ChemSec 2020年4月3日
スウェーデン
繊維製品に化学物質税を提案

情報源:ChemSec, April 3, 2020
Sweden proposes a chemicals tax on textiles
https://chemsec.org/sweden-proposes-a-chemicals-tax-on-textiles/

訳:安間 武/化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2020年4月17日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/sweden/200403_
ChemSec_Sweden_proposes_a_chemicals_tax_on_textiles.html



 スウェーデン政府は 1 年前、有害物質を含む衣料品と靴への化学物質税の導入の可能性を調査することを決めた(訳注1)。そして、今、[審議会による]ひとつの提案が政府に提出された(訳注2)。その提案は正しい方向を指し示している。

 その提案は、全ての衣料品と靴は課税対象となり、もし納税者がその製品はある特定の有害化学物質を含んでいないことを証明できれば減税の可能性があるというものである。それは製品重量キログラム当たり 4ユーロを既定の課税とし、もし製品がどのような有害化学物質をも含んでいなければ 95%まで減税することを提案している。

 この化学物質税提案は、REACH の高懸念物質(SVHCs)の基準を満たす化学物質、及び同じ基準を満たすとみなすことができる類似の化学物質に焦点を当てている。耐候性製品は PFAS を含んでいるかもしれないので、特別の注意がそれらの製品に向けられている。納税者はそれらの製品にキログラム当たり 2ユーロを追加の税として支払うことが求められる。

”我々は政府が他の繊維製品も同じように
含める提案をすることを希望する”

 ”我々は、審議会議長が広い範囲の有害化学物質を含めるという提案の脈絡で、そのような幅広い取り組みを行なったことを喜んでいる。我々は、政府が、カーテン、ベッド用シーツと枕カバー、及びタオルの様な他の繊維製品も同様に含めることを提案するであろうことを期待する”とケムセック(ChemSec)の上席政策顧問フリーダ・ホックは述べた。

 その化学物質税は、衣類及び靴に含まれる有害化学物質及び殺生物剤をなくすための取り組みであり、このような広範囲の課税は、欧州連合が達成を望んでいる繊維製品の循環経済(訳注3)に寄与すると評価されるべきである。

 ”リサイクルされた繊維製品が有害化学物質から確実に免れるための最良の方法は、初めから成分としてそれらが含まれないようにすることである。この提案はクリーンな循環経済を達成するという EU の大望と、スウェーデン政府の有害化学物質のない環境目標と完全に合致している”と、フリーダ・ホックは言う。

 スウェーデンが消費者製品に化学物質税をかけるのは、これが初めてではない。2017年7月1日、スウェーデンは有害な難燃剤を標的にして電子機器への化学物質税を導入した(訳注4)。

 スウェーデンの衣料品及び靴への化学物質税は 2021年 4月 1日の発効が提案されている。

 ChemSec はこの提案を歓迎しており、スウェーデン政府が他の繊維製品も同様に含めるよう勧めている。 EU の化学物質関連立法は遅く、このような措置は繊維製品産業における有害物質の代替プロセスに真の圧力をかけることになる。

政府の調査へのリンク(スウェーデン語)
訳注1
New Swedish investigation about taxation of chemicals in clothing and shoes (FRAM, Jun 13, 2019)

訳注2
New Swedish investigation about taxation of chemicals in clothing and shoes (Compliance & Risks, 06 April 2020)

訳注3
Textiles in Europe's circular economy (European Environment Agency, 19 Nov 2019)

訳注4
Sweden Introduces Tax on Certain Chemicals in Electronics Law, 2016:1067 (SGS, March 23, 2017 )



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