BAN 有害廃棄物ニュース 2005年11月30日
米議会 電子廃棄物の国家統一基準を模索
新たに課税するか電子機器の購入者の前払いで処理費用に


情報源:Toxic Trade News / 30 November 2005
Congress to Explore National E-Waste Standard
Under consideration: Tax breaks or up-front fees for consumers who purchase electronic devices
by Eric S. Crouch, Medill News Service


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2006年1月1日


 年末の休暇中に、多くの人々が古いメディア機器のガラクタをHDテレビ、iPod、ディジタルビデオレコーダーに買い替え、古いテレビやCDプレーヤー、VCRをゴミの山に葬り去ろうとしている。議会はいかにして、この電子廃棄物をゴミとして廃棄するのではなく、リサイクルすることを確実にするか検討している。製造者、消費者、及び回収業者の代表が、電子廃棄物の処分についての国家統一基準を策定する立法を議会に働きかけている。2005年の初めに、議員らが増大する問題を解決するために電子廃棄物ワーキンググループを立ち上げた。

 ”全ての関係者が納得する計画を立てることは大変なことだ”−と同ワーキンググループのメンバーである下院議員ルイス・スラウター(民主党、ニューヨーク)の報道担当官は述べている。

前払い制度を検討中

 スラウターが支持する案は、適切な処分のための費用を電子機器の価格に前払いで加えることを求めるものである。この前払いリサイクル費用は、カリフォルニア州が実施中の電子機器の処分を助成するために前払いでその費用を消費者が払うことを求める州法と同様なものである。

 ”我々は前払い「リサイクル費用」は消費者、政府、そして製造者に対し一貫性を確実にする最良の方法であると感じている”−と電子機器の製造者と販売業者を代表するグループ”消費者用電子機器協会”のクリスティ・テイラーは述べている。”州レベルで特別のアプローチがあり、いくつかの異なるアプローチが立法化されているが、それぞれ異なっており、産業側にとっては非常にやりにくい”。

いくつかの企業によって支持された引き取り(Take-Back)モデル

 しかし、ヒューレット・パッカードなど、いくつかの企業は、もっと有効なビジネス・モデルにより消費者が古い製品を製造者に引き取らせることを可能にすると述べている。

 ”我々の経験に基づき、課税したり政府のプログラムに金を出すのではなく、製造者が低価格で実施するより良い方法を我々は提案する”−とHPのデービッド・イサアクスは述べている。”我々は、人々が新機軸として、より速く、より安価にリサイクルすることができるよう柔軟性をもったシステムを提案している。”

 この、いわゆる引き取り(Take-Back)モデルは、7月の上院議会で、上院議員ロン・ワイデン(民主党、オレゴン)とジム・タレント(共和党、モンタナ)が上院法案510、電子廃棄物リサイクル促進及び消費者保護法を提案して、一定の支持を得ているものであるるが、この法案は、ワイデンによれば、”全米に及ぶ最初の電子廃棄物リサイクル基盤を作る”ものである。この法案は上院財務委員会に諮られている。

議会は自身の電子廃棄物をリサイクル

 議会はこの問題に対処する前に、自分達の電子ガラクタをきれいにする計画を立てた。下院議員マイク・ソンプソン(民主党、カリフォルニア)は先月、上院及び下院が自身の電子機器を処理する方法を標準化する取組を目指した法案を提案した。

 ”毎年、アメリカ人は200万トンの電子機器を処分しており、それらは鉛や水銀などの有害化学物質を含んでいる。我々は国家計画を立てる前に、議会が自身の電子廃棄物を適切に処理する自身の計画が必要である。これは議会は模範を示す良い機会である”−とソンプソンは述べた。

 電子廃棄物を削減するためのソンプソン案とリサイクル法案の両方は来年(2006年)の早い時機にとりあげられることが期待される。
訳注:日本の電子廃棄物の取り扱い(家電、PC、携帯電話、電池)については、ここをクリック

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化学物質問題市民研究会
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