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バーゼル条約 COP13 2017年4月
BAN と IPEN のクイック・ビュー

情報源:BAN and IPEN Quick Views of Basel COP13 April 2017
http://ipen.org/sites/default/files/documents/
BAN%20and%20IPEN%20Views%20of%20Basel%20COP13%2015%20Apr%202017.pdf


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2017年4月26日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/BAN/COP13/
BAN_and_IPEN_Quick_Views_of_Basel_COP13.html


 下記は、COP13(バーゼル条約第13回締約国会議)が対応するよう求める課題に関する見解の概要である。

技術的支援と地域センター
  • COP13は、海洋漂着プラスチックごみ及びマイクロプラスチックごみに関する地域センターによる勧告を歓迎すべきであり、Annex VI of UNEP/CHW.13/INF/29 - UNEP/POPS/COP.8/INF/26 に概要が示されているように、将来にわたって活動を継続するために彼らを招聘すべきである。

  • まだ残っている大量のPCB類保管を考慮すれば、条約の要求に合致する非焼却の処理方法の技術移転が優先事項である。これに関する地域協力が推奨されるべきである。

  • 国家報告と在庫データの収集に関する訓練は条約実施にとって非常に重要である。

  • ワークショップではなく、直接的な”実地訓練”アプローチの方が効率的であり、特定の問題のための技術的支援を得るにあたり、そして将来同じような問題に対してどの様に対処するかを学ぶにあたり、持続可能である。

  • 地域センターは、プロジェクトの設計と実施への直接的参加を通じて公益 NGOs 及び市民社会組織の活動への関与を増やすべきである。この基準は彼らの評価と報告書に含まれるべきである。
財源
  • パートナーシップは、機能している財政メカニズム又は化学物質及び廃棄物産業にコストを内部化する必要性の代替ではない。

  • 特別プログラムは、特に時間的制約があるので、国が必要としていること及び定められた国の目標に実際に合致させることを確実にするために、必要性評価をその設計に含めるべきである。

  • COPは、条約実施及びNGO活動のために、ある資金を確保できるよう制度を強化することに対する公益 NGO の貢献の重要な役割を検討するために、特別プログラムの執行役員会を招聘すべきである。

  • 第14条に概要が示される必要性はまだ実現していないので、 POPs を生成した会社及び/又はその会社が拠点とする国からコストを回収するための経済的手段を含んで、他の財源が調査されるべきである。これは、para 45 - 47 of UNEP/CHW.13/INF/40 の PCBs にとって支えとなる。
遵守
  • 条約遵守は改善される必要がある。
    • 締約国の約1/2(53%)が2013年のための報告書を要求されたように提出していない。2009年以来、全体の提出率は改善されていない。これは可及的速やかに改善されるべきである[原注1]。
    • 報告した締約国のうち70%が、2011年に生成された有害廃棄物とその他の廃棄物の総量に関して不完全な回答をした (Article 1 (1)a, 1(a)b, Annex II: Y46-Y47)。
    • 報告した締約国のうち39%が意図されたように着手しなかった処分に関し完全な回答をせず、37%が有害廃棄物及びその他の廃棄物の国境を超える移動及び処分の間に生じた事故を報告した。
POPS 廃棄物
  • ストックホルム条約 COP8 及びバーゼル条約 COP13 は、次の低 POP 含有レベルを採用すべきである。
    • PCDDs 及び PCDFs: 1 ug TEQ/kg (1 ppb) [原注2
    • HBCD: 100 mg/kg (100 ppm)
    • HexaBDE, HeptaBDE TetraBDE, PentaBDE の合計: 50 mg/kg (50 ppm)
    • Polychlorinated naphthalenes (PCNs): 10 mg/kg (10 ppm)
    • PCBs: 10 mg/kg (10 ppm)
    • Pentachlorophenol (PCP): 1 mg/kg (1 ppm)
    • Hexachlorobutadiene (HCBD): 10 mg/kg (10 ppm)

  • POPs を含む製品は、その廃棄物の経路及び在庫目録を効果的に管理するためにラベル表示されるべきである。これは、現在容認されている例外の下にリサイクルされている製品を含むべきである。

  • PCP 技術ガイドライン(UNEP/CHW.13/6/Add.3)第96節は括弧中の文言を削除して、次の様に読むべきである。”PCP 、その塩、及びエステルを 1-100 mg/kg 以上含む廃棄物の環境的に適切な処分のための分解と不可逆的変換方法は、一般的技術ガイドラインのサブセクション IV.G.2 で利用可能である。”

  • 新たにリストされた POPs についての分解及び不可逆的変換のレベル、低POPs 含有量、並びにその他の POPs 廃棄物問題を確立するための作業は、 POPs 検討委員会(POPRC)、ツールキット(訳注:Toolkit)、及び BAT/BEP 専門家グループを含んで、バーゼル条約及びストックホルム条約の両方の適切な組織により協力して実施されるべきであり、単にバーゼル条約組織に引き渡されるべきではない。

  • COP は、締約国が BAT/BEP ガイドラインを、条約の 附属書 C (非意図的生成物)にリストされている発生源分類、特にバーゼル技術ガイドライン中の ESM(環境的に適切な管理)技術の中にリストされているものに適用するするよう促すべきである。

  • 技術ガイドラインの中で、POPs 廃棄物分解オプションは単に焼却とセメントキルン同時焼却技術をリストするだけでなく、ガス相化学的還元法(Gas Phase Chemical Reduction (GPCR))及び/又はアルカリ触媒分解法(Base Catalysed Decomposition (BCD))のような非焼却技術もリストすべきである。

  • 銅触媒分解(Copper Mediated Destruction)のような新たな非焼却技術が、更新された POPs 廃棄物に関する一般技術ガイドラインに追加されるべきである。

  • 非意図的に生成される POPs により汚染される廃棄物を生成する技術を推進して条約の目的を損なうことがないよう、POPs の分解のために非焼却技術が優先されるべきである。
電子廃棄物(E-waste)ガイドライン
  • 暫定ガイドラインの第31節(b)項は、壊れた電子機器は、この廃棄物がいかに有害であろうとお構いなしに非廃棄物として輸出されることを許している。これは、そのような”修理”が行われるのかどうか、又はそのような”修理”が輸入国に有害な残留物をもたらすのかどうかを調べる又は確実にすることが不可能であるにもかかわらずである。

  • 第31節(b)項 法の抜け穴は塞がれなくてはならない。

  • COP13 は、この問題を正し、ガイドラインを完成させるために、小さな会期間作業グループを設立すべきである。
用語集
  • COP13 は、今後のバーゼル条約実施のための用語集を採用すべきである。
付属書の修正
  • COP12 は、新たな有害性(Annex III)及び有害物質(Annex I and VIII)及び条約出現以来知られるようになった、又は問題になった廃棄物の行き先(Annex IV)を加えるために、条約の付属書を修正する非常に重要な機会を作り出した。これらの追加は以下を含むべきである。
    • 機能しない機器の修理を Annex IV (b) に加えること。
    • ある種のプラスチック(例えば、 POPs や重金属を添加物として含むもの、溶融又は焼却された時に有害物質を排出するものなど)を有害廃棄物のリストに加えること(Annex VIII)。
    • 内分泌かく乱物質、オゾン層破壊物質、及びその他の有害物質を Annex III に加えること。
    • 直接再使用への参照を Annex IV から外すこと。
生活廃棄物パートナーシップ
  • COP13 は、UNEP/CHW.13/15 に概要が示される作業計画を実施するために、生活廃棄物パートナーシップの作業グループを設立すべきである。

  • 生活廃棄物パートナーシップは、カルタヘナ宣言の実施に関する作業と相乗効果を持たせるべきである。

  • 生活廃棄物パートナーシップは、廃棄物の異なる要素の処理と処分のクリーンで健康的な手法を促進すべきである。有機廃棄物については嫌気性処理(訳注1)が選ばれるべきであり、意図せずに生成される POPs により汚染された廃棄物を生成する技術の促進を通じてストックホルム条約の目的を損なうことを避けるために、非焼却の手法及び技術が優先されるべきである。

カルタヘナ宣言訳注2
  • COP13 は、環境的に適切な管理に関する専門家作業グループに、有害な及びその他の廃棄物の生成とそれらの処分の防止と最小化を達成するための効率的な戦略を開発するにあたり、そのガイダンス案を策定するよう要請すべきである。

  • ガイダンスは、有害性がなく、頑丈で、再使用可能で、解体、修理、再組立てが容易;最小でしかも適切に梱包されている;寿命が尽きた時にリサイクル可能及び/又は堆肥化可能な製品を作り、進捗に関して定期的に公的に報告する民間部門の責任を含めるべきである。

  • ガイダンスは、生成されている、輸入されている、及び輸出されている廃棄物の量とタイプを把握するために廃棄物審査の利用を勧告すべきである。

  • ゼロ廃棄物製品;再使用可能配送容器と削減された梱包/包装;並びにリサイクルされた及び堆肥化可能な製品を含んで、ゼロ廃棄物購入の実践を勧告すべきである。
違法取引
  • COP13 は事務局に対して、修理、再利用、及び/又はリサイクルという抜け穴を含んで、有害化学物質と廃棄物の違法な取引と戦うために、最大限の努力を動員するための、3条約の相乗効果の利用に関する報告書の更新を要求すべきである。

原注
1 UNEP/CHW.13/INF/26 2 Includes dioxin-like PCBs
2 Includes dioxin-like PCBs
3 For more information see file:///Users/jimpuckett/Downloads/UNEP-CHW-SUBM-GUID-TGsEWaste-Comment2-BAN.English.pdf


訳注1:嫌気性処理(Anaerobic digestion)
訳注2:バーゼル条約とカルタへナ宣言


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