Beyond Plastics ニュースリリース 2023年12月14日
米国 EPA、塩化ビニル禁止の可能性への第一歩を踏み出す
Beyond Plasticsはヒト発がん性物質として知られる
塩化ビニルに関する連邦プロセスの緊急措置を求める

情報源:Beyond Plastics
For Immediate Release: December 14, 2023
EPA長官マイケル・レーガン Takes First Step in Potentially
Banning Vinyl Chloride

Beyond Plastics Calls for Urgency in the Federal Process
on Vinyl Chloride, a Known Human Carcinogen
https://www.beyondplastics.org/press-releases/
epa-takes-steps-to-ban-vinyl-chloride


訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
https://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2023年12月18日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/usa/news/231214_BP_
US_EPA_Takes_First_Step_in_Potentially_Banning_Vinyl_Chloride.html


 本日、米国環境保護庁(U.S. EPA)は、ポリ塩化ビニル(PVC)プラスチックの製造に使用されるヒト発がん性物質として知られる塩化ビニル(訳注:塩化ビニルモノマー又はクロロエチレンとも呼ばれる。化学式はCH2=CHCl で重合させるとポリ塩化ビニルになる。)について、連邦化学審査プロセスを開始すると発表した(訳注:EPA December 14, 2023)。 塩化ビニルは EPA が対応を検討している 5つの化学物質のうちの1つで、そのうち 4つはプラスチックの製造に使用されている。 EPA は、塩化ビニルに加えて、アセトアルデヒド、アクリロニトリル、ベンゼンアミン、および 4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン) (MBOCA) を検討している。

 このニュースを受けて、Beyond Plasticsは、その代表で元 EPA 地域長官のジュディス・エンクの次の声明を発表した。

 ”米国環境保護庁からのニュースは歓迎すべきものであり、長年待ち望まれていたものだ。 塩化ビニルは 1974 年に発がん性物質として分類された(訳注:IARC(1987) グループ 1 ヒトに対する発がん性が認められる/厚生労働省)。同年、連邦政府はヘアスプレー、冷媒、化粧品、医薬品への塩化ビニルの使用を賢明にも禁止した。 ほぼ 50年後、EPAはこの毒性の高い化学物質を将来の規制または全面禁止の評価対象リストに加えたと発表した。

 塩化ビニルの 99% 以上はポリ塩化ビニル (PVC) プラスチックの製造に使用されており、この有害プラスチックの代替品は数多くある。 塩化ビニルは、2023年2月にオハイオ州東パレスチナのノーフォーク・サザン鉄道脱線事故の後、[爆発を防ぐために]意図的に燃焼された化学物質である。(訳注:2023年2月3日、米オハイオ州イーストパレスチナで発生した列車脱線事故で、脱線した貨物列車はクロロエチレンやアクリル酸ブチル、2-ブトキシエタノール等の危険物を積んでおり、・・・事故による火災は数日間続き、・・当局は爆発を防ぐため、クロロエチレンなどの危険なガスを抜いて燃焼させる「制御燃焼」を実施・・ウィキペディア)  EPA は、1976 年の連邦有害物質規制法(TSCA)に基づいて塩化ビニルを禁止する法的権限を持っている。塩化ビニルは 2014 年に EPA 有害物質規制法の作業計画に含まれた。ほぼ 10 年が経過したが、EPA による完全な正式な評価プロセスはまだ始まっていない。

 塩化ビニルを製造する企業は、50 年以上前から塩化ビニルの健康と環境へのリスクについて認識していた。 我々は、EPA長官マイケル・リーガンがこの危険な化学物質から人々と地球を守ることを期待している。 科学はしっかりしている。 これはリーガン長官が下す最も重要な決定のひとつであり、特別な利益を擁護し、塩化ビニルを禁止する措置を講じて健康を守ることが不可欠である。 連邦政府が行動を起こすまであと50年も待つことはできない。”

Beyond Plastics はまた、Beyond Plastics アパラチアのディレクターでオハイオ州東パレスチナ在住のジェス・コナードによる次の声明を発表した:

 ”有害な塩化ビニルを TSCA の審査リストに追加するという正しい決断を下した EPA を称賛する。塩化ビニルは鉄道で国中に輸送されており、[今回の列車脱線事故で]私の家を含むオハイオ州東パレスチナだけでなく、 PVC や塩化ビニルの製造施設が存在する他のコミュニティも汚染している。我々は東パレスチナの状況から多くのことを学んだが、それは塩化ビニル汚染事故のことだけではない。鉄道沿線に住んでいる人々は有害化学物質を輸送する列車が通過するたびに同じ運命に陥る危険にさらされている。 私の地域での災害は予兆であり、プラスチックのコストと塩化ビニルの製造と輸送の避けられない危険性に対する新たな厳しい警告である。

Beyond Plastics(プラスチックを超えて)について

 2019年に発足した Beyond Plastics は、環境政策の専門家の知恵と経験と草の根の活動家のエネルギーと創造性を組み合わせて、プラスチック汚染を終わらせ、プラスチックの代替品を促進するための活気に満ちた効果的な運動を構築する全国的なプロジェクトである。 Beyond Plastics は、政策と権利擁護に関する深い専門知識を活用し、プラスチックの生産、使用及び廃棄による健康、気候、環境への悪影響から地球と我々自身を救うために必要な制度的、経済的、社会的変化を達成することを目指す、十分な情報に基づいた効果的な運動を構築している。


訳注:関連情報


化学物質問題市民研究会
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