市民団体共同プレスリリース/首相・外相・環境相への書簡(2007年4月2日)
日本政府は日・タイ経済連携協定から全ての廃棄物を削除し 廃棄物の「国内処理原則」を守り 資源循環に名を借りた「途上国への輸出」戦略を止めるべき 日本語版PDF 英語版PDF 掲載日:2007年04月2日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/JTEPA/070402_JTEPA_press.html 市民団体プレスリリース 2007年4月2日 日本政府は日・タイ経済連携協定から全ての廃棄物を削除し 廃棄物の「国内処理原則」を守り 資源循環に名を借りた「途上国への輸出」戦略を止めるべき 【2007年4月2日 東京】 日本の環境問題、健康問題、人権問題、農業問題等に取り組む市民団体は、タイ王国スラユット・チュラノン首相の来日にあたり、4月3日に安倍晋三首相との間で調印が交わされるといわれる日・タイ経済連携協定(JTEPA)から全ての廃棄物を削除し、廃棄物の「国内処理原則」を守り資源循環に名を借りた「途上国への輸出」戦略を止めるべきとする書簡を日本の内閣総理大臣、外務大臣、及び環境大臣に宛てた書簡を4月2日付けで送付した【添付】。 日本はすでにマレーシア、シンガポール、フィリピンとの二国間経済連携協定(EPA)に調印しており、インド、インドネシア、ベトナム、その他のアジア諸国とも同様な協定の調印に向けて交渉中である。しかしすでに調印されたアジア諸国との経済連携協定にはその関税削減/撤廃リストに医療廃棄物や焼却灰 などの有害廃棄物が含まれている。これはバーゼル条約でその移動が厳しく管理されている有害廃棄物の途上国への輸出の道を開くものであるとして、アジア諸国などの市民やNGOは有害廃棄物を経済連携協定に含めないよう強く求めている。 2月11日には日本の建国記念日にあわせて、国際的なNGOであるGAIA / Global Alliance for Incinerator Alliance(脱焼却グローバル連合 本部 フィリピン、マニラ)などの呼びかけに応じて、アジアや北米など計40を越える市民社会組織から各国の日本大使館へ、日本が自由貿易協定(FTAs)/経済連携協定(EPAs)の下で有害廃棄物などの国際移動自由化を図ろうとしていることに対し、FAXやE-mailなどで批判の意見書が送られた。 日本の市民団体もこのGAIAの呼びかけに呼応して2007年2月11日に下記市民団体共同声明を発表し、総理大臣、環境大臣、経済産業大臣、外務大臣に送付している。 日本語版:市民団体共同声明2007年2月11 http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/JPEA/EPA_Jpn_NGO_Joint_Statement_070211_jp.pdf 英語版:Citizen Groups Joint Statement on February 11, 2007 http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/JPEA/EPA_Jpn_NGO_Joint_Statement_070211_en.pdf 本件に関する問い合わせ: 安間 武(化学物質問題市民研究会) 〒136-0071 東京都江東区亀戸 7-10-1 Z ビル 4階 TEL/FAX 03-5836-4358 e-mail: ac7t-ysm@asahi-net.or.jp 添付:内閣総理大臣、外務大臣、環境大臣宛て書簡 「市民団体共同声明」 2007年4月2日 2007年4月2日 内閣総理大臣 安倍晋三 殿 外務大臣 麻生太郎 殿 環境大臣 若林正俊 殿
市民団体共同声明
日本政府は日・タイ経済連携協定から全ての廃棄物を削除し 廃棄物の「国内処理原則」を守り 資源循環に名を借りた「途上国への輸出」戦略を止めるべき 私達は環境問題、健康問題、人権問題、農業問題等に取り組む市民団体です。 日本政府は、タイ王国スラユット・チュラノン首相の来日(2007年4月2日〜5日)にあたり、その滞在中に安倍晋三首相との間で日・タイ経済連携協定(JTEPA)の調印を取り交わす予定であると理解しています。 日本においては日・タイ経済連携協定(JTEPA)の文書は公表されておりませんが、タイにおいては市民や市民団体、大学人、ジャーナリストなどが同協定中にはすでに調印されている日・比経済連携協定(JPEPA)と同様に有害廃棄物が関税削減リスト中に含まれており、バーゼル条約でその移動が厳しく管理されている有害廃棄物のタイへの輸出に道を開くものとして懸念し、その公開を要求しました。その結果タイ政府は昨年12月22日の公聴会に先立ち、厳しい条件付で市民団体代表に協定書文書の閲覧を許しました。 閲覧したタイの市民団体連合組織であるFTAウオッチなどの報告によれば、同協定には日・比経済連携協定(JPEPA)と同じく都市ゴミの焼却灰、廃水設備からの汚泥、医療廃棄物などを含む有害廃棄物が関税削減リスト中に含まれていることを確認し、タイ外務省もその事実を認めました。 グリーンピース東南アジアは、同協定はタイを日本のゴミ捨て場にするものであるとして、2007年1月9日付けで安倍晋三首相(写し外務大臣、環境大臣)宛てにJTEPAから有害廃棄物の関税削減条項を削除する要求を骨子とする書簡を送付しています。 グリーンピース東南アジアによれば、タイ通関当局の統計は、2006年の最初の11か月間で日本は、関税の分類を"その他"と表記して有害廃棄物−海藻の灰(ケルプ)、一般廃棄物焼却炉からの灰と残渣等の灰、及びその他のスラッグ−396,809トンをタイに送り込んでいることを明らかにしています。日本からのこの量は、タイに廃棄物を送った8か国の全量の98%であるとしています。同期間中、日本は、関税の分類を"化学又は関連産業"と表記して"医療廃棄物"42kgをタイに送った唯一の国であるとしています。 FTAウオッチは、JTEPAの作成及び交渉に公衆の十分な参加が欠如しており、12月22日の"公聴会"はせいぜい単なる世間に対する受けをねらっただけのものであるとしています。 日本政府は「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約(1989年)」には批准していますが、リサイクル目的であっても先進国(OECD諸国)から開発途上国(非OECD諸国)に有害廃棄物を輸出することを禁止する「バーゼル禁止修正条項(1995年)」には、日本はアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージランドなどとともに強硬に反対しており、批准していません。 また、2005年4月に東京で開催されたG8/3R閣僚会議において、"物品・原料の国際的な流通に対する障壁の低減"を打ち出し、資源の国際循環という名の下に、有害物質を含む中古品や廃棄物を開発途上国へ輸出して、製品としての寿命をほとんど終えた中古品や廃棄物の処分を途上国に押し付けようとしています。 さらに、日・比経済連携協定や日・タイ経済連携協定と同様の二国間経済協定をアジア地域の各国と結び、これらの協定を利用して日本の中古品や廃棄物のアジア地域内での処理を推進しようとしていることは明らかです。 バーゼル条約及びわが国の廃棄物処理法においても、廃棄物の「国内処理の原則」を明確に規定しています。それにもかかわらず、わが国で発生する廃棄物の処理を途上国に押し付けることで、自国の廃棄物問題の軽減をはかり、その結果、途上国の人々の健康と環境を脅かすということは許されません。 そこで、私たちは日本政府に対して、以下のことを求めます
以上
賛同団体
問い合わせ: 安間 武(化学物質問題市民研究会) 〒136-0071 東京都江東区亀戸 7-10-1 Z ビル 4階 TEL/FAX 03-5836-4358 e-mail: ac7t-ysm@asahi-net.or.jp |