BAN/GAIA 2007年2月19日
「日本・インド経済連携協定を懸念する」
外相・環境相への手紙

日本語版(PDF) 英語版(PDF)

情報源:BAN/GAIA, 19 February 2007
Letter of Concern from Civil Society Groups on India-Japan CEPA
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/JIndiaEPA/Japan_India_EPA_070219_en.pdf
訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2007年2月20日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/JIndiaEPA/070219_JIndiaEPA_BAN_GAIA.html


2007年2月19日
外務大臣 麻生太郎 殿
環境大臣 若林正俊 殿

Hon. A. Raja
Union Minister of Environment & Forests, India

Shri Pranab Mukherjee
Minister, External Affairs,India

日本・インド経済連携協定を懸念する

 2007年2月1日、日本・インド包括的経済連携協定(CEPA)の締結交渉が正式に開始された。我々、下記に署名した国際的及び草の根の環境、健康及び環境正義等の団体からなる非政府組織は、多数のインド人の生活に深く影響を与えるとともにそれを向上させるインドの持続可能な経済開発に向けての正当な取組を支持するものである。これに関して我々はインド政府に対し、アジアに廃棄物植民地を築くために日本がこれまでに行った活動及び民主的な手続きを覆そうとしたことについて声を大にして警告する。

 日本は自由貿易協定(FTA)を利用してアジア中で廃棄物植民地を築こうとしている。日本はすでにシンガポール及びマレーシアとのFTAsを締結し、現在フィリピンとの同様なFTAの批准を待っている。これら3つのFTAsはその特恵関税を享受すべく物品リスト中にバーゼル条約の対象である有害廃棄物及び様々な多国間環境協定(MEAs)によって管理され又は禁止されている物質を含んでいる。そのような措置の意図する目標は、これらの物品に関する日本とそのパートナー国間の貿易を自由化し促進することである。

 フィリピン、シンガポール及びマレーシアとの協定の下にリストされている有害廃棄物には、都市廃棄物焼却による灰及び残渣、PCB類を含む廃油、鉛酸電池、医薬品廃棄物、及び医療廃棄物が含まれる。同協定にはまた、CFCs(クロロフルオロカーボン類)、臭化メチル、DDT、クジラの骨、象牙のような管理されるべき物質や化学物質が含まれている。

 これらの禁止又は管理されるべき廃棄物と物質を含めるということは人の健康と環境を守るために世界のコミュニティが結んだ多国間環境協定(MEAs)を損なうものである。どのような理由があろうと、日本のような先進国からフィリピンやインドのような開発途上国に有害廃棄物を輸出することを禁止するバーゼル禁止修正条項のような地球規模の管理は弱められることになるであろう。同様に、残留性有機汚染物質(POPs)に関するストックホルム条約、オゾン層破壊物質に関するモントリオール議定書、及び、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)による同様な禁止もまた影響を受けるであろう。

 また、これらの管理される又は禁止される廃棄物や物質を露骨に含むことは、これらの多国間環境協定(MEAs)と提案される二国間自由貿易協定(FTA)との間の不必要な衝突を招くことになる。

 同様に日本・フィリピン経済連携協定(JPEPA)におけるフィリピンの経験は、批准のための議案通過において日本とフィリピン政府によってとられた民主的手続きの明白な欠如を思い起こさせるものである。市民社会は同協定が両国により署名されるまでは協定書文を見ることが許されなかった。交渉は秘密裏に行われ、市民社会は交渉への立ち入りと説明を受けることを拒絶された。

 我々は、日本がひどい廃棄物を持ち込もうとしているフィリピン、タイ、及び他のアジア諸国の兄弟姉妹と団結し、インド及び日本政府に声を大にして下記を要求する。

  1. 有害な技術と管理又は禁止されている廃棄物と物質の全てのリストを関税撤廃条項から削除し、その他の搾取的な条項は包括的経済連携協定(CEPA)から取り除き、この条件は交渉における考慮事項に記載されるべきこと。
  2. 両国はバーゼル条約禁止修正条項の批准を可能な限り速やかに行うこと。
  3. 市民社会は現在行われている包括的経済連携協定(CEPA)の交渉に代表を送り参加することを許され、CEPA交渉に関連する全ての情報の開示を受けられること。
  4. CEPA交渉は公開され透明性があること。
  5. 有害物質使用削減、計画的廃用化の排除などを通じてその根源から有害廃棄物やその他の廃棄物の発生を防ぐための真剣なプログラムをCEPAの一部とし、日本とインドの製造者に彼らの製品に責任を負わせること。
 禁止され管理されるべき物質や有害廃棄物及びその他の廃棄物の貿易はインドのような国の持続可能な開発には不要である。これらの廃棄物はまたアジアのどこでも不要である。

 我々は、インド及び海外のネットワークを通じてインドとアジアが日本の有害廃棄物のゴミ捨て場に決してならぬよう建設的に活動するであろう。

 命と環境を守るために

Richard Gutierrez
Basel Action Network
Manny Calonzo
Global Alliance for Incinerator Alternatives

Cc:
UNEP, Exec. Director, Mr. Achim Steiner
Basel Convention, Executive Secretary, Ms. Sachiko Kuwabara-Yamamoto
CITES, Secretary-General, Willem Wijnstekers
Stockholm Convention, Acting Executive Secretary, Mr. John Buccini
Montreal Protocol, Executive Secretary, Marco Gonzalez
UN High Commission on Human Rights, Special Rapporteur on Toxics, Mr. Okechkwu Ibeanu

海外の賛同団体

Collective for Economic, Social and Environmental Justice, Chennai, INDIA
Corporate Accountability Desk of The Other Media, Chennai, INDIA
Community Environmental Monitoring, Chennai, INDIA
Shikshantar: The Peoples? Institute for Rethinking Education and Development, Rajasthan, INDIA
Thanal, INDIA
Greenpeace Southeast Asia
Mother Earth Foundation, PHILIPPINES
Global Alliance for Incinerator Alternatives, PHILIPPINES
Basel Action Network, USA AND PHILIPPINES
Earth Economics, USA

日本の賛同団体(順不同)

化学物質問題市民研究会 (Citizens Against Chemicals Pollution)
アジア農民交流センター (Asian Farmers exchange Center)
全国労働安全衛生センター連絡会議
(Japan Occupational Safety and Health Resource Center (JOSHRC))
フィリピンのこどもたちの未来のための運動(CFFC)
Campaign for Future of Filipino Children (CFFC)
関西フィリピン人権情報アクションセンター
(Kansai Action Center on Philippine Human Rights Issues)
ジュビリー関西ネットワーク (Jubilee Kansai Network)
フォーラム平和・人権・環境 (Forum for Peace,Human Rights and Environment)
化学物質過敏症支援センター (Chemical Sensitivity Support Center)
市民がつくる政策調査会 (Citizens Policy Research Committee)
農民運動全国連合会 (Japan Family Farmers Movement (NOUMINREN))
脱WTO/FTA草の根キャンペーン実行委員会(No-to-WTO/FTA Grassroots Campaign)
グローバリゼーションを問う広島ネットワーク (Globalization Watch Hiroshima)
ATTACジャパン (ATTAC Japan)

日本の賛同団体取りまとめ
安間 武(化学物質問題市民研究会)
〒136-0071東京都江東区亀戸 7-10-1 Z ビル 4階
TEL/FAX 03-5836-4358
ac7t-ysm@asahi-net.or.jp


化学物質問題市民研究会
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