2009年5月11-15日
第2回国際化学物質管理会議(ICCM2)
報告書(塗料中の鉛)


情報源:
International Conference on Chemicals Management Second session Geneva, 11-15 May 2009
Report of the International Conference on Chemicals Management on the work of its second session

http://www.saicm.org/documents/iccm/ICCM2/ICCM2%20Report/ICCM2%2015%20FINAL%20REPORT%20E.pdf#search='Report%20of%20the%20International%20Conference%20on%20Chemicals%20Management%20on%20the%20work%20of%20its%20second%20session'

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年12月16日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/saicm/iccm/ICCM2_lead_in_paint_report.html

F. 新規の政策課題
4. 塗料中の鉛
(13ページ)

96. 塗料中の鉛の問題が本当に”新規”であるかどうかといういくつかの議論はあったが、人の健康及び環境に及ぼす有害影響という観点から、世界レベル、地域レベル、及び国レベルにおいて、調和の取れた行動をとることは価値があるという強い合意があった。多くの代表者らは、特に途上国における鉛暴露の社会的及び経済的コストに光をあてた。
 この課題が非常に狭い範囲で定義されていると感じた一人を含んで何人かの代表は塗料以外でもまた電池、化粧品、電子製品のような鉛を含む多くの製品を指摘した。何人かの代表は塗料中での鉛の使用を廃止するだけでなく、ある集団の人々がまだ暴露している古い塗料の有毒な遺産に対処すべきことをハイライトした。
 多くの代表者らはそれぞれの国で鉛ベースの塗料を廃止するために取られた手順を概要を示した。他の人々は、G8及びUENP管理理事会を含む他のフォーラムでのこの課題の検討に注意をはらった。何人かはヒト健康への鉛暴露の取り返しのつかない影響は実現可能な代替の使用を通じて回避することが出来るはずであり、更なる研究がとられるべきであると指摘した。
 何人かの代表は、代替が存在しない場合には鉛ベースの塗料の使用は国家の規制スキームの下に例外として許されていると述べた。何人かの代表は国レベルでこの課題に取り組むことを支援するために、規制の枠組み又はガイドラインを要求した。一人の代表は他の化学物質もカバーし廃棄物管理を包含する統合的なアプローチを特に支持した。もう一人はこの課題に効果的に取り組むためにはリソースが必要であることを強調した。
 おそらくUNEPのクリーン燃料と自動車パートナーシップ(UNEP Partnership for Clean Fuels and Vehicles)をモデルとして、塗料中の鉛に関する世界パートナーシップを確立することについて広い支持が述べられた。

97. 討議に続き、会議は新規の政策課題を討議するために設立されたコンタクト・グループにこの課題を付託することに同意した。

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Annex I
決議 II/4: 新規の政策課題


B
塗料中の鉛
(34ページ)

 会議は、

 会議は、鉛ベースの塗料及び人に対する他の暴露源にある鉛を廃止すること、及び特に子どもの鉛への暴露を防ぎ、監視と調査の取り組み及び鉛中毒の治療を強化することをを求める、治持続可能な開発に関するサミット実施計画パラグラフ57(訳注1)に規定されているように、子どもの健康を鉛への暴露から守るために、持続可能な開発に関する世界サミットによる決議を考慮しつつ、また2009年4月22日〜24日にイタリアのシラクーザで開催されたG8環境大臣会合における子どもの健康と環境という脈絡で塗料中の鉛を廃止するために特定された行動を歓迎しつつ、

 2008年9月15日〜19日にダカールで開催された第6回政府間化学物質安全性フォーラムで採択された塗料中の鉛の廃止のためのダカール決議を認識しつつ、

 クリーン燃料と自動車のためのパートナーシップによる自動車燃料中の鉛の世界的な廃止に向けて達成されている進捗を認識しつつ、

  1. 治持続可能な開発に関する世界サミット実施計画パラグラフ57(訳注1)及び戦略的アプローチの実施に対する重要な貢献として塗料中の鉛使用の廃止を推進する世界パートナーシップを支持し、
  2. 世界パートナーシップのメンバーとなり、パートナーシップ活動の開発と実施に向けて財政的及び現物によるリソース又は専門性で抗意見することを約束するよう、全ての関心ある利害関係者に要請し、
  3. 第2回国際化学物質管理会議(ICCM2)に示された付託条項案(draft terms of reference)を用いた付託条項をその基礎として採択し、下記の分野において塗料中の鉛の世界的な廃止を達成するための明確なマイルストーンを示すビジネス計画を開発するよう世界パートナーシップに要求する。
    1. ヒト健康と環境への有害性とその代替についての意識向上
    2. 潜在的な鉛暴露を特定するための指針と支援
    3. 産業(製造者、卸売り業者、小売業者)の支援
    4. 暴露削減のための予防プログラム
    5. 国の規制の枠組みの推進
  4. 国連環境計画と世界保健機関をそれぞれの権限及び可能なリソースの範囲内で世界パートナーシップの事務局として務めるよう要請し、
  5. 世界パートナーシップに対し進捗状況を作業グループ(Open-ended Working Group)及び第3回国際化学物質管理会議(ICCM3)に報告するよう要請する。


訳注1 持続可能な開発に関する世界首脳会議実施計画(和文仮訳)/外務省
57.鉛ベースの塗料や人間とのその他の接触源の使用を段階的に廃止し、特に子供の鉛との接触防止に務め、監視及び監督努力及び鉛中毒の治療を強化する。



化学物質問題市民研究会
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