グリーンピース東南アジア 2007年1月26日
日本の核廃棄物が東南アジアへ
自由貿易協定はタイとフィリピンを日本の核廃棄物の目的地にする


情報源:Greenpeace Southeast Asia, 26 January 2007
Japan's nuke waste knocking on Southeast Asia
FTAs to open Thailand and Philippines as destinations for Japan's radioactive waste
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/JTEPA/Final-EN-PR-NukeWaste.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2007年1月27日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/JTEPA/070126_JTEPA_gp_nuke.html


【バンコク 2007年1月26日】グリーンピースは本日、日本はその経済力にものを言わせて、現在タイとフィリピン両国と交渉中の自由貿易協定(FTAs)の中に、核及び放射性廃棄物の輸出を促進する危険な条項を入れていると警告した。

 日本フィリピン経済連携協定(JPEPA)は、有害廃棄物のフィリピンへの投棄を促進する条項以外にも、放射性物質及び”使用済み原子炉用(放射性)燃料要素(カートリッジ)”(原文:"Spent (irradiated) fuel elements (cartridges) of nuclear reactors")の関税を撤廃する条項を含んでいる(訳注1)。グリーンピースは上述の項目に原子炉の廃棄物が含まれていると信じている。

 ”我々はタイ−日本及びフィリピン−日本の自由貿易協定は、日本がこれらの国に投棄しようと望んでいる全ての有害廃棄物に加えて、核及び放射性廃棄物に関しても同一の文言であると信ずる理由を持っている。タイ政府は日本との条約に署名する前に全ての核及び有害廃棄物投棄条項を廃棄しなくてはならない”とグリーンピース東南アジアのキティクン・キティアラームは述べた。

 日本が有害廃棄物を両国に輸出することを許す条項に市民と環境団体が反対しているこの時に、日本政府はタイ及びフィリピンとまさに自由貿易協定を批准しようとしている。日本とフィリピンはすでにその協定に署名し、フィリピンでは批准のために上院に送られているが、タイとの協定文書は何も公開されていない。日本が、核及び放射性廃棄物をこれらの協定中に含める意図を持っていることが今明らかになった。

 ”日本の国会は、東南アジアへの核及び有害廃棄物の輸出にドアを開けるような条約を採択すべきではない。自国の廃棄物問題を効果的に処理する手法もリソースも持たない国に、日本のような富める国が危険な廃棄物を投棄するということは非常に非道徳的で不正義である。さらに、放射性廃棄物の処分に対して安全な解決策はまだ見つかっていない”とキティクンは付け加えた。

 今週の火曜日(23日)、タイ内閣は日本タイ経済連携協定(JTEPA)を国家立法会議(NLA)に承認と批准を求めて送付した。市民らはメディア及び公衆にJTEPAの文書を公表するよう繰り返し求めているにもかかわらず、JTEPAの文書は、未だに公表されていない。タイの交渉担当者らは、JTEPAに有害化学廃棄物含めることは彼らの”交渉戦術”の一部であると主張している。

 日本とタイ両国は、先進工業国から開発途上国に有害廃棄物を輸出することを止めるという法的に拘束力のある世界の約束であるバーゼル条約の締約国である。しかし、両国は、たとえリサイクル目的であっても有害廃棄物の貿易を禁止するバーゼル禁止修正条項には批准していない。

 グリーンピースは、、世界的環境問題に身を挺して立ち向かうために、そしてグリーンで平和な将来にとって重要な解決を引き出すために、非暴力的で創造的な対決を行う独立した活動団体である。

更なる情報のための連絡先:
Kittikhun Kittiaram, Toxics Campaigner, Greenpeace Southeast Asia, +668 1372 1149
Jane Wongkanit, Media Campaigner, +6681 6139755


訳注1
フィリピンの表(英文):
Annex 1 referred to in Chapter 2: Schedules in relation to Article 18 (PDF)
http://www.mofa.go.jp/region/asia-paci/philippine/epa0609/annex1.pdf 2844.50 00 - Spent (irradiated) fuel elements (cartridges) of nuclear reactors : Category A
(放射性物質及び使用済み原子炉用(放射性)燃料要素(カートリッジ)が記述されている。)

日本の表(日本語):附属書一(第二章関係) 第十八条に関する表(PDF)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/j_asean/philippines/pdfs/fuzoku01.pdf
第二八類無機化学品及び貴金属、希土類金属、放射性元素又は同位元素の無機又は有機の化合物 A
(廃棄物と明示されていない)

訳注:Category A 又はAは協定発効後即時、関税撤廃を示す。

フィリピンのこどもたちの未来のための運動(CFFC)のウェブサイトでJPEPAの原子炉及び核廃棄物の関税表を詳しく掲載しています。
http://www.geocities.jp/fujiwara_toshihide/jpepa/index.html#14



化学物質問題市民研究会
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