エンバイロンメンタル・ワーキング・グループ(EWG)
2023年7月28日 パラベンとは何か? クロエ・ベッテッラ、(コミュニケーション・インターン) 情報源:Environmental Working Group, July 28, 2023 What are parabens? By Chloe Beittel, Communications Intern https://www.ewg.org/news-insights/news/2023/07/what-are-parabens 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2023年7月31日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/edc/USA/230728_EWG_What_are_parabens.html
パラベンは、身体手入れ用品の保存剤として使用される化学物質類のグループである。 しかし、これらの日用品でそれらが広範囲に使用されると、人々は繰り返し暴露する危険がある。 これらは内分泌かく乱物質の一種で、生殖障害を引き起こし、出産結果(転帰)に影響を与え、がんのリスクを高める可能性がある。 パラベンは、1920 年代から身体手入れ用品、食品、飲料に広く使用されてきた。 人々は、パラベンを含む製品を数週間、数か月、数年にわたって使用したり、特定の人気のある食品や飲料品を定期的に消費したりすることで、生涯にわたって繰り返しパラベンに暴露するリスクにさらされる。 メーカーは、多くの身体手入れ用品や食品を安定化し、品質保持期間を延ばすために、パラベンを使用している。 効果的な防腐剤がなければ、多くの製品は頻繁に使用すると汚染され、細菌、酵母、カビの温床となる可能性がある。 パラベンは無臭、無味で化学的に安定しているため、食品や身体手入れ用品での使用に適している。 しかし、より安全な代替手段 (訳注1)が利用可能である。 パラベンは我々にどのように影響を与えるか 我々のホルモン系は、成長、発育、生殖に不可欠である。 内分泌かく乱物質への暴露による正常なホルモン機能の変化は、健康に重大な影響を与える可能性がある。 パラベンは、特に重要な発達段階において、非常に低濃度でホルモン系に影響を与える可能性がある。 化学者たちは、パラベンと甲状腺の変化、ホルモン関連のがんのリスク上昇、肥満、女性と男性の生殖能力の変化との関係を発見した。 パラベンは、女性と男性の両方の生殖系に不可欠なホルモンであるエストロゲンのように作用することがある。 動物実験では、パラベンが内分泌器官や生殖器官に影響を与えるという証拠が発見されている。 パラベンはすでに[ヒトの]血液、尿、母乳、胎盤組織、乳房組織から検出されている。 それらが我々の健康に及ぼす影響を十分に知らなければ、我々の体内にそれらが明らかに豊富に存在することは懸念を引き起こす。 我々はどのように暴露するか 日用品にパラベンが広く使用されているため、我々は皮膚、食事、気道を通じて毎日何度もパラベンにさらされている。 浴室や食品庫の棚に並んでいる製品には、パラベンが含まれている可能性が高い。 これらは、幅広い日常の身体手入れ用品や、ソース、ソフトドリンク、ジャム、風味付けシロップなどの加工食品にしばしばに含まれている。 パラベンの抗菌特性により、シャンプー、コンディショナー、顔や皮膚の洗浄剤、シェービングジェル、保湿剤など、水分を多く含む製品における真菌や細菌の増殖に対して効果的である。 しかし、パラベンのこの広範な使用により、パラベンを含む可能性のある製品が増え、さらなる健康上の懸念が生じている。 科学者らはまた、日常の身体手入れでスプレーやパウダーを使用する場所の室内埃中や空気中に高濃度のパラベンが存在することを発見した。 パラベン汚染は世界中に広がっており、人間も動物も同様に暴露する。 政府がやっていること 食品医薬品局(FDA)は、市場に導入される前に化学物質を審査することを求められていない。 いずれにしても、食品医薬品局(FDA) も疾病管理予防センター(CDC)も、パラベンを消費しても有害であるとは考えていない。 欧州連合は、化粧品中のパラベン濃度を、個々のパラベン化学物質については 0.4 パーセント未満、パラベン混合物については 0.8 パーセント未満に制限している。 欧州委員会はまた、ブチルパラベンとプロピルパラベンについてはもっと低い制限を設定し、他の 5種類のパラベンの化粧品への使用を禁止した。 米国では、食品や身体手入れ用品からパラベンなどの有害化学物質を排除する取り組みでカリフォルニア州が先頭に立っている。 2020 年カリフォルニア州法である毒性のない化粧品法(Toxic-Free Cosmetics Act)は、有害化学物質の中でもとりわけ、化粧品に使用される特定の種類のパラベンの販売を禁止している。 今年、ジェシー・ガブリエル議員(民主党、サン・フェルナンド・バレー)が起草した議会法案 418 が議会を通過し、最近 2 つの上院委員会を通過した。 実施されれば、カリフォルニア州は、EUによる食品中のプロピルパラベンの禁止に応じて、プロピルパラベンを含む 5つの有害化学物質を食品から排除する最初の州となる。 また今年、カリフォルニア州議会議員ローラ・フリードマン(民主党、グレンデール)は、イソブチルパラベン、イソプロピルパラベン、及び人間の健康に影響を与えることが知られている他の24種類の有害化学物質を含む化粧品の販売を禁止する議会法案 496を提出した。 どのように暴露を最小限に抑えるか 米国連邦当局は化粧品や食品へのパラベンの使用を許可しているが、市場の圧力を受けて、一部の責任ある企業はパラベンを含まない製品を製造している。 妊娠、乳児期、小児期、思春期などの発育段階でパラベンへの暴露を減らすと、関連する内分泌系の健康上の問題のリスクが軽減される可能性がある。 パラベンへの暴露を減らしたい場合は、次のことができる。
訳注1:安全な代替参照論文 Environmental Research Volume 198, July 2021 Controversy around parabens: Alternative strategies for preservative use in cosmetics and personal care products Author Karolina Nowak, Ewa Jablonska, Wioletta Ratajczak-Wrona https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0013935120313852 Abstract(訳) 化粧品やパーソナルケア製品の防腐剤としてのパラベンの使用については、科学者と消費者の間で議論されている。 パラベンは製造が簡単で効果的で安価であるが、その安全性については依然として議論の余地がありる。 その他の一般的な化粧品防腐剤には、ホルムアルデヒド、トリクロサン、メチルイソチアゾリノン、メチルクロロイソチアゾリノン、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、安息香酸ナトリウムなどがある。 それらは高い抗菌効果を持っているが、健康への悪影響も示す。 最近、科学者たちは、エッセンシャルオイル((植物性)精油)や植物抽出物などの天然物質が抗菌力を持っていることを示した。 しかし、化粧品への使用には課題がある。 この総説記事は、化粧品やパーソナルケア製品の微生物汚染を防ぐために利用できる方法を包括的にまとめたもので、これにより、これらの製品におけるパラベンの使用量を減らすことができる。 訳注:日本のパラベン規制
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