EWG / Enviroblog April 06, 2005
米国立健康研究所(NIH)
科学者の利害抵触に厳重な措置


情報源:EWG / Enviroblog April 06, 2005
NIH Cracks Down on Scientists' Conflicts of Interest


Democratic Underground, Sun Apr-17-05
"NIH Cracks Down on Scientists' Conflicts of Interest"
http://www.democraticunderground.com/discuss/duboard.php?az=view_all&address=222x1150

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2005年4月13日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_05/05_04/05_04_EWG_NIH.html


 2005年3月7日から、米国立健康研究所(NIH)の職員は、医薬品会社から顧問料や株を受け取ることができない。科学者のグループが、この良識ある利害抵触規則を後退させるために”科学者会”という協会を作った。(ロサンゼル・スタイムズ 2005年3月3日)

 1995年に、米国立健康研究所(NIH)所長ハロルド E. バームスは、科学者が私企業から顧問料や株を受けることを禁ずる規則を緩和することで、科学者が私企業から利益を得ることを容易にした。”科学者会”によれば、約40%の米国立健康研究所(NIH)の職員が、この職務から生じる臨時収入を禁止するという最近の措置で金銭的な影響を受けるとしている。数千万ドル(数十億円)とも推定されるが、米国立健康研究所(NIH)は方針として科学者が収入源を外部に漏らさないことを推奨しているので、私企業から米国立健康研究所(NIH)に支払われる合計金額は不明のままである。(ロサンゼル・スタイムズ 2003年12月7日)

 2004年のアメリカ会計検査院報告(GAO)報告(訳注1)で示された最近の批判に答えて、米国立健康研究所(NIH)は初めて、医療研究における利害抵触を特定し回避するための公式文書を作成した。米国立健康研究所(NIH)は、利害抵触を引き起こすかもしれない研究に科学者が関与することを防止することをについて、やはり”自主管理”に頼っている。2005年1月に発表された新たな規則によれば、 同僚による評価・監視という制度(peer review system)は、申請のあった提案に対する検証者の評価をゆがめそうな明らかな利害抵触を特定するために、それぞれの検証者の専門職意識に依存している。
(訳注1)
アメリカ会計検査院の議会への報告
”連邦政府研究機関NIHとEPAは私企業との共同研究における利害抵触について改善する必要がある (2005年2月)”
United States Government Accountability Office
Report to Congressional Requesters
FEDERAL RESEARCH NIH and EPA Need to Improve Conflict of Interest Reviews for Research Arrangements with Private Sector Entities (February 2005)


 アメリカ政府機関の中で、目に余る利害抵触の問題と戦おうととしているのは米国立健康研究所(NIH)だけではない。米下院科学委員会のメンバーは最近、米環境保護局(EPA)が両親にそれぞれ900ドル(約10万円)を支払うことで貧しい子どもへの農薬の健康影響をテストしようとしたことを最近批判した。農薬製造企業らは、彼らのウェブサイトにこのことを引用することを交換条件に、この研究の一部を資金援助し、EPAに200万ドル(約2億円)を献金した。(訳注2)

 政府基金による科学と私企業との間の共謀を禁じる厳密な規則がなければ、公衆は政府主導の研究をよく調べ、”公平”であると想定される研究に誰が金を払ったかを検証せざるを得ない。公衆は、政府の研究が産業側の影響を受けないという権利を持っていないのか?
(投稿:シャノン・フリッツ−ペニマン)

(訳注2)

EWG 4月8日声明:
EPA 物議をかもした研究を中止
CONTACT: Lauren Sucher, EWG 202/667-6982

 本日、EPA長官に指名されているスティーブ・ジョンソンは、EPAは、子どもたちに農薬とその他の危険な化学物質を2年間にわたり曝露させビデオテープに取るために、その家族に970ドル(約10万円)支払うという研究を中止すると発表した。エンバイロンメンタル・ワーキング・グループ(EWG)の広報担当副代表マイク・ケイシーは次のように述べた。

 ”農薬産業からの金を低所得者に与え、彼らの子どもたちを農薬に曝露させるというアイデアは完全に破綻した。EPAはこのような提案を二度と受け入れてはならないし、諮問委員会もこのようなことを考えてはならない。我々は、スティーブ・ジョンソンは賢明であり、良識がそれを止めさせたことを喜んでいる。”

(訳注3)
Environment NEWS SERVICE, February 8, 2005
EPA Avoids Regulation of Chemical Experiments on Humans
(EPA 化学物質の曝露人体実験を規制せず)


化学物質問題市民研究会
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