■NGOの高懸念物質リスト
スウェーデンの環境NGOであるケムセックは、欧州委員会が作成する高懸念物質リストは、既に毒性の分っている少数の物質しか含まず、消費者製品に含まれる多くの有害物質が見逃されることを懸念して、廃止しなくてはならないとNGOが考える"高懸念物質"のリストの作成を世界のNGOに呼びかけました(2007年6月)。
このケムセックの呼びかけに応えたヨーロッパとアメリカのNGOの協力を得て、ケムセックは『REACH SIN List 1.0』を作成し、9月17日に発表しました。
SIN は "Substitute It Now"の頭文字で、「今すぐに代替を!」という意味ですが、一方、英語のsinには"罪"という意味があり、「罪なリスト」という裏の意味があるようです。
この初版リスト(1.0)では、CMR 物質:220、PBT/vPvB 物質:17、同等の懸念ある物質:30 の合計267物質を挙げていますが、ケムセックは今後さらに検討を重ね、改訂版リスト(2.0)を出すとしています。
■ リストに含まれる物質の選択手順
以下は『REACH SIN List 1.0 に含まれる物質の選択方法』の要約です。
▼高懸念物質の区分
REACHでは第57条で高懸念物質のカテゴリー(a〜f))とその基準を示しているので、これに対応して下記6つのカテゴリーを設定した。
a) 発がん性(区分1又は2)(C)(訳注1)
b) 変異原性(区分1又は2)(M)(訳注1)
c) 生殖毒性(区分1又は2)(R)(訳注1)
d) 難分解性、生体蓄積性及び毒性を有する物質(PBT)
e) 極めて難分解性で高い生体蓄積性を有する物質(vPvB)
f) 上記a)〜f)の物質と同等なレベルの懸念物質(例えば、内分泌かく乱性物質)
▼CMR(区分 1 又は 2)として分類された物質の選択基準
REACH第57条 a, b, c に対応
CMR物質は、欧州委員会指令67/548/EEC (分類と表示)のAnnex I に既に記載されているのでこれをベースとする。