BAN 有害廃棄物ニュース 2007年1月18日
国際環境団体 日本の廃棄物植民地主義を拒絶
日本の経済連携協定の拒否を要求

環境団体共同プレスリリース

情報源:Toxic Trade News / 18 January 2007
International Environmental Groups Reject Japanese Waste Colonialism:
Calls for Rejection of Japan Economic Partnership Agreements
Joint Environmental Group Press Release

http://www.ban.org/ban_news/2007/070118_reject_colonialism.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2007年1月25日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/BAN/070118_Waste_Not_Asia.html



【2007年1月18日 ケララ州・インド・、マニラ・フィリピン】インドのケララ州で開催された”廃棄物をアジアに持ち込むな(Waste Not Asia (WNA))会議”に参加した様々な国際的及び草の根の組織からなる25以上の環境団体は共同で、経済連携協定(EPA)という名の下に日本がアジアで廃棄物植民地主義を拡大することを拒絶するよう求めた。

 同グループは、日本フィリピン経済連携協定(JPEPA)を日本がアジアの開発途上国に貿易の拡大と非常に制限された日本の労働市場でのフィリピン人介護労働者の雇用機会の拡大の約束をちらつかせて有害廃棄物と技術を受け入れるよう圧力をかけた最新の取組であるとして言及した。環境団体の要求はフィリピンの上院が1月23日にJPEPA批准のための公聴会を開催しようとしていることに向けて行われた。

 ”アジアは日本のゴミ捨て場ではない。日本のような富める国が有害廃棄物を受け入れさせるために金で貧しい諸国をいじめることは国際法に対する侮辱であるとともに道徳的な問題でもある”と、WNA会議の招集者であり脱焼却グローバル連合(GAIA)のジャヤクマール・チェラトンは述べた。”日本政府はそのような不明朗なやり方で日本国民に恥をかかせるだけである。”

 環境団体は下記を要求している。
  1. フィリピンと他のアジア諸国は、有害技術と国際的に管理されている又は禁止されている廃棄物及び物質が関税削減条項から抹消され、他の搾取的な条項が取り除かれるまで、日本との経済連携協定の批准又は交渉を拒否すること。

  2. バーゼル条約の禁止修正条項を批准していない日本、フィリピン、そして他のアジア諸国は早急に批准すること。

  3. 廃棄物貿易自由化条項が日本フィリピン経済連携協定(JPEPA)にどのような意図と方法で含められることになったのかを明らかにするために、そして責任当局の説明責任を求めるために、日本及びフィリピンの両国において完全で公平な多様な利害関係者による調査が行われるべきこと。

  4. アジア諸国政府は、廃棄物を隠す場所を探すのではなく、有害物質使用削減、計画的廃用化の排除、及び製造者にその製品に対する責任を求めることを通じて、その根源から有害廃棄物やその他の廃棄物の発生を防ぐための真剣なプログラムを立ち上げること。

 有害廃棄物を隠す場所を探すのではなく、日本はクリーンな処理を行い、製品中の有害物質をなくし、有害廃棄物の発生を最小にし、自国内で廃棄物を処理すべきである、アジアは、日本が JPEPA の下で推し進めようとしている姿を変えた搾取や環境破壊ではなく、廃棄物のジレンマから抜け出す将来の展望を必要としている。

 更なる詳細は下記のBAN報告書を参照ください。
連絡先:
  • Jayakumar Chelaton (Thanal-GAIA), Kerala, India: Tel. No. +91-471-2727150; e-mail: jayakumar.c@gmail.com
  • Richard Gutierrez (BAN AP), Manila, Philippines: Tel. No. +63-0917-506-7724; e-mail: rgutierrez@ban.org
備考:

 日本フィリピン経済連携協定(JPEPA)は、日本とフィリピン両国における投資、物品流通、及びサービスの障壁を取り除くことをめざす二国間特恵貿易協定である。JPEPA は、2006年9月9日に、日本の小泉純一郎首相(当時)とフィリピンのグロリア・マカパガル・アロヨ大統領によってフィンランドのヘルシンキで署名された。

 環境団体が JPEPA に対して提起している懸念のひとつは、有害廃棄物が含まれていることであり、それらは JPEPA が発効次第、直ちに関税が0になり、これらの廃棄物がフィリピンに入り込む道を開くようになっていることである。
 JPEPA に含まれる廃棄物の一部には下記のようなものがある。
  • 一般廃棄物の焼却による灰及び残渣
  • 廃医薬品
  • 廃油; PCBs、PCTs、PBBsを含む廃油
  • 鉛、カドミウム、アンチモニ、ベリリウム廃棄くず
  • 廃電池
  • 一般廃棄物
  • 医療廃棄物
  • 化学又は類似産業の残渣
  • 廃油圧液、廃ブレーキ油、廃不凍液
  • 下水汚泥
 環境団体はまた、JPEPA とバーゼル条約及びもっとあからさまにはバーゼル禁止修正条項のような他の多国間環境条約との間の露骨な矛盾を懸念している。同禁止修正条項は有害廃棄物の富める国から貧しい国への貿易を完全に禁止することを求めている。



化学物質問題市民研究会
トップページに戻る