ケムセック(ChemSec) 2022年11月8日
これが REACH 改訂を遅らせることが
できない本当の意味である


情報源:ChemSec news November 8, 2022
This is what delaying the REACH revision actually means
https://chemsec.org/this-is-what-delaying-the-reach-revision-actually-means/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2022年11月14日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/reach/ChemSec/News/ChemSec_221108_
This_is_what_delaying_the_REACH_revision_actually_means.html


 数週間前、欧州委員会は REACH 規則の改訂が遅れると発表した。改訂は来年の最初の数か月ではなく、2023 年の最後の四半期に予定されている。それはほんの数か月のことなので、それほど大したことではないように聞こえるかもしれない。しかし、実際には、これらの数か月が世界に大きな違いをもたらすことになる。

 要するに、全ては、2024 年に新しい欧州委員会が選出される前に、欧州議会が REACH の改訂を進めるのに十分な時間を持てるかどうかにかかっている。

 改訂が欧州グリーンディールとその持続可能性のための化学物質戦略に沿っていることを確実にするために、現在の委員会によって行われる必要があるため、これは重要である。そして、それは約束されたように野心的に行われる必要がある。次の欧州委員会の優先事項がどうなるか、我々にはわからない。

時計が時を刻んでいる

 欧州議会がいわゆる「第一読会(first reading)」を行うのに間に合うように提案を提示した場合、次の欧州委員会は、現在の欧州委員会によって切り分けられているものと同じ路線に沿って継続する必要がある。さもなければ、次の委員会は大きな重要な塊を切り取り、REACH の改訂を大幅に変更する可能性がある。

”提案が2023年の最後の四半期に委員会によって提示された場合、議会には十分な時間がない”

 欧州委員会が発表したように、2023 年の最後の四半期に改訂案が提示された場合、欧州議会には十分な時間がない。

 現在の議会の任期は 2024 年 5 月に終了し、その数か月前に国会議員は全ての通常の業務を脇に置き、次の選挙だけに集中する。そして、彼らは自分自身と仕事を組織化するのに数ヶ月を必要とすること、そしてそれがかなり大きな提案であることを考えると、REACH 改訂案はおそらく次の欧州委員会が最終的に取り上げてほこりを払うまで、どこかの引き出しに入れられるであろう。

 しかし、欧州委員会は、REACH 改訂案は準備が整い次第、提示するということを非常に明確に述べている。彼らはそれだけのために来年の第 4 四半期まで待つ必要はない。

来年の夏までに完成しなければならない

 したがって、これを念頭に置いて、我々は欧州委員会が前倒しに取り組み、来年の夏までに REACH 改訂案を提示することを強く求める。これにより、欧州委員会は当初予定していたよりも多くの時間を提案に取り組むことができる(当初の第 1 四半期ではなく第 2 四半期)。また、議会が「第一読会(first reading)」を行うのに十分な時間も与えられる。そして、我々の多くはその様になることを望んでいる。

”REACH は改訂が切実に必要であり、これは次の EU 選挙の前に決定されなければならない”

 加盟国と欧州議会の両方が、欧州委員会の権限内で REACH 改訂を進めることについて非常に強力で明確な支持を表明している。また、多くの企業が、REACH 改訂案の基礎となる化学物質戦略に沿ってすでに作業を開始しているので、改訂がすぐに決定されることを期待している。

 REACH は改訂が切実に必要であり、これは次の EU 選挙の前に決定されなければならない。現在、規制は最も有害な化学物質を効果的に段階的に廃止することに成功していない。また、代替品の生産者に十分な支援を提供したり、より安全な化学物質への移行を奨励したりすることもない。

 欧州委員会は、議会に「第一読会(first reading)」を行うのに十分な時間を与えるために、来年(2023年)の夏までに REACH 改訂案を提出する必要がある。そして、それは化学物質戦略に沿ったものである必要がある。

 これが、ヨーロッパで進歩的な化学物質規制を確保する唯一の方法である。



化学物質問題市民研究会
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