今でこそ、明石海峡大橋・瀬戸大橋・しまなみ海道
の開通により交通機関が充実し、四国までの距離
もぐっと縮まったが、昔の四国までの交通手段は
船舶しかなく、一般庶民にとってお遍路さんまでの
道程はとても遠いものだった。そこで、誰でも四国
巡礼を体験できるよう、寛政10年(1798)に四国八
十八ヶ所の各札所の砂を持ち帰り、それらを神呪寺
境内の南部に敷いて、「甲山八十八ヶ所」が建立された。
甲山八十八ヶ所を一巡する全行程は約2キロメートル(四国遍路の約563分の1)。
その巡礼道も今ではアスファルトの車道に寸断され、石仏自体も随分と風化してきているが、
第1番札所には大坂籠屋町彦六によって建立された「寛政十二年」と刻まれた
百八十八供養塔(上写真)が残されるなど、かつての隆盛を偲ぶことができる。