Mail Onlines 2013年4月5日
イギリス 大がかりなリサイクルだまし: 手間暇かけて分別された1200万トンもの廃棄物が どのようにして外国の埋立地に捨てられているのか 情報源: Mail Online 5 April 2013 The great recycling con trick: How 12million tons of your carefully sorted waste is being dumped in foreign landfill sites By Steve Doughty http://www.dailymail.co.uk/news/article-2304773/ The-great-recycling-trick-How-carefully-sorted-waste-dumped-abroad.html#ixzz2QR1L814M 訳:野口知美(化学物質問題市民研究会) 掲載日:2013年5月4日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/Kaigai_13/130405_Mail_Onlinerecycling_con_trick.html
英国政府は、リサイクルボックスの廃棄物が中国やインド、インドネシアなどの国に輸送され、その大半が最終的には埋立地行きになっていることを認めた。 環境・食料・農村地域省(Defra)が発表した文書において閣僚たちは、毎年外国に輸送される1200万トンもの「環境に優しい」廃棄物の行方を管理することはほぼ不可能であると認めた。
ごみを外国―主にアジア―に送りつける取引は、過去10年間で倍になった。強制的なリサイクル計画によって生じた山のようなごみの処理を地方自治体が請負業者に頼ることが増えてきたからである。 法律では外国に輸送されたごみは必ずリサイクルされなければならないと定められているが、Defraは現在、そのまま捨てられる国もあることを認めている。 Defraを率いる環境長官オーウェン・パターソンは、環境に優しい廃棄物の違法取引を抑制するため、港での検査を強化するつもりであると述べた。 政府は常に、家庭ごみのリサイクルは手落ちなく行われていると主張していた―しかし、デイリー・メールは今年初め、大量のごみがリサイクル工場で使いものにならないと判断され、埋立地に送りつけられていることを明らかにした。環境庁は現在、中国やインドネシア、インドに輸送される材料もリサイクルされるのではなく埋設されていることを正式に認めている。 Defraは家庭ごみと同じく外国に投棄されている廃棄物について、中国に輸送される使用済みタイヤ、最終的に西アフリカに行き着く廃棄テレビや廃棄コンピュータなどがあることを認めている。 Weekly Waste Collectionsキャンペーンのドレッタ・コックスは、「こうした展開に人々はとてもショックを受けるであろう」と述べた。 「ほとんどの人が自分たちのごみは自分たちの国でリサイクルされると思い込んでいる。それが今や、中国からテレビやコンピュータを満載したコンテナ船がやって来て・・・われわれのリサイクルごみを満載したコンテナを山積みにして帰るということが分かったんだ。恥ずべきことだ」。 この事実が発覚したのは、Defraと廃棄物処理業界が新しいリサイクル規定について協議を開始してからである。この協議文書は、廃棄物が外国に投棄されていることは認めているが、「違法輸送の正確な量は分かっていない」としている。 Defraは、より厳しい検査を導入するのであれば、「開発途上国に違法輸出及び投棄される廃棄物の量が減少することが予想される」と言う。 環境庁は地方自治体に対し、収集するリサイクルごみの質を改善し、請負業者がどのように対処しているか調査するよう要請した。 環境庁が地方自治体に伝えたのは次のようなことである。「イギリスやEUでは、リサイクル用に収集され、再処理のために海外に輸送される廃棄物がますます増えてきている。各家庭から収集された廃棄物の大半が・・・最終的に輸出されることになる」。 「われわれが差し押さえた違法な廃棄物輸出の大半は、もともと家庭ごみのリサイクル収集サービスを通じて地方当局または地方当局の代理が収集した廃棄物である」。 「家庭からの混合廃棄物が紙やプラスチックと誤って表記され、違法輸出されることを特に懸念している。多くの場合、ずさんな家庭ごみ収集・分別システムによるものだ」。
リサイクル用の家庭ごみが開発途上国に投棄されているというニュースが流れたのは、Defraが2月にリサイクルに関する主張は誇張されていると認めたあとである。 公式発表によれば、収集された家庭ごみの43%がリサイクルされているとのことであった―しかし実際は、処理業者がリサイクル可能な材料をほとんど受けつけないため、最終的には埋立地行きになることが多い、とDefraは述べている。 Defraはまた、強制的なリサイクル計画が策定された主な理由は、埋立地のごみ廃棄場所が足りないからとか、気候変動に取り組まなければならないからとかいうのではなく、去年EUが施行した最新の廃棄物枠組み指令の要請を満たすためであったことを認めている。 家庭ごみのリサイクルが一般的になったのは、トニー・ブレアの労働党政権が地方自治体に対して2週間おきにリサイクル不可能な廃棄物を回収するよう奨励してからである。 コックス夫人は言う。「ここ10年のリサイクル運動には、いつも大きな疑問を感じています。リサイクル用に純度の高い材料を出すよう、これまで以上に圧力をかけられそうで心配です」。 「10年もの間、適切なごみ収集が行われてこなかったのに、もうすぐ収集が毎月になってしまうんだと思います」。
Defraは年末までに、家庭「ごみ抑制」のための新たな計画を作成する予定である。Defraのスポークスマンは言う。「リサイクル可能な材料の取引は世界市場であるから、イギリスの企業はここから収入を得て我が国の景気浮揚を促してくれるよう期待している。我が国がこのチャンスをしっかりとつかむことができるよう、リサイクル産業が成長してくれることを望む」。 イングランドはイギリスで唯一、ビニールのレジ袋を無料配布する地域になる。北アイルランドは来週、5ペンスのレジ袋税を導入する。同様の税はウェールズでも2011年10月に賦課され、その結果スーパーマーケットの配布するレジ袋が96%も減少した。 スコットランドもレジ袋を有料化する案を敢行しており、イングランドだけがこの問題に取り組むためのきちんとした提案を持たない地域になってしまった。 先月、オスカー俳優のジェレミー・アイアンズは、デイリー・メールが主催するレジ袋廃絶キャンペーンに対する支援を行った。このキャンペーンは企業や政治家に対し、田園地帯や川を汚染するレジ袋の数を減らすよう求めている。 (参考)バーゼル条約 第2条定義 この条約の適用上、 1 「廃棄物」とは、処分がされ、処分が意図され又は国内法の規定により処分が義務付けられている物質又は物体をいう。 4 「処分」とは、附属書IVに掲げる作業をいう。 附属書IV 処分作業 A 資源回収、再生利用、回収利用、直接再利用又は代替的利用の可能性に結びつかない作業 このA表は、資源回収、再生利用、回収利用、直接再利用又は代替的利用の可能性に結びつかない処分作業であって実際に行われるすべてのものを含む。 B 資源回収、再生利用、回収利用、直接再利用又は代替的利用に結びつく作業 このB表は、有害廃棄物であると法的に定義され又は認められている物であって、このB表に掲げる作業が行われなかった場合には、A表に掲げる作業が行われていたはずのものに関するすべての作業を含む。 |