Italy

Arti & Mestieri

Murales (2000 : Electromantic Music Art 401)

オリジナルメンバーによる再結成盤.上質で落ち着いた感じのジャズロックを 演奏しています.

Tilt 一曲目を彷彿とさせる曲で始まり,全体的にその頃の 雰囲気を漂わせています.フリオ・キリコのドラムはTiltの頃のよう な機械的な高速ドラミングではなく,キレのよい落ち着いたもので好感が持てます.

ヴァイオリンとギターが重なることによって,多少物悲しい雰囲気が漂っていて, 日本人好みではないでしょうか.地中海的な雰囲気も感じられますね.ヴァイオリンや ゲストの管弦楽器やギターなんかが流れるようなメロディで演奏して BGM 的になりそう な所を,キレのよいドラムがきちっと引き締めていて,テクニカルな雰囲気の上質な ジャズロックに仕上がっています.

ちょっと惜しいのは,インパクトに欠けるような気がする所で,少々物足りないと 感じる所もあるかもしれませんが,メロディアスな所とテクニカルな所がよく釣りあい が取れていておすすめです.昔の Arti が気に入っているのなら間違いなくおすすめ です.

(January 7, 2001)


Bella Band

Bella Band(Mercury 522 565-2/King KICP 7045)

イタリアのジャズロックバンド.イタリアのジャズロックといえば, Area や Arti E Mestieri などハイテクで強烈な個性を持ったバン ドが多いが,このバンドもハイレヴェルのジャズロック.ミュージ シャンについてはよく分からないらしい.サックスが特徴的で,一体 となって出てくる音と独特の疾走感が特徴的.キングからの日本盤は 輸入盤の帯付き盤.


DFA

Work in Progress Live (2001:moonjune records MJR003)

Deus Ex Machina タイプのハイテクハードロック系 バンド.インスト中心です.

Deus 系ではありますが,Deus のように情熱的で前面にどんどん押し出してくる ような所がなく,クールな雰囲気でとんでもない曲を演奏している,という感じです.

曲も畳み掛けるように音が出てくる感じではなく,空間がある程度残っているよ うな感じで,知性的な感じがして,なかなか格好良いです.

(December 15, 2001)


Deus Ex Machina

Cinque (2002 : Cuneiform Records rune 159)

前作でジャズロック系な音に変身していた Deus Ex Machina です が,今作ではシンプルなハードロックに変貌しています.とは言え, このバンド独特のトリッキーな所と畳み掛けるような展開は時おり顔 を出します.ボーカルの魅力をストレートに出しているという感じで しょうか.

一聴しただけでは,以前のどんどん攻め込んで来る所とか,とに かく音を詰め込んだような迫力のある音が後退してしまって,ちょっ と魅力に欠けるような気がしたのですが,何度も聴き込んで行くうち に違った魅力が発見出来て,どんどん楽しめるようになって来る作品 でした.

(July 1, 2001)

Equilibrismo Da Insofferenza (KALIPHONIA KRC020)

ハイテクプログレメタルバンドと思っていたが,このアルバムで 変身を遂げました.今までの畳み掛けるようなリズムとハードロック のようなボーカルはそのままで,ホーンセクションを大胆に導入し, アヴァンギャルドな感じのするジャズロック + ハードロックという 感じになりました.

曲全体が以前は前へ前へとつんのめるような所がありましたが, このアルバムでは,そのような曲も残しつつ,どっしりと構えた曲も 増えています.

途中,ベースとアコースティックギターのデュオによるアコース ティック版 Deus Ex Machina と言えるような曲もあったりします. 全体的にギターを前面に出し,曲によってはホーンセクションも前面 に出ていて,以前までのヴァイオリンが前面に出ているような所はな くなり,どちらかというとヴァイオリンはアンサンブルの一つを担っ ているという役割になっています.

以前の曲にもあった,目まぐるしく変化していく所はそのままで, その変化がハードロックからハイテク・ジャズロックへの変化や,そ れだけでなくリズムや曲調もどんどん変化して行って飽きさせません. ボーカルが苦手でないジャズロック / フュージョンファンには一度 聴いてほしい作品です.

今のところ今年一番の問題作で,もしかしたら今年一番の傑作か もしれないなあ.

(September 20, 1998)

Diacronie Metronomiche(KALIPHONIA KRC014)

イタリアを代表する 90 年代プログレバンド.この作品はライブ 盤.とにかく圧倒される迫力で押しまくります.スタジオ盤での演奏 も完璧で迫力満点だったのですが,ライブの演奏はその迫力を越える ものです。畳み掛けるようなリズム,押し寄せるメロディ,それもか なり高度な曲を完璧なテクニックで演奏し,さらに余裕すら感じられ ます.音的にはプログレ寄りのハードロック/ヘヴィメタルと言って も問題ないような感じです.ボーカルの声質などはそれっぽいですね. ま,とにかくブッ飛んでいる,という言葉が一番当てはまります.:-)


Eris Pluvia

Rings of Earthly Light (Musea FGBG 4048.AR)

イタリアの '90 年代シンフォ界を代表するバンド.リコーダーフルー トの美しい響きが,さわやかな美しい世界へと思いを馳せさせます. イタリアというよりはブリティッシュロック的な洗練された感じがし ますが,繊細で芸術的な音はまさにイタリアらしいと言えるでしょう. とにかく叙情的シンフォファンをはじめとして,シンフォ系ファンは 必聴です.

Etna

Etna (Mellow Records MMP209)

イタリアのハイテクジャズロック集団の唯一のアルバムです.ギター とエレピ中心の硬派なジャズロックと言った所です.

ジャズロック/フュージョンという枠の中で様々なタイプの音楽を やっている感じで,出だし RTF 風の格好の良いジャズロックだったの で,こういう感じでずっと続くのかなと思ったら,もう少しドライな感 じのジャズロックから,少しメロウな感じのフュージョン風の曲までやっ ています.どの曲も退屈しない緊張感に溢れた曲ですばらしいです.

同じメンバーで Flea というバンド名でアルバムを出していますけ ど,そっちは Etna とは全く違うハードロックで,メンバーの懐の深さ を感じます.

(October 21, 1999)


Finisterre

Finisterre's Home Page

Live - ...ai margini della terra fertile... (Mellow Records MMP336)

美しいフルート,激しいギターが美しく情熱的なメロディを奏で るイタリアのシンフォバンドのライブ.時折クラシカルに,またはジャ ズ的にピアノが入り,それがまた良いアクセントになっています.美 しいフルート (とピアノが入る部分もあり) の部分と,荒々しい音色 ですが美しさを損ねない泣きのギターが良いです.この荒々しいギター と美しいメロディと男性的ボーカルにイタリアを感じます.:-) 全体 的な印象としてはやはりフルートとギターが一番印象に残ります.ハ ンガリーの Solaris 的な所もあるかな.

in oguni luogo (irIdea THX 1138)

アルバムを出すごとにジャズロック色を強めていく彼らですが,こ のアルバムでも前作よりさらにジャズロック色を強めています.激しい ギターはそのままで,演奏がよりジャズロック的になっているような気 がします.

とは言っても,それまでの彼らの特色のシンフォ色も十分に感じら れて,それが良い味を出しています.曲の展開はモロシンフォという感 じで,それと激しいジャズロック色が良い感じで均衡しています.エモー ショナルな感じは失わずに,曲の感じがほどよくテクニカルな感じになっ ている所が魅力です.ヴァイオリンの情熱的な感じも良いです.

それから,彼らはアルバムを出す毎に演奏のテクニックも向上して いる所が感じられて(笑),次が楽しみになりますね.曲は素晴らしい曲 で文句なしですので,これで技術がどんどん向上していけば向かう所敵 なしのバンドになるでしょうね.

(October 20, 1999)


Freeway Jam

Pensieri Imperfetti (2002: Freeway Jam FWJ2002)

自主製作らしい,インストロックのアルバム.

オルガンとギターが絡むのが印象的な「古き良き時代のインスト ロック」という感じ.数曲女性ボーカルのジャズ的な曲もあります.

セッション的要素が強く,個性という点では多少弱い面がありま すが,かえって最近こういう雰囲気のアルバムも珍しいかもしれませ ん.なかなか気持良く聴けます.

(October 1, 2002)


Furio Chirico

Furiosamente (Electromantic Music ARTS 9004)

Arti E Mestieri のドラマーのソ ロアルバム.

ラテンテイストあふれる軽快なフュージョンにドラマーのソロア ルバムらしく複雑なドラムが絡みます.非常にキレのあるドラムが印 象的で引き締まった感じがしますね.

時おり地中海風味が加わって,少々エキゾチックな感じのする曲 もあります.

決してテクニック偏重で曲が印象的ではない,という風にはなら ない,気持ち良く聴ける軽快なフュージョンと言った所でしょうか.

(March 13, 2002)


Hostsonaten

Springsong (Sublime I-122001)

Finistterre から派生したシンフォ プロジェクト

Eris Pluviaの 1st を思わせる叙情 的なシンフォニック作品.ヴァイオリン,ホィッスル,フルート,ア コースティックギターの織りなす美しいメルヘンチックな情景が浮か んできそうな音に,泣きのエレキギターが入る事によりメリハリが付 き,明るいソプラノサックスにより外向的で開放的な叙情色が出て, 聴いているだけで心休まる音楽に仕上がっています.

ラストの曲は少しケルト色もあり,非常に美しいです.今世紀初 の叙情シンフォの名作かも? :-)

(March 11, 2002)


Locanda Delle Fate

Locanda Delle Fate Official Web Site

Forse Le Lucciole Non Si Amano Piu (妖精)(POLYDOR POCP-2367)

cover

'77 年に登場したロカンダ・デッレ・ファーテ唯一のスタジオ盤.

邦題は“妖精”.邦題って結構気にくわないものが多いですが,これ は音楽にピッタリ.ジャケットも妖精の美しい絵だが,もうジャケッ トのイメージそのままのとにかく美しい音楽.メンバーは,イタリ アのスタジオミュージシャンらしいが,詳しくは分からないらしいで す.

とにかく出だしの美しいピアノのメロディでぐっとその世界に引 き込まれ,その上に美しい甘いギターが乗り,そのままの夢の世界を さまよう感じでで最後まで聴かせてしまいます.ボーカルも美しいメ ロディにはちょっと不釣り合いか? と思わせる武骨な男性的ボーカル ですが,なぜか音楽にぴったり溶け込んでいるし,もうイタリア的な 雰囲気をぷんぷんさせていて,すばらしいです.

とにかくプログレファンであろうとなかろうと,音楽が好きな人 であれば,一度聴いてほしい必聴の名作.

Homo Homini Lupus (Vinyl Magic 2000 VM CD 066)

オリジナルメンバー数人を中心に再結成され製作された新譜.妖 精とは違った優しい暖かみのある歌物アルバムに仕上がっています. 時折,プログレ的な畳み掛けるようなフレーズが顔を覗かせたりもし ますし,フルートもとても美しく効果的に入ってきます.とにかくホッ とさせてくれるような美しさと暖かさを持った秀作ですね.

(August 14, 1999)


Maxophone

Maxophone (1975)

Maxophone
B00005U0KWMaxophone

おすすめ平均
stars残念ながらこれ一作のみ

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私の持っているのは SI-Wan 盤ですが,今はどこから出ているの かな?

スタジオミュージシャン+クラシック畑のミュージシャンの 6 人 編成のバンドとのことです.

美しいピアノのイントロで幕を開けますが,そのクラシカルな要 素と共に,管楽器の演奏がたまにジャズっぽい所があるのが印象的. 結構めまぐるしく変化していく緩急を付けた演奏が最後まで飽きさせ ません.ギターやサックス等による比較的刺激的な音とホルンやクラ リネット等による滑らかな感じの音の対比,同様に刺激的なジャズ的 な音と,美しい流れるようなクラシカルな音の対比とその変化が楽し いですね.

(December 21, 2005)


Montefeltro

Il Tempo Di Far La Fantasia (Musea 4072.AR)

イタリアのバンドらしからぬさわやかなシンフォ。特にふわっと したギターがよいです.。少し泣きのメロディの入った押さえ気味の 感じのギターが私好み.(^_^;) よく聴くと,はっきり言って,演奏 のレベルはいまいちですが,もや〜っとしていて美しいメロディは, それを補って余りあります.

Il Pesce Rosso... (2001: Mellow MMP 413)

10 年ぶりの新譜.前作と同様のほわ〜っとした感じのつかみどころのない感じ のギター中心のシンフォニックロックです.そのせいか一聴した時のインパクトは 少々弱く感じられるのですが,繊細な演奏が強い個性となっていてじわっと浸み通っ て来る感じがして,不思議な魅力となっています.

ほわ〜っとした感じと繊細さから来る幻想的な雰囲気が魅力です.最近なかなか ないタイプのシンフォニックロックだと思います.

(December 28, 2001)


Patrizio Fariselli Project

patrizio fariselli project area official site

lupi sintetici e strumenti a gas (curved light CU-LT CD001)

イタリアのジャズロックバンドのアレアのキーボーディストのプ ロジェクト作品.

基本はピアノ/キーボード,ベース,ドラムスのトリオに,結構 迫力のある女性ボーカルが乗る曲で,このタイプの曲が一番数は多い です.

しかし,Project ということで,多彩なゲストを迎えているのも 特徴のようで,例えば 1 曲目はちょっとケルトフォーク的な曲で, 最初はフォーク系の作品かと思ってしまいました.その他,ロックオ ペラ的なユーモラスな作品など,何曲か面白い曲も収録されています.

ベースとなる曲は,ジャズをベースに骨太の女性ボーカルが乗る 感じで,ウェザー辺りのジャズが好きな人にはおすすめできるかも知 れません.ちょっとひねりの利いたコンテンポラリーなジャズと言っ た所でしょうか.

(October 9, 2001)


Rhapsody

Symphony of Enchanted Lands (Victor VICP 60486)

cover

生ストリングスを駆使したクラシック的な HR/HM バンド.呪われ た土地に愛と平和を取り戻すためにエメラルド・ソードを手にいれる RPG のようなストーリー性のある音楽らしい.

音楽は,期待通りの所で期待通りに展開してくれるシンフォニッ クロックですが,私,こういう HR/HM は好きです.(^_^;)目まぐる しく変化し,もうこれ以上ないという大げさなアレンジ.たまりませ ん.曲によっては,変化がすごく速く少しプログレッシブとも思える 展開を見せるところもあります.

まあ,お約束過ぎて面白くないという方もいらっしゃるかも知れ ませんが,私はこの手の音楽は期待を裏切らない展開も好きなので, 気に入りました.好きなもんは好きということで….:-p

(November 29, 1998)


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