「うわぁぁぁああああ!」

──な、なんだこれは?

これは間違いだ。
絶対何かの間違いだ。
間違いでなければ自分の勘違いだ。

そう。そう言えばここのところ、目が少々疲れていた。
マクベスと姉者につきあってパソコンディスプレーの設定を手伝ったりしていたから。
きっとこれは目の錯覚というものだろう。あるいは有名な蜃気楼というものかもしれん。
こんなものが見えるのは自分だけだ。
オレだけがおかしいんだ。
そう、絶対これは間違いだ。
こんなことが起こるわけないじゃないか。
オレは寝ぼけているんだ。

夢だ。
夢なんだ。
絶対、夢だ。
でないとこんなバカなことが起こるはずは──

必死に起こった事態を否定しまくる十兵衛の横でのんきな声がかかった。

「十兵衛、どうしたんだい。朝っぱらから大声出して」

隣でもこもこと布団が動き、んーーっとのびをする細い腕がのぞき、ついでまっすぐな黒髪で縁取られた整った顔が出てくる。

「花月…」

花月は寝ぼけまなこを自分に向けたあと、ややあって黒目がちの瞳を大きく見開き、ついで人差し指を唇にあて、ちょっとだけ首をかしげ、あっけらかんと目の前の事実を躊躇いもせず口にした。

「わぁ、十兵衛が女の子になってる」