IPEN プレスリリース 2006年2月7日
IPEN SAICM の速やかな実施を求める
SAICMはアメリカの攻撃から生き延びた


情報源:International POPs Elimination Network (IPEN)
IPEN Press Release, 7 February 2006
IPEN Calls for Immediate SAICM Actions / Agreement Survives US Attacks


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2006年2月8日


【ドバイ、アラブ首長国連邦】国際POPs廃絶ネットワーク(IPEN)は、アメリカの強力な圧力により弱体化されたにもかかわらず、国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)の2月6日の採択を歓迎する。最終妥協案は SAICM のスコープを狭め、長期資金調達が不十分であり、予防と人の健康との関係をごまかすものである。しかし、それでも IPENは、SAICM は化学物質によって引き起こされる害をなくすために、重要な世界的枠組みであると考えている。

 SAICM 交渉は、ブッシュ政権が広範な譲歩を要求し、共通の基盤を見つけようとするほとんど全ての努力を阻止し、この協定に抵抗するために140カ国を相手に立ちはだかったので危機の瀬戸際にあった。ブッシュ政権高官らは環境と公衆の健康保護を、常に産業の利益よりも後回しにするよう求めた。”数年にわたる各国政府、化学産業界、及び、公益団体の間の協議の成果を陰険にも蝕もうと SAICM に対する積極的な攻撃が試みられた”−と IPEN の共同議長ジャック・ワインバーガーは述べた。”より良い化学物質管理の最大の受益者は世界市場の世代の労働者、地域の人々、及び消費者の健康を守るために戦っている開発途上国なのに、SAICM を粉砕しようとするアメリカの試みは特にあつかましく行われた”−と彼は述べた。

 IPEN は、SAICM の目標を達成する方向に向けて、そして SAICM のアメリカの脅しに屈服した部分を挽回するために、良心的な政府や関係者らと連携して努力することを誓った。IPEN は、2020年までに全ての化学物質は人の健康と環境への有意な有害影響をなくす方法でで製造され使用されるということを達成するために活動することを約束しつつ、有毒物質のない未来のための宣言を発表した(SAICM会議ルームペーパー23)。

訳注:
IPEN 有害物質のない未来のための宣言(当研究会訳)
IPEN Launches new Declaration for a Toxic Free Future, Feb 6, 2006

 SAICM を成功させるためには、適切な資金調達、地域の活動及び次の会議までの活動のための明確なプラン、及び3つの SAICM 文書を実施に移す政治的意思が求められる。次回の SAICM プロセスの会議は2009年に開催される。2020年目標を達成するための運動の高まりはそれまで待つことはできないということを認識しつつ、IPEN は世界の全ての地域で SAICM を実施するための貢献を早急に開始するとともに、政府と全ての SAICM 関係者に対しても同じように行動に着手することを要求する。

 国際 POPs 廃絶ネットワーク(IPEN)は、全世界の地域の70か国400以上の参加団体を持つ世界的な公益 NGO である。多くの国と多くの地域の IPEN 参加団体は、強力で効果的な世界 POPs 条約を作り出す共通の目標を推進するために協力してきた。IPEN は現在、地域、国家、地方、及びコミュニティのレベルで、有毒化学物質が人の健康又は環境を損なわない未来に向けて、POPs 廃絶を支援するために活動している。

IPEN ウェブサイト
http://ipen.ecn.cz/index.php?z=&l=en



化学物質問題市民研究会
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