米化学会ES&T 2008年10月22日
報告:アメリカの電子廃棄物政策を批判する 情報源:ES&T October 22, 2008 Report criticizes U.S. e-waste policies http://pubs.acs.org/subscribe/journals/esthag-w/2008/oct/policy/nl_gao.html 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2008年10月26日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/e_waste/est_081022_US_e-waste_policies.html 電子廃棄物の増大にもかかわらず、米環境保護局(EPA)はそのような廃棄物の開発途上国への移動を制限するために何もしてこなかった。 米会計検査院(GAO)によれば、連邦法は有害電子廃棄物(e-waste)の有害影響を管理することに失敗している。使用済み電子機器の海外への投棄を防止する規制があるにもかかわらず、米EPAは電子廃棄物の輸出の”流れを事実上無制限”のままにしていると、この監視機関は報告している。
しかし、現在までのところ、鉛を含有しているCRTだけがEPAによって(2007年1月以来)規制されている。GAOは、EPAの電子廃棄物輸出の管理の実態を3ヶ月にわたって調査した。GAOの調査員は、壊れたCRTの海外買取人のふりをしてウェブサイトをいくつも巡り、それらを喜んで買取人に売り、香港、パキスタン、その他どこでも船積するアメリカの会社があることを明らかにした。 今のところ香港は、違法に輸出されたCRTを収納した28個の船積コンテナーを拒絶した(訳注1)。しかしGAOによれば、EPAは違反業者1件を摘発しただけである。既存の狭い規制を(CRT以外の)他の電子廃棄物に拡張することだけでなく、EPAは現在の規制の施行を改善するべきであると同報告は結論付けている。 アメリカは、電子廃棄物の輸出を規制するバーゼル条約の加盟国ではない。しかし、同条約を批准している国際的な機関、経済協力開発機構(OECD)のメンバーであり、アメリカはOECDの決定に従うことに同意している。GAOは、EPAはバーゼル条約の下に確立されている有害廃棄物の分類と輸出手続に合致するためにその規制を改善すべきである。 GAOの調査結果、『電子廃棄物:EPAは、実施の強化と包括的な規則により、有害なアメリカの輸出の管理を改善する必要がある』(訳注2)は、アメリカ下院外務委員会に要請され、今年の8月に発表されたものである。ワシントンポスト(訳注3)によって報道されたように、EPAは、調査中であるとし、また罰金を科すことに言及しつつ、この報告書の結論に異議を唱えた。 (ナオミ・ルービック(NAOMI LUBICK)) 訳注1:香港とマレーシアの使用済み電子機器の輸入規制
Electronic Waste: EPA Needs to Better Control Harmful U.S. Exports through Stronger Enforcement and More Comprehensive Regulation) 訳注3:ワシントン・ポスト 2008年9月17日 Washington Post, September 17, 2008; Page A11 EPA Lets Electronic Waste Flow Freely, GAO Report Says |