BAN ニュース 2021年12月1日
環境団体らが迅速に動き、ドイツのプラスチック
廃棄物のベトナムへの輸出を阻止

情報源:BAN News, December 1, 2021
Environmental groups move quickly and block
the export of German plastic waste to Vietnam

German government called on to take their waste back immediately
https://www.ban.org/news/2021/12/1/environmental-groups-move-quickly-
and-block-the-export-of-german-plastic-waste-to-vietnam


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2021年12月20日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/BAN/211201_Environmental_groups_
move_quickly_and_block_the_export_of_German_plastic_waste_to_Vietnam.html

プラスチック廃棄物貿易は地球を窒息させる

【ギリシャ、ピレウス 2021年12月2日】廃棄物輸送当局と コスコ社(COSCO shipping lines )(訳注:中国の国際コンテナ輸送及び海運会社)は、ヨーロッパの廃棄物の輸出を防ぐための連携の取り組みの一環として、今朝早くバーゼル・アクション・ネットワーク(BAN)からギリシャのピレウス港に送られた手紙に迅速に対応した。環境団体らは、コンテナー船コスコ・プライド(COSCO PRIDE)にドイツのプラスチック廃棄物で満たされた 37個のコンテナが積み込まれ、当初はトルコに送られることになっていたが、現在はベトナムのハイフォンに再輸出される予定であることを知った。現在は同コンテナ船はブロックされており、アジアに向けて航行しないことが確認されている。コスコ社のギリシャ事務所によると、ピレウスでの 37個のコンテナの積み荷は、警告書を受けた後にギリシャの税関当局の要請により止められている。


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 11月30日早朝にピレウスに到着したコンテナ船コスコ・プライド(COSCO PRIDE)。12月1日にドイツのプラスチック廃棄物 37コンテナをベトナム運ぶことになっていた。この再輸出は、環境団体による警告を受けて、本日ブロックされた。
 ドイツの雑誌ヴィルトシャフツヴォヘ (Wirtschaftswoche)が報じたように、廃棄物は昨年ドイツからトルコに送られたが、トルコ政府が混合および汚れたプラスチック廃棄物の輸入を取り締まり始めた後、輸入業者は廃棄物を輸入する許可を失った。トルコ当局はドイツ政府に廃棄物を引きとらせようとしたが、ドイツ政府は廃棄物の引き取りを求めるトルコの要求を拒否した。その後、トルコ政府は、第三国、最も顕著なベトナム、への輸出用にコンテナを再予約した。信頼できるインサイダー情報によると、環境保護団体らはそれらのコンテナのことを知り、ピレウス港まで追跡し、そこで彼らは目前に迫った同船の出発を待っていた。彼らはまた、同様に拒否されたドイツのプラスチック廃棄物を収納した 16 の コスコのコンテナが、今年初めにトルコからピレウス経由でベトナムのハイフォンに向かったことを知った。

 環境保護団体らは、廃棄物輸送規則(第22条)(訳注1)及びバーゼル条約(第8条)(訳注2)の規則に基づいて、輸送が違法であると主張している 。ギリシャ当局と COSCO 社の行動を称賛する一方で、今や全ての注意がドイツに向けられている。

 バーゼル・アクション・ネットワークの事務局長ジム・パケットは、”ドイツからベトナムへの直接輸出が全く禁止されている時に、ドイツの廃棄物をこのように転用することはとんでもないことであり容認できない”と述べた。 ”ドイツはそもそもこれらの廃棄物のトルコへの輸出を決して許すべきではなかった。第二に、トルコがドイツに求めたならば、ドイツは絶対にそれらを取り戻すべきだった。我々は今ドイツにそうするよう呼びかけている。”

 現在、トルコには、COSCO、シーランド (Sealand)(アメリカの地域内コンテナ船会社)、MSC(スイスのジュネーヴに拠点を置く世界有数の海運会社)、マースク (Maersk)(デンマークの首都コペンハーゲンに本拠を置く海運コングロマリット)、ハンブルク・スド (Hamburg Sud)(ドイツのコンテナ船会社)により運び込まれたドイツのプラスチック廃棄物を収納したコンテナが少なくとも 80個以上待機している。

 ”トルコ、そして今や世界中に投棄されてきた廃棄物について、ドイツが責任を負うことが不可欠である”と、トルコのグリーンピース地中海のニハン・テミズ・アタシュは述べている。”EU が最近グリーン・ニュー・ディールで示したように、欧州の廃棄物問題の管理を EU 以外の世界に強制しないことについて真剣に取り組んでいるなら、EU は最近トルコとベトナムに出荷したすべての廃棄物を直ちに回収する必要がある 。”

 グリンピース・ドイツの化学専門家であるマンフレッド・サンテンは、次のように述べている。”将来のドイツ政府は、廃棄物を燃やしたり、他の国に再びこっそり輸出するのではなく、廃棄物の回避とクリーンで機械的なリサイクルを通じて、常に自国の廃棄物を管理することを誓う必要がある。ドイツはトルコから全ての廃棄物を回収しなければならず、すぐにやらないための言い訳を考え出そうとすべきではない。

更なる情報
担当者連絡先
  • Jim Puckett, Executive Director of BAN email: jpuckett@ban.org
  • Nihan Temiz Atas, Greenpeace Mediterranean email: nihan.temiz@greenpeace.org
  • Manfred Santen, Greenpeace Germany email: manfred.santen@greenpeace.org
ドイツによるこれらの輸送に反対して活動しているグループ
  • Basel Action Network
  • Nexus 3 Foundation
  • Greenpeace e.V., Germany
  • Greenpeace Mediterranean
  • Microplastic Research Group
  • Zero Waste Europe
  • Environmental Investigation Agency
  • Consumers' Association of Penang & Sahabat Alam Malaysia
  • GAIA
  • Gundogdu-Microplastic Research Group

訳注1
EU 廃棄物輸出規則 第22条:出荷が意図したとおりに完了できない場合の回収
Waste Shipment Regulation Article 22 Take-back when a shipment cannot be completed as intended

訳注2
バーゼル条約 第八条 再輸入の義務
 この条約の規定に従うことを条件として関係国の同意が得られている有害廃棄物又は他の廃棄物の国境を越える移動が、契約の条件に従って完了することができない場合において、輸入国が輸出国及び事務局に対してその旨を通報した時から九十日以内に又は関係国が合意する他の期間内に当該有害廃棄物又は他の廃棄物が環境上適正な方法で処分されるための代替措置をとることができないときは、輸出国は、輸出者が当該有害廃棄物又は他の廃棄物を輸出国内に引き取ることを確保する。このため、輸出国及び締約国である通過国は、当該有害廃棄物又は他の廃棄物の輸出国への返還に反対し、及びその返還を妨害し又は防止してはならない。


化学物質問題市民研究会
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