(01/2/8作成)
(01/3/6掲載)
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Charles Camille Saint-Saëns(1835-1921) |
今回私たちが演奏するのは交響曲「第3番」。大変に有名な曲ですから、コンサートでたびたび演奏されていますし、録音も数多くあります。「第3番」というぐらいですから、これ以前には「第1番」や「第2番」も作曲されていたのでしょう。しかし、実際にはさらに2曲、つまり、実際に演奏可能な交響曲が、「第3番」の前には4曲も存在しているのです。この他にも、完成には至らなかったものもいくつか残されています。
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では、これらのあまり演奏されることはない4曲の交響曲を聴いてみましょうか。
■交響曲イ長調
第1楽章 Poco Adagio-Allegro vivace
序奏を持つソナタ形式。シューベルト風。木管が活躍。さわやかな曲想。
第2楽章 Andantino
木管の序奏に続いて、サン・サーンスらしい美しいメロディーが弦楽器で。後半は短調に。同じメロディーが2回目は木管で飾られる。再度短調の部分をはさんで、最後は木管がメロディーを。
第3楽章 Scherzo vivace
軽やかなスケルツォ。中間部はトリオという感じではなく、かなり重たい。
第4楽章 Finale : Allegro molto-Presto
ソナタ形式。メンデルスゾーン風。とってつけたようなコーダ。
■交響曲第1番変ホ長調
第1楽章 Adagio-Allegro
シューマン風。ファンファーレあり、メロディアスな部分ありと、感情の振幅が激しい。
第2楽章 Marche-Scherzo : Allegretto scherzando
木管とハープによるチャーミングなテーマ。トリオはメンデルスゾーン風スケルツォ。
第3楽章 Adagio
チャイコフスキー風の甘いメロディー。ベルリオーズ的な雰囲気も。
第4楽章 Finale : Allegro maestoso
アタッカ。高らかに鼓舞する堂々とした曲調。ワーグナーの雰囲気が無くもない。後半の対位法的な部分がサン・サーンス的。
■交響曲へ長調「首都ローマ」
第1楽章 Largo-Allegro
ファンファーレ風のコラールで始まる。スケールの主題によるアレグロの主部は、テーマの貧弱さもあって、魅力に欠ける。
第2楽章 Molto vivace
スケルツォ風、軽快な2拍子の楽章。中間部では木管が活躍。
第3楽章 Moderato assai serioso
葬送行進曲風の重苦しいテーマ。平穏な部分を2回はさんで、冒頭のテーマが繰り返される。
第4楽章 Poco Allegretto-Andante con moto
パッサカリア風の変奏曲。ブラームスの「ハイドン変奏曲」のようなおもむき。
■交響曲第2番イ短調
第1楽章 Allegro marcato-Allegro appassionato
ヴァイオリン、木管のソロによるレシタティーヴォが入る風変わりな序奏。息の長いテーマが特徴的な主部。
第2楽章 Adagio
3拍子のチャーミングなテーマ。シューベルト的な香りも。
第3楽章 Scherzo presto
ヘミオレが入ったスケルツォ。シンコペーションを多用したトリオだが、スケルツォにはもどらずそのまま終わる。
第4楽章 Prestissimo
サルタレロ風の軽快な楽章。やはりシューベルトの匂いが残る。コーダでいきなり穏やかなエピソードが挿入され、最後は軽快に終わる。
CDリスト
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ジャン・ジャック・カントロフ指揮 タピオラ・シンフォニエッタ BIS BIS-CD790 |
(収録曲) 交響曲へ長調「首都ローマ」 交響曲第2番 |
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ジャン・ジャック・カントロフ指揮 タピオラ・シンフォニエッタ BIS BIS-CD956 |
(収録曲) 交響曲イ長調 |
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ヤン・パスカル・トルトゥリエ指揮 アルスター管弦楽団 CHANDOS CHAN8822 |
(収録曲) 交響曲第2番 交響曲第3番 |
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ジョルジュ・プレートル指揮 ウィーン交響楽団 ERATO 3984-24236-2 |
(収録曲) 交響曲第1番 交響曲第2番 |
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ジャン・マルティノン指揮 フランス国立放送管弦楽団 EMI CZS 569683 2 |
(収録曲) 交響曲イ長調 交響曲第1番 交響曲へ長調「首都ローマ」 交響曲第2番 交響曲第3番 |
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イヴァン・アンゲロフ指揮 スロヴァーク放送交響楽団 ARTE NOVA 74321 80795 2 |
(収録曲) 交響曲第1番 ![]() |
カトリーヌ・コメット指揮 グランド・ラピッズ交響楽団 KOSS 2217 |
(収録曲) 交響曲第1番 交響曲第2番 ![]() |