ネットスケープユーザーの方は、「表示(V)」の「フォントを大きくする(C)」をクリックして、2段階ほど文字を大きくしてからご覧ください。
ドヴォルジャーク(いわゆるドヴォルザーク)を始めとして、チェコあるいはスロヴァキアには、有名な作曲家がたくさんいますし、多くの演奏家が世界中で活躍しています。
ところで、これらの人の名前を原語で見てみると、何だかアクセントみたいな記号がいっぱい付いていて、どう読んでいいのか分からないものがありますよね。そんな時にお役に立つのが、この講座です。
■「アクセントみたいな記号」の正体
チェコ語で用いられるアルファベットは、基本的には英語と同じ26文字だけで、ロシアや北欧のような特殊は文字(や
)は使われていません。ただ、次の3つの記号を用いることによって、発音を変えています。
![]() |
このうち、チャールカとクロウジェクは、母音に付いてその音を長く(2倍の音価に)するはたらきがあります。クロウジェクはが単語の一番最後にある時だけ
という形でつかわれますが、これは
と全く同じ発音です。
ハーチェクは主に子音について、その音を軟音化するはたらきがあります。(わーっ!「軟音」なんて言葉初めて聞いた、という方。ご安心ください。あとでちゃんと説明しますよ。実は私もこれは初めて知った言葉なのです。)
■母音
日本語と同じ[ア]()、[イ](
または
)、[ウ](
)、[エ](
または
)、[オ](
)の5種類(表記は7種類)しかありません。発音も日本語とはぼ同じです。これにチャールカがつくと長く伸ばす音になります([アー]とか)。ただし、前に述べたように
を伸ばすときにはクロウジェクがつくことがあります。したがって、長く伸ばす母音の表記は、
、
、
、
、
、
、
の7種類ですから、母音の表記は全部で14種類になります。
さて、問題は[イ]と[エ]の場合。それぞれ2種類の表記がありますね。これは前につく子音の発音を変えてしまうもので、たとえば、
、
の後に
と
がつけば硬音、
と
がつけば軟音となるのです。
さあ出ました。硬音と軟音です。これは実例を見た(聴いた)ほうがわかりやすいでしょう。
まず[イ]の場合。
![]() |
ねっ。硬音というのは英語のような発音、それに対して軟音は日本語のような発音ってことです。
さて、[エ]の場合の軟音()はもっと軟らかくなって、粘りのある発音になります。
![]() |
さらに、の後についた
は、[ムニェ]と発音されますし、
、
、
、
以外の子音の後についた
は、[ィェ]となります。たとえば、
は[ピェ]、
は[フィェ]と発音されます。
■子音
チェコ語独特の読み方をするものをまずご紹介しましょう。
:[(ル)ジュ]
に登場する、日本語には全くない発音です。巻き舌の[ル]と[ジュ]を同時に発音します。
:[ツ]と発音します。
:[チ]と発音します。
:[フ] と発音します。
:[シュ] と発音します。
:[ジュ] と発音します。
:英語の子音
と同じ発音です。
その他の子音は、英語と同じ読み方でほぼ間違いありません。
■アクセント
チェコ語では、アクセントは常に第1音節にあります。つまり、常に最初に出てきた母音を強く読めば良いのです。
さあ、これであなたはチェコ語の発音については完璧にマスターしたはずです。(本当は、子音が最後にきたときとか、二つ続いた場合の変化とかややこしい法則があるのですが、それはこの際おいといて。)あとは、実例を見ながら練習するだけです。
■練習問題
【問1】
次の有名な指揮者の名前を日本語で表記せよ。
![]() |
![]() |
【問2】
次の有名な作曲家の名前を日本語で表記せよ。
![]() |
![]() |
【問3】
次のあまり有名でない作曲家の名前を、日本語で表記せよ。
![]() |
解答はこちら
参考文献
石川 達夫著 チェコ語初級(大学書林 1992)