SCHF(より安全な化学物質・健康な家族)
プレスリリース 2021年7月21日
米国下院は2021年のPFAS行動法を可決
SCHFは法案を称賛し、上院に対して法案に迅速に対応するよう要請する

情報源:SCHF(Safer Chemicals, Healthy Families) July 21, 2021
House Passes PFAS Action Act of 2021
Safer Chemicals Healthy Families applauds bill and
urges Senate to act swiftly on the legislation
https://saferchemicals.org/2021/07/21/
house-passes-pfas-action-act-of-2021/


訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2021年10月18日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/usa/NGOs/
210721_SCHF_House_Passes_PFAS_Action_Act_of_2021.html

 【ワシントンDC】米国下院は本日、米国の PFAS 危機に対処を開始する超党派法案 HR 2467 を可決した。この 2021年 PFAS 行動法は、PFAS の大気汚染と水質汚染を制限し、全国の汚染された場所での浄化を迅速に開始するのに役立つ。法案は 241 対 183 で下院を通過し、23人の共和党員が賛成票を投じた。

 それに応えて、SCHF のディレクターであるリズ・ヒッチコックは次のように述べた。

 ”米国中の地域社会は、非常に有害な PFAS 化学物質への暴露による健康への影響に苦しんでおり、多くの州や地域社会は、水道の蛇口を止めて汚染を一掃するための行動を起こした。我々は、この増大する危機に対処するために今日とった措置について、下院及び超党派の PFAS 行動法の推進者らに拍手を送る。このように協力し、これらの”永遠”の化学物質に取り組むための他の措置が前進することを期待している。”

 PFAS 行動法は、以下の規定(provisions )を含む((訳注1)。
  • 脆弱な集団の健康を含む公衆の健康を保護する PFOA 及び PFOS の国の飲料水基準を確立するよう EPA に要求する
  • 1年以内に PFOA 及び PFOS 化学物質を有害物質として指定し、EPA に 5年以内に他の PFAS をリストするかどうかを決定するよう要求する
  • 180 日以内に PFOA と PFOS を有害大気汚染物質として指定し、EPA に 5年以内に他の PFAS をリストするかどうかを決定するよう要求する
  • EPA に、PFAS の工業的放出に排出制限を課し、水インフラを改善するために年間 2億ドル(約 220億円)を提供するよう要求する
  • PFAS 廃棄物の安全でない焼却を禁止し、新しい PFAS の商業への導入に猶予期間を設ける
  • 包括的な PFAS の健康テストを求める
  • 調理器具やその他の製品に PFAS の自主ラベル制度を創設する
PFAS の背景

 化学会社は、防汚性、撥水性、耐油性を求めて PFAS 化学物質を製造している。ますます多くの科学的研究が、PFAS への暴露と、免疫系の弱体化、がん、コレステロール値の上昇、妊娠誘発性高血圧、肝臓障害、生殖力の低下、甲状腺疾患のリスクの増加など、さまざまな健康問題との関連を発見している。科学者らは、製品、汚染された飲料水、及び汚染された食品への暴露から生じる累積的な影響について最も懸念している。TFF(有害物質のない未来 Toxic-Free Future)による最近のピアレビューされた研究では、テストされた母乳サンプルの 100%に PFAS が含まれており、新しい PFAS が人々に蓄積していることがわかった。

 多くの州政府は、飲料水中の PFAS を規制するプロセスを開始し、州内の PFAS に強制力のある基準または最大汚染物質レベル(MCLs)を採用している。強制力のある飲料水基準を持つ州は、MA、MI、NH、NJ、NY、及び VT (訳注2:州の略号一覧)である。基準案を持つ州は、AZ、IA、KY、ME、及び RI である。他の州では、飲料水中の PFAS に関するガイダンス及び/または通知(notification)レベルを採択している。これらの州は、AK、CA、CO、CT、DE、ME、MN、NC、NM、及び OH である。

 州政府は、より安全な代替品を優先して汚染を防ぐために、製品中の PFAS を段階的に廃止するための立法及び規制措置を講じている。たとえば、ME と WA の政府は法律により、州の機関にさまざまな製品で PFAS を禁止する権限を与えている。 CT、ME、MN、NY、VT、及び WA は、食品包装における PFAS の段階的廃止を制定した。 VT と ME は、カーペット、ラグ、及びアフターマーケット処理での PFAS の禁止を採用し、CA と WA では、これらの製品とその他の家庭用テキスタイル(室内装飾品、寝具など)に対する規制措置を検討中である。 CO、CA、CT、NY、NH、ME、及び WA は、PFAS を含む消火用フォームの販売を禁止した。地域社会を保護し、食品包装を含む複数の製品部門で PFAS を禁止する連邦法が、再導入された、又は再導入される予定である。

 TFF(有害物質のない未来 Toxic-Free Future)の小売業監視プログラムによって発行された年次小売業者レポート・カードによると、小売業者は、主要な製品分野で PFAS を削減または排除するために、より安全な化学物質政策をますます採用している。たとえば、ロウズ(Lowe's:アメリカの住宅リフォーム・生活家電チェーン店)とホームデポ(Home Depo:アメリカの住宅リフォーム・建設資材・サービスのチェーン店)は、PFASを使用した屋内住宅用カーペットや敷物の販売を止めた。また、ロウズは、商品販売後の維持のための PFAS を使用した布地保護スプレーの販売を停止することも約束している。 アール・イー・アイ(REI:アメリカで最大規模のアウトドアショップ)は、2023年春までに PFAS を使用したスキーワックスや、装備や衣類の手入れ用品を販売しないと発表した。さらに、食品または食品容器を販売する 18の小売業者が、77,000を超える店舗で食品パッケージのPFASを削減または排除する手順を発表した。

SCHF(SAFER CHEMICALS HEALTHY FAMILIES)

 SCHF(より安全な化学物質・健康な家族)は、有害な化学物質から国民を保護する強力な連邦政策を達成することに専念する無毒の未来のプログラムである。
https://saferchemicals.org/


訳注1:法令、基準、ガイドライン、ガイダンス、規定、通知
訳注2:州の略号一覧




化学物質問題市民研究会
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