ラジオ&真空管


真空管の部へ移動


・ラジオと私
 ラジオに興味を持ったのは、小学3年生(昭和34年頃)であったと思います。
 近所のお兄さんが鉱石ラジオを組み立てて、両耳式レシーバーで聞かせてもらったのがきっかけで
 その不思議な魅力にとりつかれてしまい、その延長上に今日があるような気がします。
 当時の電力事情は非常に悪く、台風ですぐ停電した。そんな時鉱石ラジオが活躍し台風情報を
 知ることができた。
 電気代がかからないので、寝ながら聞いたり朝起きる前に布団の中で聞いていた思い出があります。
 ここに紹介しているラジオは、昔を懐かしんで平成9年〜12年頃に作ったものです。

復刻版の固定鉱石検波器

その内部構造 鉱石は方鉛鉱


鉱石の表面に針を当てて感度の良い場所を
探すのはとても大変,針圧や同調も調整する
必要がある。鉱石には色々な種類があるが
最も一般的なのは方鉛鉱。
これに対してゲルマニウムダイオード
は比べ物にならないほど素晴らしい!!



ループアンテナを内臓した電池管再生式

その内部構造 電池管は1T4×3本

内部配線の様子


自作4球電池管スーパーラジオ

その内部(B電池は006P×8本)

電池管周辺の様子


メーカー製4球電池管ラジオ

その内部の様子(隙間無く部品が配置されている)

裏蓋に貼られている回路図


平成29年12月24日(日)久し振りにラジオをいじりました。
 もう今年も残すところ一週間となりました。
 年賀状も出したところで一休み、というところでラジオを聴きながら片づけものをしています。
 このラジオというのが約20年前に作った、真空管(電池管)を使用した4球スーパーラジオです。
 一応動作は正常ですが、電源表示ランプが無いので良くスイッチの切り忘れをしています。
 何しろ9Vの積層乾電池(006P)が8本(72V)と単一乾電池1本(1.5V)を必要とします。
 006Pは電気屋で買うと1本で400〜500円もしますが、ダイソー等で買うとアルカリ電池が一本100円で買えます。
 単一も含めて一式1000円で電池は揃います。100均の電池は使用時間が短いと言うことはありません。
 乾電池動作なので、パイロットランプの為に消費電力が増加するのは絶対ダメで、かつ動作に影響の無いよう考慮
 しました、ラジオの回路図は一般的なもので説明のための回路図です。


回路図上の変更箇所
 周波数変換の1R5やIF増幅の1T4はプレート電圧が45Vでも十分動作しますので、高周波部のB電源回路に直列にLED(青)
 を入れることにしました。
 こうすると3.5V程度のドロップはありますが、プレート電圧は60V以上は確保できるので動作には問題ありません。
 LEDに並列に入っているCはノイズ対策で、Rは輝度調節です。
 この様に高周波部のB電源電流で点灯すると、放送を受信した時にIF部の並列共振回路によりプレート電流がディップ
 するので、若干輝度が低下して同調指示のような動作をします。


電池管ラジオの内部 LEDを追加した場所


電源オフの状態 電源オンの状態

真空管の部


・真空管の思い出
 昭和30年代はモノクロテレビの時代で多くの真空管が使われていた。
 真空管は寿命が数千時間程度なので、1年位で不良になってしまうものもあり交換しても
 今度は別の真空管がだめになるので、当時の電気屋さんは非常に忙しかった。
 毎週の連続テレビドラマを楽しみにしていた頃、画面に斜めの太い線が入ってしまう状態
 になると、必死に直らないか同期つまみを一生懸命回したがそれで直らない時は、電気屋が
 来てくれるまではテレビが見れないため何度も悔しい思いをした。
 特に水平発振管や垂直発振管の特性劣化が多く、同期が取れなくなる故障が多かったように思う。
 昭和30年代の終わり頃には、ST管で初めて真空管ラジオを作ったりして真空管は大切な”友達”
 になっていった。
 その後、昭和40年代の終わり頃まで色々な真空管を使って無線機等を自作したため、今でも
 真空管には懐かしさと愛着を感じる。
 今でも当時の真空管は保存しており全部で数百本はある。
 特に懐かしいものはガラス瓶に入れて、机の上に飾っている。


最も有名な送信管UY-807

大型のカラーテレビによく使用されていた球


6146は50MHzでも安定に動作した

2E26には直熱管タイプの2E24もある


この球は特に格好が良く200MHz位まで安定動作

MT管だが430M帯で5W位出せる


この球もなかなか見栄えがする

2B52と共に思い入れが特別な球


435MHzのリニアに使用したセラミック4極管

X球は他に4X150Aもよく使用した


ライトハウス管は1970年代まで使用された

エーコン管は実際に使用経験はない

この球も実際に使用したことはない。
かなり大きい球で頑丈にできている。


・ 今も保存している真空管達

mT管、ST管、GT管等

数百本はあるが殆どはTV球のジャンク


5894(2B94)UHF送信管

S2001VHF送信管


2A3オーディオ出力管

5678サブミニチュア管

 今では使い道のないものばかりだが、捨てるに捨てられず保管している。
 そのうち機会があったら、UY-807PPのオーディオアンプでも作りたい!!



特殊な真空管

・こんな特殊な真空管があることを知ったのは、30年以上昔の平成初め頃です。
 クラシック・バルブという本に紹介されていました。
 記事によると、1926年(昭和初期)にドイツのLOEWE(レーベ)社から発表された 真空管で、今で言うIC(集積回路)の元祖なような真空管です。  真空管と言うよりガラス細工の芸術品です、外形寸法は高さ約162mm、直径45mmです。

 3NFと言う型名の真空管です。外見は6ピンのナス管で内部には、低周波増幅用の直熱型で円筒プレートの3極管が三つと抵抗4本、コンデンサー2本が それぞれガラスに封印されて入っています。 真空管には、双3極管、3極5極管など複合管と呼ばれるものは多数ありますが、 抵抗、コンデンサーまで封じ込めたものは、3NFと同社の後継シリーズ以外知りません。

この様な特殊な真空管が作られた背景には、当時ドイツではラジオは贅沢品でこれにかけられる税金は、 真空管の数で決められていたそうです。 そこで税金を安くするためにこの様な真空管が作られたという説があります。

実は30年位前からこの球が欲しいと思っていましたが、品数が少なくて秋葉原で扱っている 店もありましたが、1本10万円位の値が付いていてとても買える代物ではありませんでした。 ところが昨年(2019年)の暮れに、ヤフオクで格安値段で出品されている3NFを発見し入札しました。 幸い入札者は少なく大きな値上がりはありませんでした。

ようやく長年の夢が叶って入手できました、ついでにソケットも欲しくなって探しましたが 発見できませんでした。 そんな時、セカイモンという海外の通販サイトを知り、ここで探すとドイツで1個だけ在庫品が見つかりました。 思わずすぐに購入手続きを行いました。 ソケットの単品価格は59ユーロでした、それに手数料がかかり約74ユーロ(¥9,500)、更に国内の通関手数料、 配送費で約¥2,700ほどかかりました。 注文から到着まで約3週間ほどでしたが、合計では球の落札価格と同じ位になってしまいました。


 3NFの内部を見てみましょう。

縦の太いのがコンデンサ

両端が黒い電極の部品は抵抗

写真では見難いが上部横向きに2本、縦に1本3極管がある


ピン接続図

ラジオへの応用回路

レーベ社の単球ラジオ


 応用回路図で解るように、この球に入力同調回路と出力にマグネチックスピーカー、後は電源を つなぐだけでラジオができます。
 極力外付け部品を減らすために、電池接続がやたらと面倒です。
 ただ、この回路で動作しても感度や選択度はあまり期待できません、鉱石ラジオに低周波増幅が3段付いたようなものなので。
 この球を使ってラジオを作る気は毛頭ありません、あくまでコレクションです。
 本当にガラス細工の芸術品に思えて、ずっと見ていても飽きません!!
 大正から昭和にかけて、日本ではまだマツダ(東芝の前身)がUV199と言う3極管をやっと発売した頃です。
 如何に技術レベルの差があったかわかります。

 <ドイツから取り寄せた専用ソケットです>

ソケット表面

ソケット裏面

ソケット横面

ソケットに挿入した写真



埃が付かぬよう飾るためガラスケースに収めようと、いろいろケースを探したところIKEAが販売している、 ヘルリーガのドームガラス(高さ27cm、直径14cm)が良さそうなので購入しました(¥1,999)。
ソケットの外形寸法は約8cm×8cmなので、最大径は11cm必要となりこのケースは適当なサイズです。
一方高さ方向は、真空管本体とソケット、支柱、底板で計21cmとなり約6cmの隙間が出来てしまいました。

ドームガラス

底板に支柱立

ソケット取付

ドームガラスに装着

 
<ホームへ戻る>