バンコク・ポスト 2007年3月5日記事 紹介
タイ−日本 FTA交渉:
有害廃棄物を輸出しないとする付属書を
同協定に添えることを東京で検討

専門家は問題ある文言の削除を強く訴える

情報源:Bangkok Post, 5 March 2007
Thai-Japanese FTA negotiations: Toxic waste annex to be tabled in Tokyo
ACHARA ASHAYAGACHAT & KULTIDA SAMABUDDHI
hhttp://www.bangkokpost.com/News/05Mar2007_news11.php
http://www.bilaterals.org/article.php3?id_article=7322

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2007年3月5日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/JTEPA/070305_JTEPA_Bangkok_Post.html


 貿易協定が有害廃棄物の国境を越える移動に関する国際条約を無効にすることはないということを確実にするために1ページの付属書が加えられるであろう−と産業職業省廃棄物上席担当官が述べた。この”協定の解釈に関する理解と呼ばれる付属書”は、タイ−日本FTAが有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約との矛盾を生じさせる意図はないことを明記し、廃棄物貿易を緩和するまたは同条約を弱体化することを決して意味していないということを規定すると同省廃棄物管理計画部門長バンドゥイット・ツンサシエン氏は述べた。

 タイの交渉者らは東京と付属書について討議しており、両国は来月早々にも同協定を 締結するように見える。

 この動きは、反FTA活動家らや国際貿易協定に関する専門家らが同条約が施行されれば日本の有害廃棄物がタイに流入すると政府に警告したことによる。同FTAの下では、タイも日本も批准しているバーゼル条約で厳格に管理されるべき有害廃棄物の輸出入を容易にするために廃棄物への関税は撤廃される。

 同条約は、有害廃棄物の先進国から開発途上国への移動を止めるための法的拘束力のある世界的な約束である。同条約の締約国は廃棄物管理の自国内処理の原則に従わなくてはならない。
 しかし、そのような付属書を含めることについてFTAに反対する側から批判されている。

 国家人権委員会のFTAに関する作業部会のバントゥーン・スレサリロート氏は、同付属書は無意味であり、バンコクを東京の廃棄物から守ることはできないと述べた。

 彼は、有害廃棄物の輸入のための関税低減に関する条項が削除されるべきであり、同FTAの文言全体は環境に関する諸条約が貿易と投資行為に勝るということを確実にするよう修正されるべきであると述べた。

 バントゥーン氏はまた、タイ政府が東京と廃棄物問題を再交渉するのではなく、1ページの付属書を同FTAに加えようとするタイ政府の動きに疑問を呈した。

 ”解釈の理解を添付するのは最後の手段である。タイの交渉担当官はまず最初に日本に対し問題ある文言を削除することを説得するよう努力すべきである”と彼は述べた。

 オルタナティブ・インダストリ・ネットワークの環境活動家ペンチョーム・セータンさんは、付属書は大まかに書かれているので、有害廃棄物貿易がタイの有害物質規制法とバーゼル条約を順守することを保証するものではないと述べた。

 彼女は、タイと日本政府に対し、同FTAから廃棄物貿易の問題を削除するよう要求した。”有害廃棄物を関税撤廃に相応しい通常の物品として取り扱うことは合理的ではない。そのような有害物質の国境を越える移動は人の健康と環境に悪影響を与えるであろう”と彼女は述べた。



化学物質問題市民研究会
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