草を防ぐためにある種のリスクの低い防除製品を許している。それらの製品は下記に示す”活性成分”か、それだけを含むものでなくてはならない。
これらの製品に関する情報はほとんどの園芸センター又は金物店で見つけることができ、また、市が作成しているファクトシート（PDFファイル56.7KB）を読むことができる。問題解決のために、そのような製品を使用する前に、芝生又は庭の手入れを、手による除草、適切な水やり、又は種まきなどの自然法で行ってみることを勧める。 14. 購入する製品は使用が許されてるかどうかどのようにして知ることができるのか？ 市条例は、使用することができる”活性成分”を指名しているが商品名を特定していない。製品を購入する時、正しい製品であるかどうか注意深くラベルを読む必要がある。”活性成分”は、正面ラベルの”保証”の次にリストされている。ある製品はひとつ以上の”活性成分”を表示しているかもしれない。市条例で指定している活性成分だけがリストされていることを確認しなくてはならない。 例えば、ある製品のラベルが、”保証：二酸化珪素･･･80％”と表示しているかもしれない。もし市条例で指定している活性成分以外の成分が表示されていなければ、この製品は使用できるであろう。 ラベルはどのような昆虫、雑草、あるいは他の有害生物を対象としているのか、そしてどのように使用すべきかを記述している。ラベルの指示に従うことが重要である。これらの製品に関する情報は園芸センター及び金物店で見つけることができ、また、市が作成しているファクトシート（PDFファイル56.7KB）を読むことができる。 15. 農薬を店で売ることが合法なら、使用することがなぜ合法ではないのか？ 農薬への曝露から生じるリスクがあるので、市はそれらの使用を制限することでトロント市民の健康、安全、及び安寧を守るために市条例を設けた。市条例は農薬の使用を規制しているが、農薬は禁止していない。農薬は、シロアリを防除する、あるいは健康への危険を守るなど市条例にリスとされているような状況で使用されるかもしれない。 一般的質問 16. どのように農薬を廃棄処分すればよいか？ 残った農薬をゴミとして捨てたり、排水溝や下水に流さないことが重要である。常に処分に関する情報のためのラベルを読まなくてはならない。市は農薬の収集と安全な処分のための集積所を運営している。残留した農薬は集積所又は Councillor Environment Dayに持って行くことができる。また、市の”有毒物質タクシー”があなたの家まで取りに行くかもしれない。詳細については、家庭有害廃棄物ホットライン 416-392-4330 に電話するか、市のウェブサイトを見ていただきたい。 17. 屋内ではまだ農薬を使用することはできるのか？ できる。この市条例は屋外での農薬使用だけを制限している。しかし、屋内農薬使用は、あなたや家族、ペットの健康を損ねるかも知れない。トロント市ウェブサイトには屋内有害生物を防除するための毒性のない方法に関する役に立つ情報がある。 18. ウェスト・ナイル・ウィルスを防ぐために農薬は使用されているのか？ 使用されている。市条例は、ウェスト・ナイル・ウィルスのような健康に有害なものを防除するための農薬使用を許している。ウェスト・ナイル・ウィルスの拡大を防ぐためのもっと大きな予防監視プログラムの一部として農薬が使われている。ウェスト・ナイル・ウィルスに関するもっと詳しい情報については、トロント市公衆衛生ウェブサイトをご覧いただきたい。 19. 農薬条例を持つ他の都市はあるのか？ ある。カナダ全体で、ハリファックスやモントリオールを含む70以上の市と町が農薬を制限する条例を持っている。カレドンやピーターバラのようないくつかのオンタリオ州自治体もそのような条例を持っている。 20. 近隣の人々に私は農薬を使用していないことを示したい。”農薬不使用の芝生”の標識はどこで手に入れることができるのか？ トロント市芝生改善支援ライン(416) 397-LAWN (5296)に電話すれば、無料の”農薬不使用の芝生”の標識、堆肥及び芝生管理に関するアドバイスを手に入れることができる。 関連記事： ES&T 2006年1月18日／カナダ最高裁 農薬禁止を支持 （当研究会訳） |
