East Europe

After Crying (Hungary)

Föld És Ég (1994: Progressive Music Club BG CD 002)

3rd アルバム.

出だしは EL&P っぽいクラシカルな曲です.グレゴリオ聖歌っぽ い曲を間に挟みながら,ピアノ/オルガンとトランペットの演奏が印 象的.

ピアノはジャジーなピアノ/オルガンまで自在なプレイ.トランペッ トによる爽快な曲や少し Miles Davis の Bitches Brew 辺りの雰囲 気を感じさせる曲は,若干トリッキーな感じの曲の中でおおらかに歌 い上げる感じもあり,個性を感じさせます.

少し不気味な内省的な曲もあり,非常に広い範囲の曲調ながらも, 一つの作品としてのまとまりを感じさせます.

というわけで,ピアノとトランペットと聖歌風の曲が非常に印象 的な非常に繊細かつ大胆なシンフォニックロックの名作と言えるでしょ う.

(October 18, 2005)


Anastasia (Macedonia)

Melourgia (C+P Libra Music L.M.007-2)

荘厳なボーカル,不気味なバグパイプが鳴る中世風の暗黒のイメー ジのマケドニアのバンド.メンバーは 3 名のようですが,重厚な音 楽です.ちょっと初めから最後まで一本調子のような気もしますが, その重厚で暗黒の迫力で最後まで聞かせてくれます.


Anna Maria Jopek & Friends with Pat Metheny (Poland)

Anna Maria Jopek

Upojenie (2002: Warner Music Poland 50466-2281-2)

Pat Metheny との共作で,作曲とプロデュースも Metheny が手が けている作品とのこと.ライナーが全てポーランド語のようなので, 誰が何の楽器で参加しているのかちょっと分からないですが,Mino Cinelu も一曲参加しているようです.

一応女性ボーカルがメインって事なのか,Metheny らしさは多少 抑えながらという感じの曲が多いですが (それでも一聴して Metheny とわかりますけどね),Metheny の美しい幻想的なアコースティック ギターに透き通った水の流れのような女性ボーカルが重なる曲が,繊 細な感じで美しいです.

何曲か Pat Metheny Group の曲も入っていて,ちょっとエスニッ クな味わいの女性ボーカルによる Are You Going With Me? はなかな か面白い仕上がりで,この曲に関しては Metheny 節全開という感じ です.

(April 13, 2003)


Autograph (Russia)

25 Let Spustya (2005)

旧ソ連時代からのバンドの 25 周年ライブ盤 (2 枚組).ジャケット やライナーはキリル文字で読めん... (^_^;)

歴史のあるバンドなのでしょう.曲によってスタイルが違い,シンフォ 系のインスト曲から,ポップなロック,硬派なロックまで,様々なラ インアップが揃っています.

ただ,全体に渡って底辺にはじわじわと染み入るような東欧独特の叙 情感が漂います.ギターは Solaris などとも共通するような泣きの ギター.それに若干チープな音のシンセがその独特な叙情感を支えま す.シンセはクラシカルでキレのある演奏.ボーカルはちょっと好み は分かれそうな気はしますが,それほどアクは強くないですね.ギター も泣いてますが,そんなにコテコテな感じがしないです.

ポップな曲やプログレ色のないロック色のある曲も,その独特の叙情 感が根底に流れているようで,ハイレベルな演奏とあいまって,なか なか魅力的で思わず聴き込んでしまいます.

ライブ盤ということを忘れさせるようなハイレベルの演奏です.後半 に向かってじわじわと徐々に盛り上がっていく所がライブらしくて良 いですね.

(March 7, 2006)


Begnagrad (Slovenia)

Konzert for a Broken Dance (1980: AYAA cdt 1190)

題名の通り“Broken Dance”が踊れそう (? ^^;) なスロヴェニアの バンド.レコメン的なおちゃらけた感じのノリと,ヴァルカン民謡的な ノリが,非常にユーモアに溢れた感じの雰囲気を作り出しています.ロッ クやジャズのノリでヴァルカン音楽を演奏した感じでしょうか.

アコースティックな楽器中心の演奏ですが,一見そうは思えないよ うな (というよりそんな事を気にする音楽を通り越した) 音楽で,前の めり感覚で一気に聴けてしまいます.

(November 14, 1999)


Besh o droM (Hungary)

Can't Make Me! (2002: Beans Records BNSCD-880[日本盤])

can't make me!

「ジプシー,アルバニア,ギリシャ,セルビア,マケドニア,ト ルコの音楽をやっている」と自ら語っているらしいハンガリーのバン ドの2nd アルバム.

バルカン,アラブ,地中海音楽の要素をごちゃまぜにした感じの スピード感溢れる超高速トラッドという感じです.メンバーも様々な 音楽の影響を受けているようでトラッドをベースに,ジャズ,ロック, クラブ,ファンク,ドラムンベース等様々な音楽的な要素を感じます.

様々な楽器が渾然一体となって押し寄せて来て,一気に駆け抜け ていくような感じです.

(June 8, 2003)


Blue Effect (Czechoslovakia)

Modry Effect参照


Blue Effect&Jazz Q Praha (Chechoslovakia)

Coniunctio (1970: Bonton BON 503100 2)

1970 年リリースの Blue Effect と Jazz Q の共演盤らしいです.

混沌とした迫力のある Mahavishnu Orchestra の "Birds of Fire" の出だしを彷彿と させる出だしで幕を開けます.その後もフリー色の濃い演奏に時折硬派なジャズロック が混じると言った感じの演奏が続きます.

とにかくすごい迫力と重厚感で,何か抑圧されていることから来るエネルギーを爆発 させている感じがして,いかにも抑圧されているロックの開放を求めると言った雰囲気 が満点です.

(September 24, 2001)


Fermata (Chechoslovakia)

旧チェコスロバキアのジャズロックグループ.現在も活動中とか.

Generation (OpenMusic OP 0072 2 331)

'81 年リリースのジャズロック作品.これ以前は泥臭い感じのす るジャズロックでしたが,この作品は洗練された感じで,流れるよう なメロディが特徴です.ギターとキーボードが絡み合うように複雑に ソロを展開していきます.ギターは RTF 時代のアル・ディ・メオラ 的な味わいもありますね.前作までのゴリゴリとした感じのソロの雰 囲気も少し残しています.少し泥臭さが消えたぶん,東欧独特の雰囲 気が少し減退したように思えるのはちょっと残念です.しかし,以前 より曲にヴァリエーションが増えたような気もします.

とにかくメジャー級のジャズロック / フュージョンアーティスト と比べても全く遜色のないハイレヴェルなジャズロック作品です.


Kada (Hungary)

Ohane (2004: Biem Artisjus BGCD132)

3rd アルバムでライブ盤.

ギターとサックスが絡み合うアヴァンギャルドな硬派ジャズロッ ク.

以前はギターの攻撃的なロック/フュージョン色が雰囲気の重要な 部分を占めていたが,今回の作品ではサックスのアヴァンギャルドな ジャズ色が全面に出ており,よりジャズ的になっているような気がし ます.

(September 14, 2004)


Kolinda (Hungary)

Incantation (PAN RECORDS PAN 164CD)

結成 20 年以上のベテランバンドの新作.プログレというよりは フォーク / トラッドというところでしょう.Violin, Flute, Recorder, Viola などによる美しいアコースティックな音楽です.深 い森のなかに妖精がいる,と言った感じの情景が目に浮かびます.


Lizard (Poland)

Tales from Artichoke Wood (2005: Metal Mind Records MMP CD 0350)

ポーランドのシンフォバンド.このバンドからヴァイオリンが 正式加入したとのこと.

バンド名からはクリムゾン・フォロワーを想像させますけど,こ のアルバムに関して言えば,確かにそういう雰囲気がなくはないです が,もっと角の取れたやわらかい感じのシンフォニック・ロックとい う感じです.

後半になるとクリムゾン的な緊迫感が強くなるような.柔らかな シンフォと緊迫感のある演奏,ハードな感じが入りまじった感じにな ります.

ヴァイオリンは本当にうまくて,かなりアルバムの味付けの重要 な位置にいるような気がします.もしかしたらヴァイオリンがいなかっ たら,もっとクリムゾンっぽいのかも知れません.

(June 15, 2005)


Mindflowers (Hungary)

Improgressive (2002: Periferic Records BGCD 110)

1 曲目がスピード感のあるテクニカルなロックだったので、その路 線かと思いましたが、全体的にはテクニカルな味わいと美しいメロディ の均衡の取れたちょっとシンフォ風味のあるインストジャズロックと 言った感じです。

最後の20分以上ある曲は、壮大なシンフォニックジャズロックと 言った感じで名曲です。

(January 31, 2003)


Modry Efekt (Chechoslovakia)

60 年代から活動していたチェコスロバキア (現在は分裂していますが) の ロックバンド.英語名 Blue Effect.

Nova Synteza (Bonton 71 0552-2)

国営ジャズオーケストラとの共演アルバムとのこと.道理でジャ ズっぽいと思った.(^_^;) 共演とは言え,オーケストラの迫力が勝っ ているような感じもします. ちょっと懐かしい感じのするジャズか 懐かしの歌謡曲のような雰囲気を漂わせています.そのオーケストラ の上で頑張っているのがゴリゴリしたギター.ちょっとブルースっぽ いジョン・マクラフリンみたい.ビッグバンドプログレってところで しょうか (なんのこっちゃ?) .

SVITANIE (Opus 91 2629-2 311)

この作品は 4 人のメンバーオンリーで録音された 5th .シンフォ のようでもあり,フュージョンのようでもある何とも言えない雰囲気 を持っています.

クラシカルというかバロック調な所もあるキーボードの上で,ジャ ズ・フュージョン的でもあり,地中海音楽的でもあったり,その時々 で色々な雰囲気に変化するギターが時には静かに,時には激しく重なっ てきます.テクニカルでもあり,情感たっぷりでもある所がたまりま せん.:-) ヴォーカルは東欧的ですね.

静かに,あるいは激しく複雑に展開する 10 分に渡る 1 曲目は, 最後まで飽きさせない名曲だと思います.

Svet Hledacu (Bonton BON 494002 2)

Synkopy & Oldrich VeselySlunecni Hodiny の雰囲気に似た 6th Album .似てい るのはキーボードの Oldrich Vesely が在籍しているからかな? (実 際,この作品の後に脱退して,Slunecni Hodiny に参 加しています.)

前作 とは違い,ジャズロック色はなくなり,ハードで美しいシンフォニッ クロックに仕上がっています.とはいえ,テクニカルな味わいは残っ ていて,それがインストの部分に感じられますね.ボーカルの部分は 何語か良くわかりませんがハードで情感あふれる感じです.

ある程度のテクニカルさと,泥臭い感じもするシンフォ的な味わ いと,時折感じられる泣きのメロディと,複雑な曲の展開が合わさっ て,非常に高品質なシンフォニック作品に仕上がっていますね.

(May 6, 1999)


Rumblin' Orchestra (Hungary)

Spartacus (Biem Artisjus BGCD 022)

キーボードを中心としたクラシカルロック.男女混成の合唱団が キーボードによるオーケストラ的演奏に重なり,音に厚みを与えます. 時折入るフルート等が優しい感じを醸し出します.

軽快で明るいさらっと流れていくクラシカルロックで,クラシッ ク系ロックによくあるような重厚な感じや,After Crying のような 重苦しさはありません.After Crying を超える出来,と前もって聞 いていたのですが,確かに After Crying レヴェルの完成度はありま す.ただ,スケール的には,Runblin'Orchestra の方がコンパクトな 感じがします.ポップな感じもあるかな.明るい感じは途中の男性ボー カル入りの曲に顕著で,ここら辺りの曲は明るい感じのポップなロッ クという感じでしょうか.後半は多少中世音楽的要素がミックスされ た感じの曲があって,明るいだけの曲ではなくなりますが,軽い感じ は抜けません.軽いとは言っても,音には厚みがありつつ軽快な感じ がするということで,ぺらぺらの音ということではありません.:-)

キーボーディストはキース・エマーソンの影響も受けているよう で,それは特に後半の曲に感じられますが,やはりエマーソンよりは 軽いです.

高い完成度を持つクラシカルロックですね.

(January 21)


SBB (Poland)

最近 CD 化がすすんだポーランドのバンド

Memento z banalnym tryptykiem

80 年発売.出だしがクラシックのように始まるので,その手の音 楽かと聴いていると,すぐにギターを中心としたジャズロック的な音 楽へ.セッション的な色合いがちょっと感じられます.音楽 的には,シンフォ色のある部分とアドリブ主体のジャズロックの部分 がある感じで,曲によっては両方の要素が含まれる曲もあります.

1, 3 曲目はジャズロック的でギターが中心となったテクニカルな 感じと,ブルージーな感じが同居するギターソロ中心の曲で,セッショ ン的な感じ,2 曲目はアコースティックギターによる内省的な曲,4 曲目はボーカルも時折入る,シンフォ的な味わいとジャズロック的味 わいがあり,曲調も自然に変化して行く長い曲です.

セッション的な感じと,かちっとした感じのシンフォ的な所と, ジャズロック的な所が 1 枚のアルバムに同居していて,ちょっと散 漫な感想もないことはないのですが,演奏も確かで,曲も聴いていて 飽きない,なかなかの秀作だと思います.

(December 5)


Solaris (Hungary)

少し機械的なシンセに,エモーショナルなフルート,泣きのギターが合さって何とも 言えない雰囲気を出しているバンド.インストのバンドです.

Solaris Official Homepage

The Marsbeli Kronikak (GONG HCD 17819)

日本盤が“火星年代記”という名前で出ているソラリスのスタジオ盤.

それぞれの楽器がかなり違う感じの音をしているにも関わらず,音楽全体 としてはきちんとまとまっているところがすごいです.シンセの演奏のせいか, きっちりとまとまった音楽という印象が強いですが,なぜかスケールが大きく感 じます。曲はわかりやすい泣きのメロディで,日本人受けするのではないでしょ うか

Live in Los Angeles (Solaris Music Productions SMP004)

ProgFest での演奏を収めたライブ盤.スタジオ盤に比べて多少ハードで荒々 しい演奏に聞こえます。しかし,スタジオ盤で聞ける緻密なアレンジと確かな演 奏力はそのままであるのは驚きです。まったくミスがないように聞こえる。ソラ リスは,メロディはたいへん分かりやすいですね。このライ ブ盤は演奏の感じなどもどちらかというとハードロック寄りですので,ハー ドロック/ヘヴィ・メタルが好きな人にも受けるかも知れません。

Noab (Archive 2) (2005: Periferic Records SMP 020)

Solaris のアーカイヴ集の第二弾."MARSBELI KRONIKAK" 以前の ライブの音源集とのこと.

時おり聞き覚えのあるメロディやフレーズが飛び出すので,その 後の曲のアイデアだったのでしょう.演奏は Live in L.A. などのよ うに完璧とまではいかないけど,かなりの完成度.アーカイヴ集だか らと言って難があるわけでは全くありません.

曲自体は十分に練られていないような雰囲気もありますが,フルー ト中心のまさしく後の Solaris サウンドそのままなので,当時から 相当な完成度を持った曲を,かなりのテクニックで演奏していたこと が分かります.

(January 12, 2006)


Synkopy & Oldrich Vesely (Chechoslovakia)

Slunecni Hodiny (BONTON BON 493163 2)

Modry Efektに在籍したキーボーディ ストが参加した 1981 年発表のシンフォニックロック.

独特の泥臭さを持ちながらも,なぜかそんなに古くさくも感じな い,ドラマチックなシンフォニック作品に仕上がっています.ハイトー ンなボーカルが少しハードロック的ではあるが,トータルとしては洗 練されたシンフォ作品ですね.

(May 6, 1999)


Tako (Yugoslavia)

U Vreci Za Spavanje (1980: Rock Symphony RSLN 010)

旧ユーゴスラヴィアのバンドの 2nd アルバム.

インストの少しジャズロック色のあるシンフォニックロックです. 少々民族音楽色もあります.

東欧らしさ爆発の陰のある叙情的な作品です.少し抑えようとし ながら (別にそうしているわけではないでしょうけど ^_^;) も抑え きれないというような感じの泣きのメロディが印象的です.

(November 12, 2002)


Townscream (Hungary)

TOWNSCREAM

Nagyvariosi Ikonok (Periferic Records BGCD 011)

After Crying を抜けたキーボーディスト Vedres Csaba の新グルー プです.

After Crying と同様,現代における本当の意味のプログレッシブ・ ミュージックとも言える音楽です.After Crying よりはコンパクト にきちっとまとまった感じの音楽です.美しいクラシカルなピアノと 重く悲しい雰囲気が特徴的で,叙情的なハンガリー語のボーカルがそ の重く悲しい雰囲気をより強調しています.ボーカルだけは,もう少 しうまい人を起用して欲しいような気もしますが,その雰囲気にはピッ タリですね.この雰囲気に生の管と弦が加わり,コンパクトながら音 に厚みも感じられます.曲調も結構目まぐるしく変わり,静と動の間 を行ったり来たりしている感じで,聴いていてだれる所はありません. 常に緊張感漂う感じですね.

King Crimson のアイランドの 1 曲目のカバーも入っています.


Torok Adam & MINI (Hungary)

A Szel Nomadja (Periferic Records BGCD 092)

ハンガリーのフルート奏者の率いるフュージョンバンド.

全体的に軽快で流れるようなフルート中心のフュージョン.軽 快とは言っても,東欧らしく少し陰がある感じはします.ちょっと BGM 的過ぎる所はありますが,少し叙情的シンフォ色も感じさせなが らなかなかスリリングに展開していきます.

(March 5, 2002)


Vlatko Stefanovski Trio (Macedonia)

Vlatko Stefanovski

Vlatko Stefanovski Trio (Third Ear Music 098/2)

Hard Rock, Fusion, Jazz Rock, Folk, Trad が混然一体となって 迫ってくるマケドニアの Leb I Sol のギターリストによるトリオ. 印象的なのは,テクニカルなハードロック的な曲をバルカン or 地中 海フレーズを炸裂させながら弾きまくるインストの曲ですね.ボーカ ル曲も数曲ありますが,独特な味があります.好き嫌いはわかれそう な曲ですけど.

バルカン色のあるハードな曲以外の独特な雰囲気のある曲や,美 しい曲も合って,なかなか面白いアルバムですね.MIDI ギターによ る演奏も良い味付けになってます.

(August 14, 1999)


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