・こんな特殊な真空管があることを知ったのは、30年以上昔の平成初め頃です。
クラシック・バルブという本に紹介されていました。
記事によると、1926年(昭和初期)にドイツのLOEWE(レーベ)社から発表された
真空管で、今で言うIC(集積回路)の元祖なような真空管です。
真空管と言うよりガラス細工の芸術品です、外形寸法は高さ約162mm、直径45mmです。
3NFと言う型名の真空管です。外見は6ピンのナス管で内部には、低周波増幅用の直熱型で円筒プレートの3極管が三つと抵抗4本、コンデンサー2本が
それぞれガラスに封印されて入っています。
真空管には、双3極管、3極5極管など複合管と呼ばれるものは多数ありますが、
抵抗、コンデンサーまで封じ込めたものは、3NFと同社の後継シリーズ以外知りません。
この様な特殊な真空管が作られた背景には、当時ドイツではラジオは贅沢品でこれにかけられる税金は、
真空管の数で決められていたそうです。
そこで税金を安くするためにこの様な真空管が作られたという説があります。
実は30年位前からこの球が欲しいと思っていましたが、品数が少なくて秋葉原で扱っている
店もありましたが、1本10万円位の値が付いていてとても買える代物ではありませんでした。
ところが昨年(2019年)の暮れに、ヤフオクで格安値段で出品されている3NFを発見し入札しました。
幸い入札者は少なく大きな値上がりはありませんでした。
ようやく長年の夢が叶って入手できました、ついでにソケットも欲しくなって探しましたが
発見できませんでした。
そんな時、セカイモンという海外の通販サイトを知り、ここで探すとドイツで1個だけ在庫品が見つかりました。
思わずすぐに購入手続きを行いました。
ソケットの単品価格は59ユーロでした、それに手数料がかかり約74ユーロ(¥9,500)、更に国内の通関手数料、
配送費で約¥2,700ほどかかりました。
注文から到着まで約3週間ほどでしたが、合計では球の落札価格と同じ位になってしまいました。
3NFの内部を見てみましょう。
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縦の太いのがコンデンサ |
両端が黒い電極の部品は抵抗 |
写真では見難いが上部横向きに2本、縦に1本3極管がある |
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ピン接続図 |
ラジオへの応用回路 |
レーベ社の単球ラジオ |
応用回路図で解るように、この球に入力同調回路と出力にマグネチックスピーカー、後は電源を
つなぐだけでラジオができます。
極力外付け部品を減らすために、電池接続がやたらと面倒です。
ただ、この回路で動作しても感度や選択度はあまり期待できません、鉱石ラジオに低周波増幅が3段付いたようなものなので。
この球を使ってラジオを作る気は毛頭ありません、あくまでコレクションです。
本当にガラス細工の芸術品に思えて、ずっと見ていても飽きません!!
大正から昭和にかけて、日本ではまだマツダ(東芝の前身)がUV199と言う3極管をやっと発売した頃です。
如何に技術レベルの差があったかわかります。
<ドイツから取り寄せた専用ソケットです>
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ソケット表面 |
ソケット裏面 |
ソケット横面 |
ソケットに挿入した写真 |
埃が付かぬよう飾るためガラスケースに収めようと、いろいろケースを探したところIKEAが販売している、
ヘルリーガのドームガラス(高さ27cm、直径14cm)が良さそうなので購入しました(¥1,999)。
ソケットの外形寸法は約8cm×8cmなので、最大径は11cm必要となりこのケースは適当なサイズです。
一方高さ方向は、真空管本体とソケット、支柱、底板で計21cmとなり約6cmの隙間が出来てしまいました。
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ドームガラス |
底板に支柱立 |
ソケット取付 |
ドームガラスに装着 |
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