バーゼルアクションネットワーク2006年11月
BAN COP8 News


情報源:Basel Action Network November 2006
BAN COP8 News
COP8News_Final.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2006年11月28日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/BAN/BAN_COP8_News.html

2006年11月27日〜12月1日までケニアのナイロビで開催されるバーゼル条約COP8用に
BANが作成した新聞(英文)の一部を日本語化して紹介します。

コートジボアールの悲劇
今、バーゼル条約の実施を求める

これは警鐘である 毎日どこかで起きている

 2006年8月19日、アフリカ大陸は再び有害廃棄物の国際貿易の恐怖の犠牲になった。1980年代後半の露骨な投棄の蔓延−ゴミ運搬船 Islip号、Khian Sea号(訳注1)、ナイジェリアのココ−を見たりそれを思い出す人々にとってコートジボワールのアビジャンのプロボ・コアラ号からの化学廃棄物の投棄は悪夢の再来である。少なくとも10人の死者と数千人の人が入院し、騒乱と告訴の様子は一昔前に戻ったように見えた。これは昔のことなのか?(2ページに続く/後日紹介)
訳注1
RACHEL'S ENVIRONMENT & HEALTH WEEKLY #595 ---April 23, 1998---訳:荒井 康子
フィラデルフィア市による貧しい国へのゴミ投棄
http://www5d.biglobe.ne.jp/~chemsafe/rachel's-j/595-j.htm


IMO船舶条約草案の失敗
ノルウェーとドイツの倫理が
強力な海運業界のロビー活動の犠牲に

 重大な金銭的問題となると進歩的な政府が環境と人権の評判と原則をこのようにすばやく投げ捨てるということは衝撃的なことである。ノルウェーとドイツのケースであり、それに現在は日本とアメリカが加わって改革の努力を締め出し、すでに確立されている国際法の原則の時計を20年以上前に戻し、効力のない船舶解体条約を作りだそうとしている。バーゼル条約は問題があるので船舶に関する取り扱いは適切ではないと主張している。(7ページに続く/後日紹介)


日本はバーゼル条約の弱体化の道を見つけた
フィリピンとの協定、3Rsイニシアティブ、国際海事機関(IMO)
全て日本のキャンペーン活動の一部である

 日本政府はバーゼル条約の基本的な義務及び決議に同意していないとしか我々にはみえない。同条約を弱体化するための取組に多くのリソースを投入している。彼らは彼ら自身が作り出した他の議論の中で有害廃棄物貿易を育成るするプログラムを推進しているので、彼らの取組は今、世界の持続可能性と環境正義にとって非常に危険なものになっている。日本の戦略は明確である。バーゼル条約を、廃棄物の国内処理及び廃棄物の発生と輸出の最小化(第4条にリストされた基本的な義務事項)を推進するためではなく開発途上国に輸出することを許す条約にしようとする一方、廃棄物貿易を他の舞台で推進しようとしている。

 バーゼル条約の原則を引っくり返すための日本のキャンペーンは最近の日本の3つの取組で明らかである。すなわち船舶リサイクリングに関する国際海事機関(IMO)条約ドラフト、3Rイニシアティブ、及びつい最近のJPEPAとして知られるフィリピンとの二国間自由貿易協定である。

IMO条約ドラフト

 過去数年間、日本は船舶が有害廃棄物となる時に国際法に存在する既存の原則を適用することを阻止することで世界の海運業界の好ましい道具として奉仕してきた。日本はアメリカとともに、バーゼル体制の下に船舶をどのように扱うかの法的な側面に関し、バーゼル条約の中で進めることを阻止することに主導的な役割を最初に果たした。バーゼル条約の船舶に対する権限を改善することについての議論がなされるたびに日本はその進展を阻止するために働いた。そして彼らは、バーゼル条約は船舶を厳格な方法で扱うことはできないという口実の下に、海運業界が国際海事機関(IMO)を非難することを助けてきた。

 しかし、この世界的舞台を国際海事機関(IMO)に替えることは、バーゼル条約に弱点があるからではなく、むしろそれが強すぎるからであることは明らかである。そして現在、IMOにおいて日本は、有害廃棄物の国境を越える移動を最小にしその発生に責任を持つことが新たな条約の一部とならないようにするために主導的な役割を果たしている。開発途上国の人々が環境的危害を不公平に受けることにならぬよう有害廃棄物を開発途上国に輸出しないようにするバーゼル条約の重要な責任は、日本のおかげでひっくり返された(IMO船舶条約草案の失敗の記事を参照)。

3Rイニシアティブ

 バーゼル条約の原則と廃棄物を国際的な舞台で扱う役割に不満を持つ日本は、アメリカ商務省の支援を得て、廃棄物の発生抑制(リデュースReduce)、再使用(リユースReuse)、再生利用(リサイクルRecycle)を意味する誤解を与える”3R”という言葉を使用して新たな世界の廃棄物イニシアティブを立ち上げた。

 それ以前の他の3R政策イニシアティブと同様に、それは全く失敗であり、リユース(Reuse)とリサイクル(Recycle)だけが強調され、もっと重要な廃棄物の根源からの抑制(リデュース(Reduce))には目が向けられなかった。しかし、最も問題なのは、バーゼル条約に際立って矛盾する3Rイニシアティブのどぎつい目標:”物品等の国際流通に対する障壁の低減”である。”貿易障壁”(法律)及び”リサイクルのための物品等”(廃棄物)のような含みのある言葉で巧妙に言い表しているこのイニシアティブは、今日、廃棄物に対する最も顕著な貿易障壁は、廃棄物貿易を最小にする義務を持つバーゼル条約であるということを言及することには失敗した。バーゼル条約は世界の廃棄物活動に相応しく、新たな資金が差し迫って必要であるにもかかわらず、日本が3Rイニシアティブをバーゼル条約に向けなかったことは不思議なことではない。

フィリピンとの廃棄物自由貿易

 日本政府により設立され資金を得ているこのシンクタンク、財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)から出版された『国際リサイクル特区とアジア域内ネットワークの構築』と題する政策文書の中で、廃棄物貿易を推進するための日本の青写真は、非常にあからさまにはっきりと示されている。

 ”ここで我々が提案する政策は、環境的・経済的に適正なリサイクル資源の国際市場の形成促進を目的としている。”

 そしてこの文書はバーゼル条約を非難して:

 ”この手続きの煩雑さがリサイクル資源の国際取引において障害となっていた。”

 この文書は廃棄物の国境を越える移動を最小にし開発途上国への輸出を禁じるというバーゼル条約の規範を逆転させ、 その考えを ESM promises をもって貿易のひとつと置き換えようとしている。そして、彼らはこのバーゼル条約を無効にするために二つの戦術を明らかにしている。上述した3Rイニシアティブと二国間通商協定である。

 この第二の狡猾な戦術はすでに今年にフィンランドで署名されたフィリピンとの二国間通商協定の中で利用されている。日本フィリピン経済連携協定(JPEPA)が署名されてから、日本はフィリピンが有害及び一般廃棄物の関税をゼロにするよう主張したということが判明したの後、フィリピンでは大きな怒りがまき起こった。それはまさにバーゼル条約フィリピンの国内法の下に管理される廃棄物である。

 フィリピンと日本の貿易交渉担当者は、この協定のこれらの廃棄物貿易自由化条項は意味がないと主張するが、貿易専門家はそうではないと断言し、完全に批准されれば 、JPEPAはフィリピンの国内法を容易に打ち負かすことができる矛盾した協定であると断言している。

バーゼル条約の弱体化を図る日本のキャンペーンに関する更なる情報:



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