アムネスティ・インターナショナル 2004年12月
『不正義の暗雲:ボパール災害から20年』 の紹介

情報源:Amnesty International / Economic globalization and human rights
Clouds of Injustice: Bhopal disaster 20 Years on
http://web.amnesty.org/pages/ec-bhopal-eng

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2004年12月14日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_04/04_12/04_12_14_amnesty.html


ムンバイのダウ本社の外で抗議する人々。
ボパール災害記念2002年12月のデモで、
ボパールの災害跡地の浄化を要求。
Photo. Maude Dorr
”数千の死体があった。あたりは死体だらけであった。
人々はいたる所で死んでいった。”

モハマド・オワイス、ハミディア病院ボランティア(ボパール、インド)

 7,000人以上の人々が、1984年12月2/3日の夜、インド、ボパールの化学工場の猛毒ガス漏れ事故が起きたその日のうちに死んだ。その後20年間、有毒物質に曝露した結果、さらに15,000人が死亡し、数千人が治療も十分でないままに慢性的でひどく衰弱する病に苦しんでいる。
 その災害は全世界に衝撃を与え、人間と地域の環境を打ちのめす産業災害に対する政府と企業の責任について疑問を提起した。
 20年を経過した今でも、被災者たちは、まさに補償を、適切な医療支援と治療を、そして社会的・経済的に復帰できることを待っている。工場跡地は未だに浄化が行われていない。その結果、有毒廃棄物が環境を汚染し続け、周辺地域の人々が依存している水を汚染している。

”我々はきれいな水を得るために2キロも歩かなくてはならない。私の健康状態は非常に悪いので、そこまで水を汲みに行くことができない。”
ボパールの工場近くのアタル・アユブ・ナガールの住人ハシナ・バイさんは、この18年間、彼女の家の近くの手押しポンプからの水を飲んでいる。

 被災者たちの正義のための断固とした要求にもかかわらず、彼らは妥当な補償と適切でタイムリーな医療及び社会復帰のための支援を拒絶されてきた。ボパールの農薬工場の当時の所有者であるユニオン・カーバイド(UCC)と、その後2001年にUCCを合併したダウ・ケミカルは、猛毒ガス漏れ事故とその結果についての全ての責任を公的に拒絶している。驚くべきことに、誰も責任をとろうとしない。

 ボパールの事故は、いかに企業が人権に対する責任を言い逃れるかを示し、そして企業に直接適用することができる普遍的な人権の枠組みを確立することの必要性を強調している。政府には、危険な技術の採用などによる企業の行為によって危険に曝された地域住民の人権を守る一義的な責任がある。しかし、企業の影響力と重要性が増大しているので、国際人権基準の枠組みの中に企業も参加すべきである。

報告書 『不正義の暗雲:ボパール災害から20年』(PDF) の中で、アムネスティ・インターナショナルは:
  • 世界中の人々に対し、ダウ社とインド政府に災害現場を浄化し被害を受けた地域住民を補償するよう要求して圧力をかけるよう主張している。
  • インド政府に対し、猛毒ガス漏れ事故と汚染によって引き起こされた健康と環境に対するダメージを早急に評価するよう要求している。
  • 国連の多国籍企業の人権擁護を求める規範(UN Norms for Business)に基づき、企業のための世界人権の枠組みを実施するよう勧告している。被災者に対する企業の説明責任と補償を確保するために、そのような規範が実施され、それらが履行される仕組みが実行されなくてはならない。
ダウ・ケミカルは浄化の責任を果たせ!−−行動を起こすためにここをクリック


ボパール関連のその他の情報

■報告書:Clouds Of Injustice: Bhopal 20 years on (ASA 20/015/2004, PDF)

■ビデオ:"Twenty Years without Justice: The Bhopal Chemical Disaster" by Sanford Lewis
このビデオはボパールの正義のための国際キャンペーンのために制作されたものであり、必ずしもアムネスティ・インターナショナルの見解や意見を反映したものではない。

■はがき:浄化要求のはがきを出そう

■絵はがき:AI UK Greeting Cards Campaign - Bhopal activists

■記事:The Wire magazine

■プレス・リリース:AI Press Release India: Bhopal - human rights in toxic shock ASA 20/107/2004


External websites:

■Read BBC features on Bhopal

■Watch the BBC documentary "One Night in Bhopal"

■Listen to AI Secretary General on BBC World Service Analysis Program

■Listen to a BBC Radio 5 report by Paul Vickers on Bhopal

■国際キャンペーン:International Campaign for Justice in Bhopal

The information contained on these sites is not controlled by Amnesty International. Links to these sites do not in any way imply Amnesty International supports either the organizations listed, or views presented.


化学物質問題市民研究会
トップページに戻る