BAN-AP プレスリリース2007年8月14日
有害廃棄物条約
有利なのは日本 フィリピンではない

上院フォーラム:JPEPAの法的落とし穴と空約束を暴く

情報源:August 14, 2007
BAN AP Press Release: Toxic Treaty Favors Japan, Not the Philippines
Senate Forum Bares Legal Traps and Empty Promises of the JPEPA

http://junkjpepa.blogspot.com/2007/08/press-release-toxic-treaty-favors-japan.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2007年8月16日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/JPEA/press_ban_mgkaisa_070814.html


 【8月14日 マニラ】 ”私の見解では、JPEPAは全くひどい条約である”と日本フィリピン経済連携協定(JPEPA)に関する検証結果を共有するために影響を受ける各分野にその場を提供する上院の円卓会議で本日、招待講演者の一人であり、国際法の専門家でUP法科大学元学部長、ディーン・メルリン・マガローナは声高に述べた。看護師、農民、労働者、そして負債者の代理としての代表者や専門家らが円卓会議出の討議で意見を述べた。このグループによって提起された懸念の中で最大のことがらは、JPEPAでは、フィリピンの犠牲の下に日本はいかに有利であるか、そしてフィリピン議会がフィリピンに有利でフィリピンを支える保護的措置を採択することをいかに難しくするかということである。

 ”この討議でなされる上院と公衆の精査に目を光らせるべき時である”とJPEPA の発効を阻止する連合(Magkaisa Junk JPEPA Coalition)の法律顧問である弁護士ターニャ・ラトは述べた。”上院議員らがJPEPAについてよく検証すれば、非現実的な短期的利益のためにどの位多く我々の将来を売ったかを自からの目で見ることになる。”

 フォーラムにおいてディーン・マガローナ及びその他の専門家らは、JPEPAはフィリピンアに対し実際にはフィリピンでの投資の全ての局面において日本の投資家を自動的にフィリピン人と同等に取り扱う義務を負わせるものであり、これは日本が他国との協定で得ているよりかなり好条件であると指摘した。”自身の経済の中でフィリピン人の価値は何か?”JPEPAを通じてフィリピン政府が日本人を我々と同等に使用としているのを見てディーン・マガローナは驚きを示した。

 投資に関連する協定のAnnex 7 の下に既存及び将来の措置のためにフィリピンによってなされた不完全でいい加減な留保についても警告がなされた。留保は非常に重要である。それは、フィリピンの利益を守るための柵となるので重要であり、JPEPAのAnnex 7 に留保を含めることに失敗すると我が国が同条約全体に対し保護または立法措置を発動することを妨げることになるからである。

 既存の措置について、日本の留保はフィリピンに比べて広範であることがこのフォーラムを通じて判明した。様々な投資分野において、日本はフィリピンに同等に取り扱う権利(national treatment)を与えることを拒否するであろう。日本は他国(最恵国)に与える好意的な取り扱いをフィリピンには拒否するであろう。そして、日本は日本の労働者を優先的に使用してフィリピンの労働者に損害を与える成績要求(performance requirements )を課すであろう。

 JPEPAの下で将来の保護のために、日本はフィリピンに対して投資に関連する措置を採用し維持する権利を発動した。フィリピンは何もない。将来の措置を留保することにフィリピンの交渉担当者が失敗したことはJPEPAの下でフィリピンの立法権限を著しく制限するものであり、深刻な憲法上の問題、特に立法府の権限が政府の三権独立原則を侵することによる権利侵害の問題を提起するものである。

 ディーン・マガローナはまた、 JPEPA の下では日本に与えられるどのような特恵もWTOの他の150加盟国に与えなくてはならなくなることを強調した。”JPEPAはWTOの義務をはるかに越えている”とディーン・マガローナはさらに警告している。

 ”我々は、JPEPAの下に台所の流しを含めて日本に全てを与えた”と進歩的労働者連合(Alliance for Progressive Labor)の事務局長ジョウサ・マタは声高に述べた。次に出てくるのはどこの国か?中国か?アメリカか?我々にはそして我が国には何が残るのか?そしてもっと重要なことは将来のフィリピン人に何が残るのか?”

 他の講演者はJPEPAに対し次のような問題点を提起した。
  • 有害廃棄物:日本とフィリピンの間で交わされた外交覚書は、日本は有害廃棄物をリサイクル可能な廃棄物に容易に分類を変えることができ、これらの廃棄物はフィリピンにとって経済的価値があると主張するので、フィリピンにとっては十分な保護とはならない。バーゼル禁止条項を日本とフィリピンアが批准することが必要である。

  • 漁業:JPEPAの適用範囲はフィリピンの占有経済領域と大陸棚を含む。このことは日本の商業的漁業の無制限な接近を許すことになる。JPEPAはさらにフィリピンの海洋資源を枯渇させることに利用される。

  • フィリピン看護師:JPEPAは単に我々の労働資源を本国への送金のための商品として扱っている。フィリピン看護師は選択ではなく必要性から海外で働くために出かけていく。彼らは本当はフィリピンにいたいが、政府は今日まで、2002年看護師法と公衆衛生労働者憲章を実施していない。したがって多くの看護師はいまだに生活給以下で不適切な手当てしか受けていない。

  • 国内労働者:JPEPAは製造業に空洞化をもたらし、フィリピンの国内の農業及び工業製品を危うくし、その結果、これらの商品の生産/製造に携わる国内労働者に混乱をもたらす。日本からの低価格製品の自由な参入は我が国の農業と工業分野に輸入商品への依存を高める結果をもたらす。

  • 日本の政府開発援助(ODA):JPEPAは日本のODAの問題点に目を向けないであろう。ODAの98%は即金供与ではなく借款であり、JPEPAでにあっても、汚職の風土的な問題や海外資金援助の扱いの不透明性などの問題がある。
 ”もし上院がこの条約についての議論に徹底的に耳を傾けるつもりなら、影響をうける全ての分野からもきちんと話を聞くべきである”とバーゼル・アクション・ネットワーク、アジア太平洋(AP)の弁護士リチャド・グティエレスは述べた。”JPEPAは、行政部が署名したくてしようがない二国間貿易投資協定である。正しい位置についてスタートするのが望ましい。宣伝ではなく事実を見て、本当の質問をすべきである。我々が実際に売ろうとしているものは何か?”

更なる情報: http://junkjpepa.blogspot.com

Contact:
  • Atty. Tanya Lat, Initiatives for Dialogue and Empowerment through Alternative Legal Services, Inc. (IDEALS) in Manila, Tel. No. 436-5470, e-mail: ideals05@yahoo.com
  • Josua Mata, Alliance for Progressive Labor in Manila, Tel. No. +63 917 794 2431, e-mail: josua@apl.org.ph
  • Atty. Richard Gutierrez, Basel Action Network, Asia-Pacific in Manila, Tel. No. +63 917 506 7725, e-mail: rgutierrez@ban.org.

訳注:
上院フォーラム資料
http://www.esnips.com/web/JPEPAONEPAGEBRIEFERS



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