EPA、殺虫剤ダイアジノンの屋内用と芝生及び園芸用の
期限付き使用中止を発表

情報源:米環境保護局(EPA)プレスリリース 12/05/00
FOR RELEASE: TUESDAY, DEC. 5, 2000
EPA ANNOUNCES ELIMINATION OF ALL INDOOR USES OF WIDELY-USED PESTICIDE DIAZINON;
BEGINS PHASE-OUT OF LAWN AND GARDEN USES


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2000年12月9日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_00/00_12/00_12_05_epa.html


 本日EPAは、アメリカで最も広く使用されている殺虫剤の一つであるダイアジノンについて、屋内用は2001年3月まで、芝生及び園芸用は2003年12月までの期限付きで、使用を禁止とすると発表した。

 「クリントン−ゴア政権は、人間の健康と環境、特に子ども達に危険を及ぼす可能性のある農薬類を排除するよう積極的に取り組んできた。本日発表した措置は、全てのアメリカ人が有害な農薬に曝されることがないようにするための主要な施策の一つである」とEPA長官キャロル・ブラウナーは述べた。
 さらにブラウナー長官は「この措置は、家庭内やその周辺からほとんどの有機燐酸エステル系殺虫剤をなくものであり、これにより消費者はより安全な害虫防除の方法を採用するようになるであろう」と述べた。

 ダイアジノンは家庭の芝生用殺虫剤として最も広く使用されており、また家庭や園芸用として使用されている殺虫剤の成分である。昆虫類や地虫類の駆除に使用されている。
 本日の措置は殺虫剤メーカーであるシンジェンタ(Syngenta)とマクテシム・アガン(Makhteshim Agan)との合意によるもので、これにより、年間使用される1,100万ポンド(約5,000トン)の殺虫剤の75%がなくなることになる。

 EPAのこの措置は、政府が厳しい農薬規制を新しく設けたことを受けて、クリントン大統領が1996年に署名した食品衛生保護条例(Food Quality Protection Act)に基づくものである。
 それ以来EPAは、子ども達の健康を脅かす大きな危険性のある多くの有機燐酸エステル系殺虫剤の検証を行ってきた。例えば1999年8月には、EPAは、食品中の残留農薬から子ども達を守るためにメチルパラチオンとアジホスメチルに対する規制を発表した。EPAは、ほとんど全ての住宅に使用されているクロルピリフォスまたはダースバン(Dursban)のメーカーと2000年12月までにその製造を中止することで合意した。
 家庭や芝生及び園芸に用いられるダイアジノンは、規制されずに残っていた最後の有機燐酸エステル系殺虫剤である。

 合意書では、この殺虫剤の中止スケジュールを下記の様に定めた。

  • 屋内家庭用については、2001年3月に登録を抹消する。2002年12月までに小売り販売を中止する。
  • 全ての芝生用及び園芸用については、2003年6月までに製造を中止する。2003年8月までに全ての小売り販売と流通を中止する。さらにメーカーは、2004年までに製品を完全に市場から回収する。
  • さらに、段階的中止の一環としてメーカーは製造量を削減する。2002年は25%、2003年には50%、製造量を削減する。
  • また、食糧用穀物への20余りの様々な使用について、中止するための手続きに着手する。

 有機燐酸エステルは神経系に影響を与える。ダイアジノンによる影響は量にもよるが、過度に曝露すると、吐き気、頭痛、おう吐、下痢、衰弱、等の症状が現れる。
 本日の措置は環境に対する重要な施策でもある。ダイアジノンを芝生に使用すると野鳥に影響を与え、またダイアジノンは今日、大気や雨、飲料水、河川で最も多く検出される農薬の一つである。

 ラベルに表示されている指示と注意に従えば、ダイアジノンを購入し、使用することは出来る。消費者は必ずラベルを読み、その指示と注意に従うことが必要である。もし消費者がダイアジノンの使用を中止する場合には、州または地方の廃棄物処理担当課または各地の廃棄物収集センターに連絡して、適切な廃棄処理をすることが必要である。

 本件についての詳細はウェブサイトhttp://www.epa.gov/pesticides/で入手可能である。

(訳:安間 武)

化学物質問題市民研究会
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