IPEN 2012年12月
子ども製品中の有害金属の調査−概要

情報源:IPEN December 2012
Studys of Toxic Metals in Children's Products-Overview
http://ipen.org/toxic-products/content/overview

訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2012年12月16日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/IPEN/toys/IPEN_2012_toxic_metals_in_toys_overviews.html



Photo: Max Levine
 多くの国では、化学物質と金属が体内に入り込む重要な経路は消費者製品を通じての経路である。これらの物質は、消費者の曝露、とりわけ子どもの曝露が懸念される。IPENは国際的なパートナーとともに、これらの問題の世界的な影響の調査を実施している。現在までのところ、我々はアルメニア、ベラルーシ、中国、カザフスタン、キルギスタン、フィリピン、ロシア、及びウクライナで実施した。


東ヨーロッパ、コーカサス、中央アジア(EECCA)
 2012年12月、我々は東ヨーロッパ、コーカサス、中央アジア(EECCA)の6か国:アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギスタン、ロシア、及びウクライナで実施した。この調査では、エレバン(アルメニア);ミンスク(ベラルーシ);アルマトイ(カザフスタン);ビシュケク(キルギス);アプレレフカ、コロムナ、モスクワ、ソチ、ヴォルゴグラード(ロシア);キエフ(ウクライナ)の各都市の市場で任意に購入した569の子ども用品中の有害金属を測定した。

 測定は、可搬型蛍光X線分析装置(XRF)を使用して実施され、鉛、水銀、ヒ素、アンチモン、カドミウム、及びクロムの分析を行なった。製品の約27%が、この調査で測定された6種の金属のうち少なくともひとつの有害金属を含んでおり、13%が2種あるいはそれ以上の有害金属を含んでおり、潜在的な危険が増大していることが判明した。皮肉なことに子どもたちは、子どもはおもちゃをしばしば口に持っていくのに、おもちゃより土壌中の有害金属の方により保護の目が向けられている。例えば、多くの EECCA諸国における土壌中のこれらの金属の規制値と比較すると、鉛については104製品(18%)が規制値より高く、水銀については18製品(3%)、砒素については45製品(8%)、アンチモンについては75製品(13%)がそれぞれ規制値より高かった。子どもたちが遊び、口に持って行くことが多いおもちゃは少なくとも子どもたちが歩く土壌からと同じように保護されるべきである。

調査結果リスト


Photo courtesy EcoWaste Coalition

フィリピン
 2011年に始まったフィリピンでは、我々は、セブ、ダバオ、及び首都圏マニラ地域で435の子ども用製品中の有害金属を測定した。約29%製品が少なくともひとつの有害金属を懸念あるレベルで含んでいた。測定データによれば、67製品(15%)がアメリカの規制値以上のレベルで鉛を含んでいた。15製品(13%)がふたつ以上の有害金属を含んでいた。その調査はまた、子どものおもちゃの化粧品がフィリピンの規制値より4〜77倍高いレベルで水銀を含んでいることを明らかにした。これらの発見は子どもたちの曝露についての安全性懸念を提起し、国の保護規制政策の必要性を明らかにした。我々が知る限り、これはフィリピンで初めて公表された入手可能な子ども用製品中の有害金属についての調査である。

調査結果概要及びリスト
中国
 2011年12月、我々は中国で調査を展開した。おもちゃとその他の消費者製品は広範に製造されているので、消費者製品からの化学物質と金属への曝露はライフサイクルを通じて起きる。これらの物質は消費者の曝露、特に子どもたちの曝露についての懸念を引き起こす。グリーンピース東アジアとIPENにより実施されたこの調査は、5つの中国の都市、北京、広州、香港、上海、及び武漢で購入された500の子ども用品中の有害金属を測定した。

 全体として、それらのデータは約3分の1の製品が少なくともひとつ以上有害金属を懸念あるレベルで含んでいることを示した。このデータはまた、48製品(10%)が中国の規制値以上のレベルで鉛を含んでいた。82製品(16%)がアメリカ及びカナダで使用されている塗料中の鉛含有規制値である90ppmを超えていた。46製品(9%)がふたつ以上の有害金属を含んでいた。5種の子ども用製品が中国の化粧品中の水銀含有規制値より39〜78倍高いレベルで水銀を含んでいた。

 この発見は、子どもは手を口に持っていくという行動をしばしば行なうので子どもの曝露についての安全性の懸念を引き起こし、曝露を守る国の規制措置の必要性を明らかにするものである。これらの金属の含有がゼロ又は低レベルの製品の割合が高い(67%)ということは、子ども用製品でのこれらの金属の使用を廃止することが技術的にも経済的にも実行可能であることを示している。我々が知る限り、これは中国で初めて公表された入手可能な子ども用製品中の有害金属についての調査である。

調査結果概要及びリスト



化学物質問題市民研究会
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