2011年11月13日
SAICM-OEWGについての
IPENの手短な見解

英語PDF版日本語訳PDF版

情報源:IPEN Webpage / First OEWG for SAICM
http://www.ipen.org/ipenweb/saicm/oewg2011.html
IPEN Quick Views of SAICM OEWG, November 13, 2011
http://www.ipen.org/pdfs/IPEN_Quick_Views_OEWG_13_Nov_2011.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2011年11月24日

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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/saicm/ipen/
OEWG_1/IPEN_Quick_Views_OEWG_13_Nov_2011_jp.html


財政的及び技術的リソース
  • 今日まで、事務局は極めて資金が不十分であり、このことが効果的な SAICM 実施を妨げてきた。事務局が十分に資金供給されることが非常に重要である。
  • OEWGは、クイックスタートプログラム(QSP)への資金支援の約束が少なくとも2013年11月まで認められ、展開中の活動が完了するまで支払いが継続するということを勧告すべきである。
  • QSP は、十分に資金支援され、もっと恒久的な長期メカニズムが確立されるまで、延長されるべきである。
  • SAICM は、適切な化学物質管理とその目的の達成を支援するために、長期的なしっかりした世界的資金メカニズムを必要とする。
  • GEF5 の下に確立された適切な化学物質管理に関する化学物質焦点分野(フォーカルポイント)は、GEF6 に向けてさらに計画を練り十分に拡張されるべきである。

    訳注:GEF(地球環境ファシリティ

  • 化学物質及び廃棄物のための資金オプションに関する協議プロセスによって特定された他のメカニズムもまた、経済的手段を含んで産業の関与;新たな信託資金;新たな焦点分野として安全な化学物質及び廃棄物の管理のようなGEFに関連するメカニズムを含んで探求されるべきである。
塗料中の鉛
  • 鉛塗料廃絶のための世界同盟(Global Alliance to Eliminate Lead Paint)の設立と実施の進捗は、政府の関与、事務局のリソース、及び資金援助の欠如のために不十分である。
  • 塗料中の鉛に関するデータは、ほとんどの国に存在しない。包括的なテストデータと市場データが早急に必要である。
  • OEWG は ICCM3 までに、もっと多大な政府の関与、資金源、ICCM4における更なる結果報告の要請を含む塗料中の鉛に関するドラフト決議の採択を勧告すべきである。
  • OEWG は、塗料中の鉛の廃絶にまず焦点をあてた国際鉛中毒防止行動デーのための ICCM3 への提案を承認すべきである。
製品中の化学物質
  • 全ての利害関係者の中で製品中の化学物質に関する情報の提供、利用、及びアクセスを容易にし手引きするために、国際的な枠組みが開発されるべきである。
  • 枠組みの要素は、リサイクルと処分、及び拡大生産者責任のためのガイドラインに加えて、消費者の意識を向上させるよう[脚注1]、拡張されるべきである。
  • 作業は、より安全な製品の理解を促進し拍車をかけるためのクリアリングハウスの利用と広範な国際的消費者キャンペーンを含んで、よりクリーンな製品の要求を高めるために、この問題の広範な公衆の意識向上を含むべきである。
[脚注1]  これらは、製品中の化学物質に関する収集された情報の公的に利用可能なデータベース、リコールされた製品の整理されたリスト、最良の政策実施及び最良の技術的実施を含む情報交換手法のための技術的要求、及び、懸念ある化学物質とそれらの健康と環境への影響に関する現状のリストを含むであろう。

電子機器
  • OEWGは、電気・電子製品のライフサイクルにおける有害物質に関連する新たな作業領域と世界行動計画(Global Plan of Action)に関連する活動の追加を支援すべきである。
  • この分野の更なる作業は、ひとそろいの国際的な最良の実施を作り出し、さらにウイーンで開催される国際ワークショップの結果を実施することが必要である。
  • OEWGは、WHO 及び ILO の参加要請を含むドラフト決議案の勧告を支持すべきである。
  • 2011年にウイーンで開催される電気・電子機器のライフサイクルにおける有害物質に関する国際ワークショップで採択されるキーメッセージは、決議のアネックスとして追加されるべきである。
ナノテクノロジーとナノ物質
  • OEWGは、ナノテクノロジーとナノ物質に関連する新たな作業領域と世界行動計画(Global Plan of Action)に関連する活動の追加を支援すべきである。
  • OEWG は、ICCM4への報告となるナノに関するさらなる期間活動(intersessional activities)の概要を示す ICCM3 のための決議を提案すべきである。
  • 期間活動は、ライフサイクルアプローチ、製品と物質の登録、意識向上と能力構築、労働者の健康と安全の懸念に目を向けた統合された措置の開発を含むべきである。
  • 事務局は、ICCM3に先立ち、 SAICM の文脈で、ナノ物質の応用、影響、及び安全管理に関するコメントを受け入れ、組み入れるべきである。
内分泌かく乱物質(EDC)
  • OEWG は、新規の政策課題として ICCM3 の議題に、内分泌かく乱物質(EDC)を提案すべきである。
  • UNEPの提案するEDCプロジェクトは、内分泌学の専門家及びその他の健康専門家、NGOs、労働組合、及び民間分野を含む全ての利害関係者を完全に関与させるべきである。
  • プロジェクトの下における活動は次のことを含むべきである。EDCsの世界的監視リスト及び使用とより安全な代替物質に関する情報の確立;監視情報の利用;最も傷つきやすい集団に及ぼすEDCsの影響廃絶の優先付け;EDCsの特性にどのように対応するかに関する改善;最も傷つきやすい集団の曝露をいかに回避するかに関する情報の生成;公衆の意識向上。
  • 2002年IPCS評価レポートにおけるのEDC定義は過度に規範的である。適切な定義は、”EDCs は、ホルモン信号をかく乱する化学物質又は混合物”である。規制的EDC管理措置の確立に利用するための基準を開発する必要がある。
環境残留性の高い医薬品汚染物質(EPPP)
  • OEWG は、新規の政策課題として ICCM3 の議題に、環境残留性の高い医薬品汚染物質(EPPP)を提案すべきである。
  • 協力的な活動は次を含むべきである。1) 有毒性と残留性に関する情報を含む EPPPsの世界的データベースの開発; 2) この問題をさらに展開するために国際的な種々の利害関係者ネットワークの確立
  • EPPPs に関するさらなる作業は、傷つきやすい集団への影響を含んで監視と評価、及び、EPPPsがヒト健康と環境に及ぼすかもしれない負荷を含む知識ベース目録の開発を含むべきである。
  • EPPPs に関する作業は医療分野の戦略と相乗効果を持つべきである。
保健分野における戦略
  • 保健分野がSAICM実施にどのように貢献できるかを示す事例研究が開発されるべきである。
  • 環境健康と化学物質に関連する問題に関し、保健分野内での意識向上が、特に予防を強調して実施されるべきである。
  • 保健分野の関与のための具体的な目標と指標が今後の会議までの期間に行動計画の一部として戦略的アプローチの実施に関して、確立されるべきである。
国連持続可能な開発会議(リオ+20)
  • 世界の化学物質アジェンダは、1992年にリオ地球サミットでアジェンダ21の第19章の採択を持って立ち上げられ、化学物質の安全性に関する政府間フォーラム(IFCS)の形成をもたらした。それに続いて、2002年に持続可能な開発に関する世界サミットが世界の化学物質アジェンダを更新し、SAICMの形成をもたらした。
  • SAICM の持続可能な開発への関連は、ドバイ宣言を通じて及びWSSDとリオ地球サミットへの関連を通じて生じた。
  • OEWG は、リオ+20がバーゼル条約、ロッテルダム条約、ストックホルム条約、及びSAICMを含んで、1992年以来の進捗に関する実績を含む世界の化学物質アジェンダに対応し再確認することを確実にすることを狙った措置をとるようUNEPに要求すべきである。
  • リオ+20は、進捗を吟味し、アジェンダ21の第19章とWSSDの目標を新たに生きかえらせるべきである。
  • 化学物質のライフサイクルを通じて、化学物質への暴露により引き起こされる生態系と将来の世代への危害を回避することが、リオ+20の成果の中で目を向けられるべきである。
  • 化学物質の安全性と化学物質政策の改革は、経済及び開発政策アジェンダの中で中核を占めるべきである。
  • リオ+20の成果は、基本的な人権として、化学物質暴露からの回避に関連させるべきである。


化学物質問題市民研究会
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