「探せ…」
誰かを探す、血塗られた腕が大地から何本も伸びては、
空をただ足掻く。
「何処にいる…」
彼らは『誰か』を懸命に探していた。
消える事の無い、深い恨みのままに。
「探せ…!」
赤い血の色に染まった大地は、
怨念を空へ立ち込めて唸りを上げている。

「何処へ逃げた。…のせいで、俺たちは    
「この町は    
「この国は    

僕は船に揺られながら、亡者たちの声に灼かれて目を覚ました。
「…夢…。あれは…」
夢の最後に、僕は見知った名前を耳にかすめている。
まさか、『彼』は    



「廻る夜」


-NEEZ-

 俺たちはポルトガ王より一艘の船を授かり、ついに出船の日を迎えた。ポルトガから進路は南、ネクロゴンドの領地を左手に陸沿いに下って行く。
 初日から天候に恵まれ、終始船旅は穏やかに進んでいた。

 船の知識のない俺たちのために、船にはポルトガから腕利きの船長と船員が数名手配されており、俺たちの旅を補佐してくれている。
 もちろん俺の仲間たちも手伝いは怠らない。


 魔王によって滅ぼされたと聞き及ぶ、ネクロゴンドにはラーミア復活に欠かせない『オーブ』が二つも存在していると、吟遊詩人シャルディナは話した。
 ランシールへ向かう途中、ネクロゴンドに降り立ち、手がかりを探す旨は仲間内では決定している。
 具体的にどの辺りから上陸するかなどは、全くもって未定になっていたが…。

 俺たちの船(ゴーイングニーズ号=勝手にナルセスが命名)の後方には海賊船が付き添うように航海していた。
 ワグナスと親しい女海賊ミュラーの船、何も知らない船員たちは怯えたが、彼らもネクロゴンド上陸を謀っているらしく、ずっと後方を追っている。


 今日、初めて横付けしてきたかと思うと、女頭が軽い跳躍で船へりを越えた。
「ど〜もー♪船旅は順調のようね」
「ミュラーも同方向へお出かけですか?ネクロゴンドへ?」
 相変らず、いつ海へ落ちても泳げそうな格好で女頭領はワグナスと談笑を交わす。甲板にはジャルディーノとシーヴァス以外の面々が掃除なり景色を見るなりして姿を見せていた。
 ジャルディーノとシーヴァスは船酔いして寝込んでいた。(苦笑)

「ふふふ。こっちもオーブを探しているからねぇ…。すでに有力情報をゲットした事だし。…買う?」
「売るのかよ。協力してくれるんじゃないのかよ」
 金の話になり、甲板をデッキブラシで掃除していた、アイザックは口を尖らせて文句を言う。

「チッチッチッ。世の中ギブ、アンド、テイク♪50Gでどう?」
「付き合いのよしみでまけて下さいよ。今日も美しいミュラーさん」
ワグナスがにこにこもみ手して笑うと、ミュラーも満面の笑みで応えた。
「アンタは割り増し料金よ。オホホ100G」
「……。あの、ミュラーさん。オーブに関して何か分かったんですか?」

 甲板で景色を眺めていたサリサもやって来て、財布を出しながら交渉に入ろうとする。
「あ、アンタは格安。うちの船でちょ〜…………っこっと働いてくれたら、タダで教えてあげるわ♪♪♪」
「はい……???」
 妙に含んでミュラーが言うので、サリサは首を傾げたが、無料ならこの話に乗らないわけがなかった。

「なに〜!!!?…サリサ、ちょっと行って来いよ」
 案の定、何させられるか分かってもいないのに、あっさりとアイザックはサリサを海賊船に明け渡そうとする。
「えっ。えっと、何するんですか?私…」
「そおねえ。ひとまず衣装を変えてもらって、私の服貸すわ。それからうちの弟と船荷のチェック。昼飯の用意。お菓子の準備」

「え?…それだけでいいんですか…?随分簡単な気がするんですけど…」
「とりあえず、うちの弟の仕事の手伝いをして欲しいわけよお。OK?」
「それなら、はい!行きます!」
「ミュラーは弟のために頑張りますね…」
 しみじみ感心して、ワグナスは腕組みをして頷いていた。

「…で。情報って言うのは?」
 甲板の日陰で掃除をサボっていた、俺は唐突に会話に首を出す。
「ふふふ。ネクロゴンドはすでに数年前に一瞬にして全崩壊した呪われた王国。国土の町々は廃墟になってそのままにされているわ」
 船縁に寄りかかり、さすがに海を背景にした姿は様になり、ミュラーは青空を仰いで語り上げる。

「火事場泥棒ってゆーかさ、廃墟に残った財宝なんかを、ネコババしようとした輩もたくさんいたのよ。そいつら口を揃えて言ったらしいわ。あの国には幽霊が出ると」
「ゆ、幽霊……!」
 サリサはさすがにゾッとしたのか、身をすくめて後ろに数歩下がる。
「財宝なんかの類も、国から持ち出すと呪われて死ぬらしいわよ。ポルトガ界隈をうねり歩く海賊連中は、何度もネクロゴンドに上陸しては、恐ろしい悪夢にうなされて逃げ出したって。特に川の麓のテドン、ネクロゴンド東の最大都市だった町ね。今でも通りすがる旅人を喰らうとかなんとか。行方不明者も出たらしいとか」

「こ、怖い…」
「噂だけど、最初に、魔物に襲撃された町がテドンだったらしいの。私たちはそこに向かうわ。きっと何かあるはず。ま、情報はこんなところよ♪」
 言い終えて、ミュラーは嬉しそうにサリサを連行して海賊船に戻って行った。

「あの…。ニーズさん…」
 船室から遅れて、ジャルディーノが青い顔をして甲板に上がって来ていて俺を呼ぶ。
「船酔いなんだろう?どうしたよ」
「その…。今の話、僕も、そこへ行くべきだと思います…」
 酷く辛そうなジャルディーノは、扉に寄りかかりながら喋るのがやっとで、俺が傍に行くとふらりとよろける。
どうやら船酔いだけが原因ではない。
「おい……!」
「テドン、何かあるのか?」
 心配して、アイザックも駆け寄り、ジャルディーノの肩を担ぐ。

「……。気になることが、あって……」
「なんだよ。気になる事って。はっきり言え」
「…夢を、見たんです。あれが、本当なら、リュドラルさんは…」
「「リュー!?」」
 ジャルディーノの口から放たれた名前に、俺とアイザックの声は重なる。

 リュドラルなら、つい先日一緒に海水浴までしたばかり。
 ルーラでアリアハンには送って行ったけれど、まさかリュドラルにテドンが関係していると言うのか。
「……。まてよ。リューの背中の傷。例えばネクロゴンドが魔物に襲われた時に、できたものだと考えれば…」
 アイザックが唸り、俺も同じように考え込む。
「あれは太刀傷だぞ。魔物の爪痕じゃない。剣を振るう魔物も中にはいるが…」

「でも、ことリューに関係があるなら、行かないわけには行かないよな。俺たちもテドンへ行こうぜ」
 大事な友達のために、アイザックは決意を固めて俺に確認の視線を向ける。俺にしてみても、リュドラルは無下にできない相手でもあった。
 そして、ジャルディーノの夢も無視はできない。
 ラーの化身の見る「夢」にはおそらく意味がある。
「ああ。船長に言ってくる」

 テドンの町は大陸の途中、川を上った先にある。
 幽霊が出ようが何が出ようが、進路に変更はされない。

--

 船の旅は、つつがなく順調に進んだ。特に大きな嵐に出遭うことも無く。
 後ろには同じくテドンを目的とする海賊船が続き、南下したネクロゴンド地方、河口の一つに船を入れ、上流へ昇って行く。
 目指すテドンの町はネクロゴンド最大河川の上流に栄えていた。

   過去に。


 あれから度々サリサは海賊船に働きに行き(何かとミュラーに呼ばれて)、一緒にシーヴァスも喜んで働きに行っていた。
 …実は俺は知らなかったんだが、どうやら海水浴で会った、あのむかつく男も乗っていたらしい。知っていたなら止めていたものを。

 テドンの場所が近付くと、船を降りて俺たちは徒歩でテドン跡へと向かう。
 さすがに町までは中型の船は川を昇りきることが不可能で、船員を残して俺たちは出発していた。
 テドンだけにあらず、ネクロゴンドは山脈が多く、左手側、今は魔王バラモスがいる王城などは、到底人が越せないような厳しい山岳地帯の先に在る。
 城に往くには「空」しか考えられずに、不死鳥ラーミアを復活させて、背に乗せてもらおうなんて手筈になっている原因が、その険しい地形状況。


 川から森へ入り、少し歩くうちに、陽は沈み、すっかり辺りは闇に染まる。
 灯りを手に先頭を歩いていたアイザックが疑問を覚えて不意に立ち止まり、俺の鼻が奴の後姿にぶつかる。
「なんだよ。急に止まるなよ」
「なぁ、ニーズ。…なんだっけ?ここって、廃墟なんじゃなかったっけ…」
「そうだよ。早く…」
 進めと促す視線の先に、明りがいくつも灯っているじゃあないか。

 テドンの町はそこに拡がり、俺たちを賑やかに迎えてくれる。
 廃墟なんて何処にもなかった。
 大きな活気ある町が普通にただそこに待っていただけで。

「…どういう事だ…?後で復興したのかな。それにしても、立派な町だ」
 不思議で仕方がなくて、全員が呆けて町の入り口に立ち尽くす。アイザックがみなの気持ちを代表して口にしたが、そうとしか考えがつかない。

 アリアハン城下よりもよほど大きく、都会の都市。ネクロゴンドは滅びるまでは世界最大の軍事伝統国家で、世界情勢の頂点に立っていた。
 そのネクロゴンド東部の最大の都市だったのがテドン。
 テドン川の交錯する袂に栄えた観光名所の一つでもあったらしいが……。

「あらあら。旅のお方かしら?うちの宿に泊まりなさいよ」
「いえいえ。うちの宿なら美味しい料理が食べられますよ。テドンの銘酒も飲み放題です!」
「テドンはお初ですか?こちらには観光で?」
 どっと宿の勧誘が俺たちを見つけて集まり、てんやわんやの客争奪戦が繰り拡げられる。俺たちは泡を喰って、うるさいのでひとまず適当に宿を決め、そこで一息つく事にしていた。


「…………」
 男部屋と女部屋とを借りて、荷物を置き、情報収集に町に繰り出そうと俺は仲間の割り振りを考えていた。
 その時に、ジャルディーノがじっと町の外を窓から眺め、険しい顔をしているのに気が付いて声をかける。
「どうかしたか」
「いえ…。あの、僕は…。ワグナスさんとで組みたいのですけれど、いいですか?ニーズさん」
「?珍しいこと言うな。じゃあ、お前はワグナスとオーブの情報探してくれ。あとリュドラルのことも、分かれば」
「……。はい…」

「じゃあ、女は二人でいいとして、アイザック、一緒に行こう」
「うん、了解。じゃ、ジャルディーノ、後で宿屋でな!」
 奇妙なこの町の事を早く知りたくて、俺の足は急いでいた。アイザックと二人で一足先に、聞き込みに夜の街へ飛び出して行く。
 部屋に残ったのは、ジャルディーノとワグナス。声を潜めて窓辺では、ジャルディーノが祈りの言葉を繰り返していた。

「ジャルディーノさんには、解りますか。この町の異変が」
 ジャルディーノの隣に立ち、見下ろす賢者の瞳に映るテドンの町は、深い霧のように不可解に揺らいでいる。
「ここは…。時間が歪んでいます。そして、とても、…。せめてこの町だけでも、浄化できると良いのですけれど…」
「果たして、ジャルディーノさんでもできるかどうか…」

 賢者ワグナスは、不意に背を向け、お決まりの別行動を言い渡す。
「私、おそらく必要になるであろう、あるお方を迎えに行って来ますね」(にっこり)



「魔王バラモス…?そんなの、勇者オルテガが倒してくれるに決まってるだろう〜?わははははは!」
「はあ?…オルテガさんはもう、火山に落ちて亡くなって。その息子が今勇者になっているんだよ!」
「ネクロゴンドが崩壊したって〜?そりゃなんの冗談だい?あはははは!」

 近くの一番大きな酒場で、アイザックは延々と噛み合わない町人との会話に必死になって現状の説明に声を張り上げていた。
 俺もカウンターでマスターに聞くが、町の人間の答えは決まってひとつしかない。

「この町は、魔物に襲われたんじゃないのか」
「この町は魔物なんか来ないよ。ネクロゴンドは世界最強の軍事国家だよ?守備隊もしっかりいるんだからねぇ。魔物なんかびびって逃げて行くさ。はははは」

「おい〜!どうなってるんだここは!!ニーズっ!!!おかしいぜ絶対!!!」
「全くだ。おかしいな」
「この町はみな嘘つきなのか???!」
「あれは……」

 酒場の窓から、覗けた店の外、通行人の中に忘れてはいない「女」が横切る。
 女にしては背が高く、長い波打つ髪に布を頭から被っている。一度見たら忘れられないような、美しい女だった。
 清楚な感じではなく、何処か妖艶だった、アリアハンで出会った女。


     。アイザック、黙って着いて来い。女の後を追う」
「えっ?なんだよ。どの女?」
「親父。お代はここな」
 見合った分の金を置いて、酒場を抜け、俺はアイザックと共にあの女の後を尾行する。何故その女を尾けるのか、アイザックに簡単に説明しながら、女を追って町外れにまでやって来る。
「多分、リュドラルの関係者だ。絶対あの女は何か知ってる」
「本当だな…?しかし、もう、町の外だぜ…?何処へ行くんだ?」

 女に声をかける男も多くて、しかしそのどいつも余裕で女にかわされて情けなく引っ込んだ。はっきり言って手馴れていた。
 男をあしらうことにも、声をかけられることにも。
 俺でさえも美人だと思う。そして背も高く、容姿において何も文句のつけドコロが無い。 完璧な美貌と言えた。
 魔性な瞳も合わせて。


 水の音が近くなっていた。
 町の傍を流れるテドン川の支流、そこから少し外れて水が溜まったのか、小さな湖が視界に広がる。月の薄い光だけで、森から覗く俺たちの先で女は服を脱ぎ、足先を水に沈めてゆく。
「……!?水浴びっ!?覗きじゃんかこれじゃ、ニーズ帰ろう!」
 服を脱ぎ始めた時点から連れはおおいに慌てて、そちらを見ないようにして俺の腕を引っ張っては帰りを促す。

「……。馬鹿、見ろ。あの女」
「み、見ろってなんだよ!馬鹿野郎!!!」
「そうじゃない。…背中に、傷がある。しかもリューと同じの…」
照れたアイザックも、女の背中を見ると目の色を変えて身を乗り出した。

    ?んっ、な…!なんだアレ!まったくリューのと同じじゃないか!!」

「やっぱり、そうだよな…」
 リュドラルと最も親しい、アイザックが言うのだから間違いはなかった。

 森の茂みから顔を出し、女に疑惑を持ったアイザックの表情が鋭さを持つ。
「……。角度、向き、一緒なんてことあるか?ここからじゃ分からないけど、若干女の方が傷が大きい気がする」
「…そうだな」
 幼い頃、太刀傷を受けて瀕死の重体でアリアハンに倒れていたリュドラル。
 どんなに回復呪文をかけても、その背中の太刀傷は決して消える事はなかった。あの、ジャルディーノの呪文でさえも。
 その時のショックからか、リュドラルは記憶の大部分を失って、以降も自分の記憶の手がかりを探していた。

写したような同じ背中の傷、暗がりでも痛々しく、女の背中に鈍い光を発していた。
「……。上がったら、問い詰めてやる」
「………」
 アイザックは背を向け、女の水浴びが終わるのをじっと待つ。
 さぞかしその心中は複雑だろうなと思われた。
 
 奴に取っては、子供の頃から相棒のようにいつも傍に居た友人   

 働き者のアイザックを手伝う場面も良く見かけた。(巻き込まれかも知れないが)俺とアイザックがケンカをした時も、必ずリュドラルが仲裁に入り、仲直りにまとめてくれた。
 剣技においてはアイザックどころか、俺にも敵わなかったが、弓においてはアリアハン一の腕前を誇っていた。国でも一目置かれた弓使いでもある。
 ちょっと町の外に出て、魔物に遭遇したりしても、巧くリュドラルは後ろから支援をしてきたもんだった。

 俺たちに矢を当てることもなくて、巧い具合に攻撃の隙間に矢を射ち込む。
 ある意味天才なんじゃないかと思っていたぐらい。

 女は水浴び、体を洗い流すと言うよりは、背中の傷を癒しているように見受けられた。
 良くリューの奴も傷が疼いて痛がっていたが…。
 この女も傷が灼けるのか、冷たい水を背中にかけては、肩を押さえて堪えるように首を下げる。
 一体、等しい『傷』の意味はなんなんだ……。 


 程なくして、女は陸に上がり、体を拭いて服を着る。
 何処かへ行かれてしまう前に、俺とアイザックの二人が女の行く手を阻んで立ち塞がる。町へ戻るのだろう、女の前に茂みからガサリと現れ、すでに視線は鋭く尖っていた。
 女は驚いた風もなく、気づいていたのか、怪しく微笑み通り過ぎようとする。

「待て!聞きたい事がある!リュドラルの事だ!」
 アイザックは今にも噛み付きそうな勢いで、横を通り抜けようとした女の腕を掴んで半ば怒鳴る。
    おそらく、女の腕の異常な冷たさに、アイザックは一時腕を見つめて言葉を飲み込んだ。
 
「あらあら。男の子が二人、水浴びを覗いて、一体何の御用かしら。お金貰いたいのはこちらの方よ?」 
 微笑を魅せながら、女はアイザックを面白いように翻弄してくれる。
「覗いてなんかっ!!!」
「う、そ。身を乗り出していたじゃない?なぁに、私に相手して欲しいの?それなら一人で来て頂戴。それとも、怖くて友達について来て貰ったの…?うふふ」
「なぁああっ……!!!」

 女はアイザックに艶っぽい声で寄り添い囁く。
 顎に添えた指や、耳元で息を吹かれたのにアイザックは赤面して、降参したのか慌てて離れる。
「なっ、なっ、なあああああっ!!!!なんだコイツ!ちょっとパス!」
「おい。お前の背中の傷、リュドラルと同じものだ。何処で誰にやられた。言え。そして、お前はリューのなんなんだ」
 こーゆー女に弱そうなアイザックの前に出て、俺は毅然とした態度で問いかける。

「さっきから、そのリュドラルというのは誰のことなのか。さっぱり分からないわ」
「嘘をつくな。お前とはアリアハンで会った。その時言っただろう。何故、お前に会ったことをリューに話すなと言った。それから、知らない方が幸せと言ったな。それはリューがネクロゴンドの生き残りだからか」
「………」
 女が何か言葉に迷う。
「アイツをここへ連れて来るぞ。テドンへ!」
「それは   !」

 口が滑ってしまった、そう言わないばかりの表情は刹那。女のルビーのような瞳は細く俺を睨みつける。
「あなたに、それだけの権利はないわ。帰りなさい。あの子を大事に思うなら」
「なに……?」
 ワケのわからない事を言う。
「本気であの子をここへ呼ぶつもりなら、私はあなたを止めなければならないわ。あなた、負けるわよ?」

 何処まで、女は強気だったのか。
 俺と横の戦士と、二人のプライドを容赦なく砕き、不敵に髪をかき上げる。
「私には負けない理由があるの。二人がかりでも負けるわよ?やってみる?」
 月夜に嘲笑うように、ひと凪ぎの風が横切っていった。美しく、そして怪しく、まやかしの様に女はくすくすと微笑む。

「……。じゃあ、やってやるさ!言わせてやる!力ずくで…!」
 俺よりも早く、アイザックが動いていた。帯剣はしていたが抜かずに、腕力だけで女を捕まえようと乗り出す。
 アイザックの動きは速かった。    なのに、掴んだと思った女の腕は残像を残してスッと消える。
 異常だった。緑がかった残像、虚をつかれたアイザックに、直後に伸びたのはしなやかな螺旋の蔓。

     ビシッ!!
「うっ!?」
 いつの間にか移動したのか、目で追えてはいなかった。
 女は身を翻し、腰から抜き取った鞭を一振り、アイザックは絡み取られ、絶句する。悪さした子供をあやすよりも容易い、と諭すように、女はにこりと鞭を絞めた。
「ふふ、だから言ったでしょう?悪い子にはおしおきよ」

 鞭は一本。アイザックを絡めている状況では俺の相手まではできまい。
 女相手に悪いが、俺も友人のために行動に出た。

 しかし、女の余裕の表情は揺らぐ事はなかった。俺が奔り寄るのに合わせて、鞭を強く引き、足元にアイザックを倒れこませる。たたらを踏んだ隙に、女は俺の背後に回っていた。
「あなたも、…悪い子ね…」

    プスリ。
 首筋に針が刺さる、    毒針だった。

「うふふ。覚えておいてね。世界を救うような勇者でも、実は倒すのなんて簡単なのよ?…そう、一本の針と、女の力でも充分なの」
 絡めたままのアイザックの首にもぷすりとにこやかにお灸を据えて、痺れて倒れた男二人を女は静かに見下ろす。

「くれぐれも、あの子をここに呼ばないことね…。あなた達に、あの子を守れる力なんてないのよ。自覚してね、勇者様、そして戦士様」
「…くううっ……!!!」
 悔しそうに言われた戦士は屈辱に震えた。
 俺にしても全くぐうの音が出なかった。
 一瞬、女の瞳は悲しみを湛え、しかし忘れ去ったように背中を見せた。
「帰りなさい。この町に、もう来ない方がいいわ」

 大きな太刀傷を背中に残す、女の後姿は振り向くことなく遠くなる。

-SIEVAS-

 宿屋に落ち着き、私はサリサと二人で船旅の疲れをお互い愚痴り合っていました。どうにも、私は初めて船に乗り、終始船酔いしていたので、陸地が嬉しくて仕方がありません。
「ニーズさん達、聞き込みに行ったね〜…。私たちどうしよっか。シーヴァス辛いんじゃないの?休んでる?きっとニーズさん怒らないよ」
「そうですね…。でも、サリサも顔色悪いです。疲れましたか?」
「うん…。船は平気だったんだけど、この町…。入った時から何か嫌な感じがして…」

 女部屋で二人、揃って体調に不調を覚えていました。
 すでにベットに被さったサリサは顔を濁して、笑えない感想を口にします。
「あのね。…感覚が…。思い出すの、イシスでの邪悪な波動。ピラミッドで感じたような嫌な感じがするの。この町…。寒気と吐き気が止まらない」

 コンコン。
「すいません。ジャルディーノです」
 扉を開け、私は仲間の僧侶さまを迎えます。
「……。サリサさん、具合悪いのですか?」

 再び同じ事をサリサが報告すると、ジャルディーノさんは呪文を呟き、部屋に「ニフラム」=浄化の魔法を敷きます。
「これで少し楽になると思います。あの、お二人はここから動かないでくれますか。その方が安全だと思います。僕は町へ出ますが、あ、ワグナスさんは別行動です。いつ戻るかはちょっと分かりません」

「……。はい。休みたいと思っていましたから、それは構わないです。安全と言うのは…?ここには何かあるのですか」
「……。ここには呪いがかかっています。特定の人物にかけられたもので、僕たちには被害ないと思います。でも、もしもと言う事もあります…。僕はちょっと調べて来ますけれど、心配しないで下さいね。少ししたら戻ります」

 お兄様とアイザックは二人で町へ。ジャルディーノさんも、町へ。
 ワグナスさんは別行動。
 宿には私たち二人が残り、言葉に甘えて休んでいました。
 長く続いた船旅の疲れか、サリサはすぐに寝息を立て始める。
 
 私も暫し、浅い眠りに落ちて……。





      ……・・

 眠りの淵の瀬戸際、私の鼓膜を笛の音が震動させる…。

 笛の音は山彦を呼んでいました。円を描くように、山彦は反響している。
 それは不自然でした。
 山彦は狭い空間で迷い子の様に、悲鳴を上げるかのように乱反射している。
 笛の音、その先にいるのは、    彼。

 眠りは束の間で、私は…。
 ジャルディーノさんの「部屋を出ないで」という忠告は覚えていました。けれど、近くで聴こえた笛の音色に、私は誘われていたのです。


 夜、時計は十一時を回る頃でも、テドンの繁華街には人が溢れています。
 派手な服装の女性も多く、以前訪れたアッサラームの町を少し思い出すような賑やかさでした。
 探した人の姿は繁華街に見つかり、私は追いかけて酒場に入って行く。
 店内は空いた席がすぐには見つからない程に盛況で、忙しそうに給仕する女性たちが人をかき分け通り過ぎる。

「あらら。めっずらしいお客さんね?エルフの魔法使いさん?」
「お一人ですか?待ち合わせ?それとも迷子〜?クスクス」
 化粧の匂いのきつい踊り子の様な女性に挟まれ、戸惑った私は店内に彼の姿を見つけて指差します。
「彼と…。一緒に」
 ソファー張りの豪華な箱席に着いていた彼には、すでに女の人が数名同席してはいたのですが…。私は少しムッとして、つかつかと歩いて行きます。

「ねえねえお兄さん一人?一緒に飲みましょうよ〜」
「お兄さんタイプ〜!ねっ、恋人いるの?いないなら私立候補したーい!」
「あの、すいません。どいて頂けますか」

 必要以上に貼り付いていた両脇の女性たちにはっきりと告げ、私はぎょっとした彼と目が合います。
「はん?なぁにこの子?お兄さん知り合い?」
「……。おいシーヴァス。こんな所で遊んでるとまた兄貴に叱られるぞ。喫茶店じゃないんだからよ…。サッサと帰れよ」
「私は客です。…どいて下さい」
 面倒くさそうに追い返す彼の言い草にまた私はふくれて、更に馴れ馴れしい女性たちの密着具合に胸が張り裂けそうでした。
 腕を組んだりしているだけで、嫉妬心が暴れてきます。

「……。魔法。使ってもいいですか」

ブハッ。
 彼は飲んでいた酒を吹き、魔法と聞いて女性たちも途端に顔色を変えて逃げて行きます。私がエルフであり、そして杖を構えたので、脅しを解ってくれたのでしょう。
 空いた席に座って、店員を呼び、注文を頼みます。
「彼と同じものを。お願いします」
「……。なんだよ。用件あるのかよ…。なんだよお前はよ。勝手な奴だな」
「……。すみません。嫉妬しました」
 せっかく横に座ったのに、私は目も合わさずに仏頂面で。彼も呆れて、ため息一つ付き、つまみの豆を齧っていました。

「あのさぁ…。何?俺はお前に会うたんびにこうして女除けられるワケ?除けなかったら魔法ぶっ放されるワケ?ふざけんなよ」
「………」
 彼の言い分に言い返せず、逆に今度は悲しみがこみ上げてきます。横目に見る彼は、頬杖をついて、明らかに怒り心頭していました。

 海賊船に乗ってここまで一緒にやって来ている、盗賊ルシヴァン。銀の髪をいつもは縛っていますが、今日は下ろしていて、少し印象が違っていました。

 サリサと二人で海賊船にお手伝いにお邪魔して、顔も合わせていたけれど、彼の態度はいつも通り変わる事はなく。
 それでも良かったのですけれど、今のように別の女性がくっついている事には我慢ができないです。
 いつの間にか、私はとてもわがままになっていました。


「なんだよ。今度は泣き落としか?まったく、面倒な奴に好かれたもんだぜ。全くよ…」
「はい。ウイスキー、お湯割で〜」
 テーブルに注文が届き、私は泣くわけにもいかず、間を保つようにお酒を口にする。

「お前飲めんのか?宿何処だよ。後で送らなきゃならねーかも知れねーからな。聞いておくよ」
「……。平気です。ルシヴァンこそ、宿は何処ですか。後で私が送らなければならないかも知れません」
「はっ?……。   へぇ。本気で、なんだか今日はむかつくなぁ…」

 彼の目が据わり…。
 乱暴に空いたグラスをテーブルに置くと、店員を呼んでたくさんの酒を注文します。おそらくは強いものを。
「いいぜ。お前が飲み勝ったら、またなんでも言うこと聞いてやるよ。世間知らずのエルフ娘が」
「……。分かりました。負けません」
 本気で怒った彼は少しだけ、怖かった。
 でも、嫉妬に暴走していた私は、引くことができなくなっていたのです。




 時間は、深夜十二時を差し、酒場の時計が音を鳴らす。
「ところでルシヴァン。この町では、山彦の笛、吹きましたよね?山彦、返って来たのですか?」
「…………。来たよ」
「少し、おかしくなかったですか。私、多分聞きました。山彦が乱反射しているように不自然で…」
「…………。ああん?…ああ、そうだな。そうだよ。そ…」

「……。辛そうですね。降参しますか」
「…………。…ざけんな。って、め、…」
「もう、半分舌が回っていないようですし。顔に出ますね、ルシヴァン」

「……。嬢ちゃんスゲー。ドンペリいかないかい?奢っちゃうよおじさん」
「お勧めなのですか?はい、是非」
「エルフ娘の勝ちだねこれわ〜!エルフちゃん強〜〜〜〜いっ!」
 店の客数は減り、主人と踊り子たちはいつの間にか私の応援に後ろに固まって笑っていました。
「はいよ!ドンペリ(高級シャンパン)一丁〜!!!」
「ドンペリ!(拍手)ドンペリ!(拍手)」

「て、め、化けもんか…」
「ルシヴァンもいかがですか。お勧めだそうです」
 気分が良くて、私はまだまだ飲めそうで、にこりと笑いました。対するルシヴァンは青くなってテーブルに倒れ、恨めしそうに私を睨んでいました。

「せいぜい、ミュラーとスヴァル位にしか、負けた事なかったって、言うのによぉ…。こんなエルフ如きに…。うぐっ」
「何でも聞いてくれるってお話でしたよね。もう女の人と、必要以上にくっつかないで下さい。私なら良いです」
「なぁにぃ…。このクソアマ…」

「エルフちゃんの勝利〜!!!お代も彼氏持ちよねっ!毎度アリ〜!!!」
「ちっ。ほらよっ!!」
 代金を叩きつけ、唾を吐き、千鳥足でルシヴァンは酒場を出て行こうとする。
「あっ!ルシヴァン、危な……!」
ガン。
 ふらふらして、店内の椅子の足に引っかかり、初めて彼が転倒する。そんな醜態は初めて見たのでびっくりです。

「あっ…、   っ痛ぅ…!」
「大丈夫ですか」
「うげぇ。気持ち悪ィ…」
「宿まで送りますね。しっかり歩いて下さい」
「誰がてめぇなんかに…」

 肩を貸そうとした私を嫌がって、また一人酒場の出口に歩き出すルシヴァンはぶつぶつ文句を言い、頭を押さえながら、…出口の横の壁にぶつかる。
 そしてそのままバタリと倒れた。


 心優しい酒場の主人が運ぶのを手伝ってくれて、彼を宿屋にまで送ってゆく。
 深夜なのに二人部屋には彼の同室者も不在で、ベットに彼を寝かすと酒場の主人は戻って行きました。
 私は暫く、気持ち悪そうに唸っている、彼の額の汗をハンカチで拭いている。

--

 彼の取っていた宿は私たちの泊まる宿からそう遠くはなく、装いも少し贅沢な良質の宿でした。深夜周囲は寝静まり、彼の寝息が心地よく思える。
 しかし、突然彼は女性の名前をうわ言で呟く。

「オリ、ビア…」
 私の手はぴたりと止まり、せっかく忘れていた、嫉妬心を呼び起こす。
 誰……?うわ言で呼ぶなんて。とても大事な女性なのですか…。

 私は彼の寝顔を近付いて覗き込み、指先で軽く触れる。
 驚いたのか彼の瞳が開き、私は一瞬ビクリと震えた。
「…オリビア!   生き、て……!!」
 私を間違えて、起き上がった彼は私の両腕を掴んで叫んだ。
「……。どなたですか。オリビアさんと言うのは…」
 傍に居たのが私だった事に気がついて、彼はバツが悪そうにベットに倒れていく。


「……。なんだよ。お前かよ…」
「……。私です。なんだ、って…。オリビアさんが良かったのですか」
「泣くなよ。なんでお前がここにいやがるんだよ。つくづく邪魔な女だな…」
「邪魔…」
 床にぺたりと座り、とうとう私は涙を抑えられなくなりました。
 悲しくて、苦しくて…。


 暫く、しくしく泣いている私を、ルシヴァンは横になったまま、ただ黙って見つめていました。
 頭をかきむしると、身を起こして、床に座り込んで泣く私の元にベットから降り、とんがり帽子をどかす。泣き顔を暴くと、彼は伏し目がちに私に始めての単語を囁いた。
「可愛い奴だな。本当にお前は…」
 指で私の涙を拭う。
「だから、俺は嫌なんだよ。どっか行ってくれよ。…思い出させるな」

「ルシヴァン…。思い出す…?オリビアさんをですか」
「そうだよ。一途に想うなよ。そんな女ほど、男のために泣くし、不幸になる。挙句の果てに死んでゆく」
 どこかへ行ってしまえと言う。
 彼の腕は矛盾して、私に優しい抱擁を与えていました。
「オリビアってのは、馬鹿な女のことさ。帰らない恋人を待って。ずっと岬で歌っていてな。…男はとっくの昔に死んでいたって言うのに。そして自分も身を投げた」
「死……」
「そんな女、…お前に、重なる」

 まだ気分の悪いルシヴァンは、だるそうに私にもたれかかる。
 私は不思議と、彼を身近に感じていました。酔いを、悲しみを、私に預けて、私に甘えてくれる気がして。
「だから、ルシヴァンは、「待つ女」が嫌いと言ったのですね。オリビアさんと言う方が、そうだったから」
「ああ……」
「私…、待ちません。例えあなたが死んでしまっても…」


 ふと、

 私は気がついてしまう。
 例え彼とこの先結ばれても、私と彼との、種族の時間は『違う』という事実を。

 彼を失っても、私は笑って生きていられるでしょうか。
 人の生きる人生の倍以上、エルフの私は生きてゆくはず。
 でも…。彼が嘆く、「恋人を追って自らも死ぬ」ような生き方は……。  



 「私…。死にません。愛するあなたを失っても。あなたが悲しむなら、一人でも生きてゆきます」
 言う間に、涙は何回も頬に落ちていった。独りになった辛さもきっと耐えてみせる。
 あなたを、愛しているから。

「……。シーヴァス」

「…お前なら、そうかもな」

 途中から、私は涙の理由が分からなくなっていました。
 悲しくて。嬉しくて。愛している事が嬉しくて…?だから涙が止まらない。
 世界はとても静かなのに、私の鼓動は壊れそうに叫ぶ。彼の呼吸一つで、今の私は想いの余りに壊れてしまいそうで。

「…帰れよ。お前の兄貴がぶち切れるぞ」
「……。帰れ、ません…」
 二人こんなに近くにいるのに、夜が明けたら、魔法は解けてしまう。
 ようやく『心』に触れられそうなのに、離れるなんてできるはずがない。

 彼は私からそっと離れ、ベットに戻ってゆく。彼の背後、窓から見える蒼い夜空、綺麗な月が私を見下ろしていた。
 大きな手が私に語りかける。
「お前が決めろ。帰るか。ここで俺といるのか」
 私は、私の心のままに。マントを脱ぎ捨て、彼の手を握りしめた。


 潜ったベットの中で、初めて、少年のように笑う彼に出逢う。
「もう、笑うしかないな…。今日はもう、人生最大の負け日だ。シーヴァス、お前には負けるよ。酒でもなんでもかんでもな」
「………」
 悪戯小僧のように彼が笑った。私こそが、恋においてまた敗けました。
「今日は、悪酔いして気分が悪い。甘えさせてくれ」


     幸せでした。
 もうこの先、この人以外愛せなくて良いと思いました。
 愛しています。愛して下さい。それ以上に、私はあなたを愛したい。

--

 朝、本当に、この町の魔法は解けた。
 不自然な寒さ、窓を閉めていたはずなのに、何故か風が入り込むのを感じて目が覚める。賑やかで、立派な都市であったテドンの町並み、

     は跡形もなく消え去る。



 山並みを背負い、朝日は今から空に昇ろうとしていた。
 宿屋の一室は古ぼけた廃屋の部屋に替わっている。
 崩れて、すでに年季が経った無人の廃屋。窓は砕かれ、微かな風に揺られて窓枠は寂しい音を立てていた。
 屋根の一部も穴が開き、白み始めた空が覗く。
 壊れた窓から見えた光景、それは、一面を多い尽くす廃墟。
 生命の息吹を感じない、腐敗臭さえ立ち込める、崩壊したテドンの痕地。この町に着いた時、ここは滅びてから復興した町なのか?、アイザックが訝しがった。

 けれど違った。
 すでに、たしかにテドンの都市は滅びていたのだと。
 悲しく立ち並ぶ、崩壊した廃屋たちが墓標のように大地に悲しく突き刺さり証明してくれていた。

「なんだ?どういう事だ…!?」
 遅れて起きた、ルシヴァンも窓からの景色を見つけて驚愕する。
「……。町が、死んでいます…」
 正視するに忍びなくて、私はまた彼にしがみついた。



BACK NEXT



小説カウント40000HIT ルシヴァンxシーヴァス 水瀬 結さんありがとうございますv
挿絵風…。なはずです(笑)今回本気でシーヴァスが降臨してきて涙が出ました。
自分の恋が叶ったかのように、幸せに涙が零れたのは初めてです。
…よかったね。シーヴァス…。(ほろり)