EPA 2010年6月30日
BPのメキシコ湾原油流出事故への米EPAの対応
拡散剤の毒性テスト

情報源:EPA June 30, 2010
EPA Response to BP Spill in the Gulf of Mexico
EPA's Toxicity Testing of Dispersants June 30, 2010
http://www.epa.gov/bpspill/dispersants-testing.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2010年7月2日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/usa/epa/epa_testing_dispersants.html


 EPAは、メキシコ湾でのBPの拡散剤の使用を注意深く監視し続けている。拡散剤は一般的に油よりも毒性が弱く、油がメキシコ湾岸の繊細な領域に影響を与えるのを防ぐことができる。EPAは、BPが必要な拡散剤をなるべく少なく使用すべきであると信じ、5月23日にはEPA長官ジャクソンと当時の連邦現場調整官メアリ・ランド少将がBPに拡散剤の使用をピーク時の75%分削減するよう指示した。EPAと沿岸警備隊は5月26日にBPへの指示を公式化した。BPは翌月を通じて拡散剤の使用をピーク時の68%分削減したが、EPAはBPに対し使用量をさらに削減するよう働きかけ続けるつもりである。

 拡散剤の使用を削減するようBPに指示する前に、EPAは毒性及び効果に関して潜在的な代替拡散剤を分析するようBPに指示した。BPは、現在使用している製品 Corexit 9500 より毒性の弱い拡散剤を見つけることはできないとEPAに報告した。

 BPの回答をフォローし、メキシコ湾における現在の拡散剤の使用についての決定が入手可能な最善の科学に基づいていることを確実にするために、EPAは国家緊急計画−製品目録(NCP-PS)にある8種類の拡散剤の科学的テストをEPA自身の手で開始した。これらの拡散剤製品は、Dispersit SPC 1000, Nokomis 3-F4, Nokomis 3-AA, ZI-400, SAF-RON GOLD, Sea Brat #4, Corexit 9500 A 及び JD-2000 である。6月30日、EPAはこの8種類の油拡散剤に関する第一回目の独自の毒性テストのピアレビューされた結果を発表した。

 EPAの結果は、メキシコ湾で使用されている製品を含んでテストされた8種類の拡散剤のどれも生物学的に顕著な内分泌かく乱作用を示さなかった。これらの拡散剤は油と混合されない単独では水生生物に対する影響は概略同じであったが、JD-2000 と Corexit 9500 は一般的に小さな魚類に対して毒性が弱く、JD-2000 と SAF-RON GOLD はアミ(訳注:エビに似た甲殻類)に対する毒性が最も弱かった。

 これは重要な情報であるが、拡散剤の使用についての更なる情報のために、追加的なテストが必要である。EPAのテストの次の段階では、ルイジアナ低硫黄原油単独と8種類の拡散剤のそれぞれとの組み合わせ混合物の急性毒性をテストするであろう。

 EPAは、追加的情報を入手次第、このウェブページを更新する。

 このテストに関するフル・レポートは、下記から入手できる。


訳注:EDF リチャード・デニスンのブログ
 今回のBPの原油流出及び米EPAの対応をフォローしているリチャード・デニスン氏(EDF)のブログを紹介します。(このブログは本来ナノテクに関するブログであるが、デニスン氏の対象領域は化学物質全般にわたり、ナノ以外にREACH、TSCA等の話題も充実しいる。)


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