国際化学物質事務局(ChemSec) 報告書
安全な製品
消費者の信頼のひとつの条件
Electrolux (台所設備、掃除、屋外用機器)
情報源:The International Chemical Secretari
http://www.chemsec.org/
Safe products - A condition for consumer confidence
http://www.chemsec.org/documents/What%20we%20need%20from%20REACH.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/

掲載日:2005年3月31日
更新日:2005年8月31日

Electrolux (台所設備、掃除、屋外用機器メーカー)

 エレクトロラックス社(Electrolux社)は、冷蔵庫、洗浄機、調理器、掃除機、チェインソー、芝刈り機、園芸用トラクターなどの、台所設備、清掃機器、及び屋外用機器の世界最大のメーカーである。

 エレクトロラックス社は、革新的で信頼性ある技術、容易な使用、そして安心をお届けしている。これは、当社の製品を購入する顧客に対する我々の公約である。これに関し、”安心”は、消費者が製品には人間の健康と環境に有害かもしれない化学物質が使用されておらず、製品は責任あるやり方で製造されていると信頼できる−ということを意味している。

 毎年、150か以上の国々の顧客が、約5,500万の消費者用又は業務用のエレクトロラックス社製品を購入しており、AEG、Electrolux、Zanussi、 Frigidaire、Eureka、Husqvarna などの有名ブランドで販売している。我々は我々の製品は世界中の4億以上の家庭で使用されていると推定している。

 化学物質の持続可能な使用は健康と環境への影響が適切に評価されることを要求する。どのような物質に対しても許容できない特性が見つかったなら、我々は有害な影響のない代替物を早急に採用しなくてはならない。物質、調剤、成形品に関し十分なデータがないことがしばしばある。

 エレクトロラックス社は、物質が環境と健康に対する懸念を及ぼすという重大な2つの事例を経験している。冷蔵庫に使用されているCFCsがオゾン層を破壊するという特性をもつことが1990年代の初期に特定され、数年後にはオーブンの断熱からの放出の懸念が生じた。前向きに取組むことで、我々はビジネスに悪影響を与えることなく、これらの問題を解決することができた。これらの事件からの経験は我々が化学物質に関する顧客の懸念をよりよく理解し対応するための助けとなった。

我々の化学物質の使用

 ほとんどのエレクトロラックス社の製品は世界25か国で操業している100以上のエレクトロラックス社工場のどこかで製造されている。家庭用機器の製造では、製品中で使用されている全材料の割合としては比較的少量の化学物質が使用されている。エレクトロラックス社は化学物質の川下ユーザーであり、化学物質の大部分は、調剤又は成形品として扱われる。

我々はどのように化学物質を管理しているか

 潜在的に危険な物質を製造工程と製品から排除することを優先することについて我々にはいくつかの理由がある。
  • 消費者は、製品に対し、使用の安全と環境への有害な影響がないこと要求する。
  • 物質は製品のリサイクルに関し有害な影響を持つことがある。
  • 有害な物質は我々の従業員の作業環境を損なうことがある。
  • 潜在的に有害な物質は結果として有害な廃棄物となり、処理コストの増大につながる。
 エレクトロラックス社の製造工程は、供給者によって製造される部品の組み立てが大きな位置を占めている。その他の工程としては金属加工、プラスチック成形、塗装、エナメル被覆(ほうろう)、そしてある程度の部品の鋳造がある。
 製造工程は、廃水、大気浮遊物排出、固体廃棄物等の形で環境へ影響を及ぼす。
 潤滑油や洗浄液のような化学物質は補助工程として使用される。それらはしばしば、製品中で特別な取扱いが必要であり、使用後は有害な廃棄物となる。主要な目標は塩素化合物溶剤の使用を排除することであった。製品中で使用される物質には、断熱材、塗料、エナメルなどがある。前処理とコーティングは環境的に望ましくない化学物質の使用に関連する2つの工程である。エレクトロラックス社は、溶剤ベースの塗料から粉末塗料に切り替え、より効果的な水処理と大気浄化の設備を設置した。

 各製造事業所に環境管理システム(EMS)を導入することは、グループ全体としての環境戦略の重要な一部である。全ての製造事業所はEMSを実施することが求められる。事業所は少なくとも50人の要員を擁してISO 14001 標準にEMSを適合させるよう求められている。

 環境管理システムは環境的危険性を評価し正すために、そして製造を効率的に行うために構造的手法を用いている。その結果は作業環境を改善し環境基準の向上とコストの節約に寄与している。

 エレクトロラックス社は、顧客に”グリーンで安全”な製品を提供することを約束している。

 エレクトロラックス社は、製品がユーザーの健康と安全及び環境保護に関し最高の期待を満たすことを目指して、制限材料リスト(RML)を導入した。我々の製品に使用される物質は決して最終ユーザーに危険をもたらしてはならず、また、”使用済み製品”の有害な特性のために市場で拒絶されたり影響を与えたりするようなことがあってはならない。制限材料リスト(RML)の目的は、これらの要求に従っていない製品を避けることである。制限材料リスト(RML)はまた、世界中の市場で増大している化学物質の規制の傾向に適合するよう作られている。会社はグループ全体として、物質が潜在的に有害であると見なされる場合にも使用されたその物質を追跡する準備ができており、新たな化学的知見あるいは規制により疑念が提起された時に迅速に対応できるようになっている。

 機器の製造者はすでに化学物質の使用に関する様々な規制を受けている。これらのうち、最も重要なものはRoHS指令(Restrictions on the use of certain Hazardous Substances 電気電子機器における特定有害物質使用制限指令/ローズ指令)である。RoHS指令は、鉛、水銀、カドミウム、6価クロム、及び2種類の臭化難燃剤を含む電気電子機器の販売を2006年7月から禁止する。RoHS指令は製品設計に本質的な影響を与える。エレクトロラックス社のほとんど全ての電子製品はこの指令を満たすためにある程度の変更が必要であり、それは主にハンダでの鉛の使用禁止に関する部分である。

なぜREACHが重要なのか

 エレクトロラックス社は、安全な製品、安全な製造、環境保護に関する我々の目標の達成を可能とする法規制を歓迎する。
 川下ユーザーとしてのエレクトロラックス社が使用する物質の環境と健康へのリスクに関する情報にアクセスできるということは基本的に重要なことである。
 我々は提案された調和が取れた総合的な法規制に数多くの長所を見いだしている。
  • 新規物質と既存物質の登録が統合される。
  • 責任が物質の製造者と輸入者に移行するので、物質と調剤に関する情報がもっと完全なものになる。
  • 分類と表示に関する情報がもっと利用しやすくなる。
  • 透明性が増大し、物質と調剤に関する上流と下流の情報の流れを強化する。
 我々は現在、EU市場において輸入又は製造される化学物質と調剤の正確な量を見積もることはできず、REACHの全体影響を予測することは難しいが、REACHは我々が製造に使用する化学物質に影響を与えることは間違いない。

登録
 製品中及び製造工程で潜在的に有害な物質を特定する取り組みは、化学物質の特性に関する情報の入手可能性に依存している。今日、特に調剤と成形品に関する情報の入手に制限がある。

 登録は、物質の分類と表示、安全使用のためのガイダンス、そして要求がある時の化学物質安全報告書に関する共通のルールを確立する。

 川下ユーザーとして、エレクトロラックス社は、登録を全ての物質と調剤に関する情報を入手するための重要なステップであると考えている。我々は優先順位をつける必要性は認めるが、1トン以下の物質に対しても簡単な登録手続きを歓迎する。

 エレクトロラックス社は、ある物質が有害であり通常の使用において排出することがあると分類される場合には、成形品中のその物質も登録することを支持する。

評価
 情報の生成及び供給責任を当局から製造者及び輸入者に移行するには、ある管理メカニズムが必要となる。提出書類中の情報の評価および必要とする追加の物質評価において、情報の品質に関する信頼性を与えるために川下ユーザーにデータ証明書を発行する。

認可
 認可を必要とする物質は、消費者製品に使うことを避けなくてはならない。認可は、これらの物質が製造に使用される時に安全な使用を確保する必要な措置を提供する。

注意義務
 製造者、輸入者及び川下ユーザーには、化学物質が人間の健康又は環境に脅威を与えないやり方で使用されることを確実にする責任がある。関連する化学物質の安全評価を遂行するためにサプライチェーンの上流と下流の情報交換を確実にすることが重要である。

結論

 全ての化学物質の特性と安全使用に関する完全で信頼性ある情報は、化学物質の適切な管理のために欠くことができない。この情報は化学物質をいつ、どのように製品中及び製造工程で使用するかについて正確に評価するために必要である。

 エレクトロラックス社は、REACHは安全な製品、安全な製造、そして環境保護に関する我々の目標を達成するために重要なツールであると考える。


化学物質問題市民研究会
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