ケムセック(ChemSec) 2011年5月12日
ECHA 有害化学物質の製造者に関する
情報開示に向けて第一歩


情報源:ChemSec News, 12 May 2011
ECHA takes first step towards disclosing information on producers of hazardous chemicals
http://www.chemsec.org/news/news-2011/743-echa-takes-first-step-
towards-disclosing-information-on-producers-of-hazardous-chemicals


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2011年5月18日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/reach/
ChemSec/News/chemsec_110512_ECHA_takes_first_step.html

 今週の初めに(5月9日)ケムセックと環境法NGOであるクライエントアース(ClientEarth)は、ECHA が SIN List(訳注1)に記載されている化学物質を製造している会社に関する情報を開示しないこと対して法的措置をとった(訳注2)。昨日(5月11日)、ECHAはこの情報の一部を開示するであろうと発表した(訳注3)。

 ”我々は有害化学物質の製造者に関する情報を開示するためのECHAによる第一歩を歓迎する。しかし、それは我々の要求の全てに応えていない”とケムセックのプロジェクト・コーディネータ、ジャカール・ライトハートは述べた。

 ECHAは、”登録者名を含んで、安全データシートに含まれている登録書類中のある情報は、将来、ECHAのウェブ広報上で公開されるであろう。会社は、正当な理由を示しECHAが認めれば、この情報を企業秘密とすることができる”と述べた。

 安全データシートを提供する物質の登録者の名前を開示するというECHAの決定は、多くのSVHC(高懸念物質)の登録者をカバーするであろうが、しかし、同等の懸念ある物質、例えば内分泌かく乱物質の製造者名もまた開示されるということの保証にはならない。

 さらに、ECHAは、いつこの情報が公開されるのか明らかにしておらず、また、これらの物質がどのくらいの量、製造されているのかを公開する意図について何も述べていないが、それらは、ヨーロッパの市民の曝露及び健康影響に密接に関連する重要な情報である。

 ECHAは、この文脈において、会社名の機密性が対象となる法的条項がなくても、その機密性の主張を評価するであろうと述べている。我々は公共機関が保持する文書にアクセスする公衆の権利についての理解が全く異なっており、我々は、ECHAがこの情報を開示するよう圧力をかけ続ける。化学物質に関する情報は、産業の利益のめでなく、公衆の利益のためにECHAに登録されていると、クライエントアースの有害物質担当の弁護士ビト・ブオンサンテは述べた。


訳注1:
訳注2:
EU court case: ChemSec and ClientEarth fight for names of toxics producers to be made public Monday, 09 May 2011
ケムセックとクライエントアースの主張
  • REACH は化学物質の安全でない使用を禁じることで公衆の健康を保護するように設計されており、したがって高懸念物質として SIN List に記載されている全ての物質の製造者名と製造量を開示しないのは、REACHの精神と矛盾する。
  • 人々は、自分たち及び環境が曝露する危険な化学物質について知る権利がある。
訳注3:
ECHA press release on 11 May 2011 ECHA to publish more information on chemical substances

ECHA の見解
  • 欧州委員会サービスと管理委員会のアドバイスに従う。
  • 欧州委員会サービスの意見:登録者の名前は、安全データシートに含まれているのだからECHAが開示すべき情報の一部である。有害物質の登録者は、正当な理由があり所定の金を払えば商業上の利益のために機密を主張できる。
  • ECHA:機密主張を評価する。非有害物質の登録者名の開示は自主的である。


化学物質問題市民研究会
トップページに戻る