POLITICO 2022年5月30日
グリホサートは発ガン性物質ではないと
欧州化学物質庁が言う

その意見は、EU で議論あるこの除草剤を
再認可するかどうかの決定に影響を及ぼす

情報源:Glyphosate not carcinogenic, says EU chemicals agency
The opinion is set to influence decision on whether to
reauthorize the controversial herbicide in the EU.
https://www.politico.eu/article/glyphosate-
not-carcinogenic-says-eu-chemicals-agency/


訳:安間 武/化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2022年6月1日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/eu/news/220530_POLITICO_
Glyphosate_not_carcinogenic_says_EU_chemicals_agency.html

 欧州化学物質庁(ECHA)が月曜日に発表した科学的見解によると、物議を醸している除草剤成分のグリホサートは、人間にガンを引き起さない。

 同庁のリスク評価委員会は、”入手可能な科学的証拠は、特定の標的臓器毒性について、または発がん性、変異原性、または生殖毒性物質としてグリホサートを分類するための基準を満たしていない”ことを発見した。

 この意見は、グリホサートを発がん性として分類しなかった 2017年に ECHA が取った立場から逸脱していない。そして今回は ECHA はグリホサートが深刻な眼の損傷を引き起こす可能性があり、水生生物に有害であると述べた。

 同委員会は 8月中旬までに報告書を発表する予定である。

 ECHA の意見は、除草剤の使用を禁止するか、あるいは再承認するかに関する EU の決定に影響を与え、欧州委員会は、早くても 2023年 7月と、遅れて勧告を行う予定である。

 米国では、何千人もの訴訟人が、彼らの非ホジキンリンパ腫はモンサント社から販売され、現在はドイツの化学薬品の巨人バイエルが所有している、グリホサートを含有する除草剤ラウンドアップが原因であると主張して裁判を起こした。世界保健機関(WHO)のがん研究部門は、2015年にグリホサートは恐らく発がん性発がん性物質である(a probable carcinogen)(訳注:IARC classified as possibly carcinogenic to humans (Group 2A))と結論付け、2017年に 15年間ではなく 5年間で見直すよう EU に促した。

 ECHA の使命は、物質の固有の危険性(ハザード)に注目することだけであり、害を引き起こす実際のリスクには注目していない(inherent hazardousness of the substance, not its real-world risk of causing harm)。イタリアのパルマにある欧州食品安全機関(EFSA)は、来年7月に準備が整うと予想される並行研究の一環としてこれを検討している。


化学物質問題市民研究会
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