PAN-NA プレスリリース 2015年10月30日
EPA は危険な農薬クロルピリホスの禁止に動く

情報源:Pesticide Action Network North America, October 30, 2015
EPA Moves to Ban Dangerous Pesticide Chlorpyrifos
http://www.panna.org/press-release/epa-ban-dangerous-pesticide-chlorpyrifos

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2015年11月22日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/usa/NGOs/151030_EPA_Moves_to_Ban_Chlorpyrifos.html


【ワシントンDC】 米環境保護庁(EPA)が住宅用途でのクロルピリホスを禁止してから15年ほど経過したが(訳注1)、同庁は本日、この神経毒性農薬を農業用途でも禁止する提案をした(訳注2)。この発表は、この化学物質を禁止するよう求める2007年の法的申し立てに関して意味のある行動を期限までにとるよう EPA に命じた最近の控訴裁判所の決定に対応したものである。

 ”これは長年、私たちが求めてきたことである。EPA 自身もクロルピリホスが子どもの脳にダメージを与え、労働者や周囲の人々を農薬中毒にすることを発見していた”と、この訴訟を担当しているアースジャスティス(Earthjustice)の弁護士パティ・ゴールドマンは述べた。”最後にとうとう、EPA はこの危険な農薬を禁止することにより、子どもたち、労働者、そして彼らの家族を守るという彼らの意図を示した”。

 EPA のクロルピリホス規制の遅延は”とんでもないことである”として、最近、第9巡回区連邦控訴裁判所は EPA に対して10月31日までに2007年訴訟に対応するよう命じた。裁判所に期限を明示させた元々の訴訟は、農薬行動ネットワーク(PAN)と天然資源防衛協議会(NRDC)の代理としてアースジャスティスにより提訴されていたものである。

 ”この農薬の健康への有害性に関して非常に強い科学的証拠があるのだから、EPA が行動を起こすのにそのように長い年月をかけるのは道理に反することである”と、PAN の上席科学者マーガレット・リーベス博士は述べた。”禁止は,最終的には農村地域の子どもたち、労働者、及び家族をこのドリフトしやすい悪役農薬からの保護を確実なものにするであろう”。

 2014年12月、EPA は、クロルピリホス暴露と低 IQ 、発達遅れ、記憶機能低下を含んで子どもたちの脳ダメージを関連付ける多数のピアレビューされた科学的証拠があることを認めた。そして、EPA は、特に幼児に有害な飲料水の汚染、そしてクロルピリホスを扱う又は散布後の農場に立ち入る労働者の重大なリスクを認めた。

 その科学的なレビューに基づき規制措置をとるよう裁判所に命じられて、EPA は現在、すべてのクロルピリホスの容認を取り消すことを提案しようとしている。このことは、食物中の残留、飲料水の汚染、又は学校、家、人々がいるその他の場所へに農薬ドリフトをもたらすクロルピリホスの全ての使用を終わらせることになるであろう。

 ”それは、環境正義への道を一歩進むものである”と、農業労働者の正義(Farmworker Justice)のバージニア・ルイスは述べた。”圧倒的に貧しく、多くが有色人種である農業労働者と彼らの家族は農薬とそのドリフトによる暴露の矢面に立っている”。


訳注1
 ・2001年3月12日 住まいの科学情報センター CSN #177:アメリカ環境保護庁によるクロルピリホス排除計画/EPA 2000年6月8日

訳注2
 ・For Release: October 30, 2015, EPA Proposes to Revoke Chlorpyrifos Food Residue Tolerances
 ・Proposal to Revoke Chlorpyrifos Food Residue Tolerances



化学物質問題市民研究会
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