オーストリア、ウイーン、2005年8月25日〜9月27日
SAICM 第3回予備会談に対する IPEN の立場

情報源:IPEN Prepcom 3 Position
Austria, Vienna, Aug 25 - Sep 27, 2005


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2005年11月19日


 国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)第3 回予備会談(PrepCom3)において、国際POPs廃絶ネットワーク(IPEN)運営委員会は SAICM PrepCom3 代表団に対し、考慮すべきいくつかの重要ポイントを示した。

 下記は、IPEN の PrepCom3 重要ポイントの導入部であり、IPEN の包括的な方針戦略に関する詳細全文は様々な言語でダウンロードが可能である。

訳注:Paper submitted by the International POPs Elimination Network on internalization of SAICM costs within relevant producer industries

 まとめると、IPEN は特に懸念すべき下記の領域を特定した。

  1. 管理できないリスクを及ぼすかもしれない化学物質の段階的廃止と代替は、リスク削減の一部とすべきである。
     通常の使用条件の下での管理できないリスクを及ぼす化学物質は効果的で負担できる代替物質及び/又は代替手段が有効になり次第できるだけ早く段階的廃止及び除去されるべきである。例えば、世界的な懸念である残留性有機汚染物質(POPs)、残留性・生体蓄積性・生殖毒性(MCR)、神経有毒物質、免疫有毒物質、内分泌かく乱物質、水銀、及びその他の重金属などである。

  2. 必要性に関するSAICMの記述には、管理できないリスクを及ぼす化学物質を制限することを反映すべきである。
     SAICMの背後にある基本的な推進力は、化学的汚染物質への曝露が多くの方法で人間の健康を損なうということを公衆が知るようになったことである。SAICMの目的は、これらの大きな有害影響を回避し最小にすることである。PrepCom3 はこれらの最も顕著なものを挙げるべきである。

  3. 機密条項は公衆の情報の必要性とバランスをとるべきである。
     公衆は人間の健康と安全及び環境に関する商業的及び産業的情報を知る権利を有する。

  4. コストの内部化
     IPEN は、国家レベルの措置の小見出しの部分からもっと包括的な章に移動して、SAICMファイナンシングのこの重要な要素のために新たな章を設けることを提案する。コストの内部化へのアプローチを実施するためには、政府が国家レベルで措置をとることが必要である。しかし、最も効果的で実際的なコストの内部化は、地球規模での及び/又は地域的構成要素を持っており、これらの可能性はもっと調査し検証する前に簡単には捨去るべきではない。例えば、多くの国々は、国際的な支援なしに自前で適切なコスト回収システムを設定し運用するために必要なノウハウと内部リソースがなく、多くの国々は彼らがコスト内部化を実施するために用いるアプローチが国際的な貿易と投資での歪を避けるよう設計されるか懸念している。

  5. 進捗評価の実施は、効果的なSAICM実施を助長する制度的計画の概要を示すべきである。
     これらは、当初に会合し、その後少なくとも2〜3年毎に1回会合する多分野からの参加と監視機関を含むべきである。
IPENの立場に対する問い合わせ:BjornBeeler@ipen.org
 これらの重要ポイントについて検討していただいたことを感謝する。コメントや質問があれば連絡をいただきたい。
我々はウイーンでの実りある会合を期待している。

添付:PrepCom3のためのSAICM包括的政策戦略文書草稿に関するIPENのコメント
IPEN Comments on the SAICM Draft Overarching Policy Strategy Document for PrepCom3 - ENGLISH

訳注参考

国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)/第3回準備会合・包括的方針戦略ドラフト

国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ/SAICM プロセス
インガー・シェーリングさん(Ms. Inger Scholing)元欧州議会議員
2005 年9 月15 日 東京/化学物質汚染のない地球をめざす東京宣言推進実行委員会主催ワークショップでの講演


化学物質問題市民研究会
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