グリーンピース 2007年8月5日
貧しい人々を汚染
ガーナの電子廃棄物


情報源:Greenpeace, August 5, 2008
Poisoning the poor ? Electronic Waste in Ghana
http://www.greenpeace.org/international/news/poisoning-the-poor-electroni

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2008年8月30日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/e_waste/gp_e-waste_ghana.html


プラスチックを溶かし、銅線を回収するために電線と電子部品を燃やす少年。この小さな焼却が有害化学物質を環境中に放出する。画像拡大
Photo by Greenpeace/Kate Davison / Kate Davison
 ガーナ。ひどい汚染をもたらすハイテク有害廃棄物を我々が見た最新の場所はガーナにあった。我々がガーナにある二つの電子廃棄物(e-waste)処分場から採取した試料の分析で、有害化学物質の深刻な汚染があることが明らかになった。

 最新のファッショナブルな携帯電話、薄型テレビ、あるいは超高速コンピュータ等へのかつてないほどの需要が、鉛、水銀、臭素化難燃剤のような有害化学物質をしばしば含んでいる古い廃棄電子機器をかつてないほど大量に生み出している。この電子廃棄物の多くは安全にリサイクルされるよりむしろ開発途上国に投棄されている。以前に、我々は中国やインドの電子廃棄物処分場からの汚染を明らかにした。ナイジェリアもまた、古い電子廃棄物の投棄場所であることが特定されていた。

 いかがわしい電子廃棄物貿易について我々が調査している過程で、我々は電子廃棄物がヨーロッパやアメリカからガーナにしばしば不法に輸出されているという証拠を発見した。我々は、電子廃棄物のリサイクルと処分による作業場の汚染を調べるためにガーナを訪れた。

 作業場では防具をつけていない作業員、その多くは子ども達は、売れそうな金属を求めて、石ころのようなものでコンピュータやテレビを分解している。残りのプラスチックやケーブル、ケースなどは燃やされるか単に投棄される。

 試料のあるものは、バックグラウンドのレベルより100倍も高い鉛などの有毒金属を含んでいた。あるものは生殖機能を阻害することが知られているフタル酸エステルのような他の化学物質もまたテストした試料のほとんどから検出された。ひとつの試料からはまた、がんを促進することで知られる塩化ダイオキシンを高レベルで含んでいた。

 我々の科学ユニットのケビン・ブリジェン博士は、中国、インド、及びガーナの廃棄物現場を訪れている。”排出される化学物質の多くは、非常に有毒で、あるものは子どもの発達中の生殖機能に影響を与えるかも知れず、また他の化学物質は脳の発達や神経系に影響を与えることがある。ガーナ、中国、インドにおいて、その多くが子ども達である作業者らは、これらの有害化学物質に相当暴露しているかもしれない”。

どのようにしてガーナに届くのか?
 フィリップス、キャノン、デル、マイクロソフト、ノキア、シーメンス、ソニーなどのブランド品からなる古い、そしてしばしば壊れたコンピュータ、モニター、テレビなどを満載したコンテナーが、偽りの”中古品”という表示の下に、ドイツ、韓国、スイス、オランダ等からガーナにやってくる。ヨーロッパからの電子廃棄物の輸出は違法であるが、”再使用”目的の古い電子機器の輸出は、あくどい貿易業者がガーナに古い電子機器を投棄して利益を得ることを許している。コンテナーの中味の大部分はガーナのスクラップ・ヤードに行き着き、防具をつけていない労働者らによって破壊され燃やされる。ある貿易業者らは、機能するわずかなコンピュターを含むコンテナーを得るために、彼らは先進国の輸出業者から同じコンテナー中に古いスクリーンなど壊れたガラクタを一緒に受け入れなくてはならない。

解決策は何か?
 機能するコンピュータや携帯電話は、アフリカのいくつかの国では再使用することができるが、それらが廃棄される時にはそれらに含まれる高いレベルの有害化学物質のために汚染を生成する。このことが、我々が最大手の電子機器会社に有害化学物質の使用を止め、世界規模のリサイクル制度を導入するよう圧力をかけている理由である。この二つの取り組みが、有害電子廃棄物の高まる潮流と戦うために重要である。

 いくつかの会社は、彼らの製品の全ライフサイクルに対し責任を持つ方向に進んでいる。しかし、フィリップスとシャープは彼らの古い製品のリサイクルに責任を持つことを拒否することで際立っている。これらの有力な多国籍企業の態度は、ディジタル・ディバイド(訳注1)を隠し続け、途上国における安全保護のない労働者らに対する有害な遺産を残すデンジャラス・ディバイド(訳注2)を常に存在させ続けることになる。

訳注1:IT技術を享受できる人々と享受できない人々との格差が広がること
訳注2:危険な作業が貧しい人々(途上国)に偏ること


背景
 2008年中頃、キャンペイナー、キム・ショッピンクと写真家ケイト・デビソンを含むグリーンピースのチームは、我々の電子廃棄物に実際何が起きているのかを報告し証拠を収集するためにガーナに行った。

背景説明(画像と音声)


行動しよう
 大手コンピュータ企業の経営者らに、より環境によいコンピュータを製造すことに取り組むよう手紙を書くことで圧力をかけ続けることができる。

支援のお願い
 我々は、我々が噛みつきたいと望むかもしれない手によってエサをもらうことを決して容認できない。企業からの寄付を受けないということは、我々が活動を続けるために支援してくださるあなたのような人々に完全に頼っているということを意味する。我々の目標企業のあるものは、我々が丸一年を費やすことにわずか数時間しか費やさない。どうぞできることは何でも支援していただきたい。


訳注:途上国の電子廃棄物問題に関する報告

■グリーンピースの報告書
■バーゼル・アクション・ネットワークの報告書
■ナショナルジオグラフィック




化学物質問題市民研究会
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