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〔074〕 少子化・核家族化でペットも家族の一員に 加熱するペット市場
【2005/06/15】

 中国では、ペットといえば圧倒的に犬が多く、都市部の富裕層を中心にペットを飼う人が急増している。ペット市場が国内でもっとも急成長しているとされる上海では、スーパーマーケットでもペットフードなどの関連商品が置かれ、ペットショップも次々に開業する。

 「現代中国人にとって、犬は食材からペットの対象に変わり、ペット業界はじゅうぶんに採算が見込めるようになった」

 最近のペット事情をこう語るのは、複数の会社を経営する中国人実業家だ。

 「公安などの関係機関が、犬の仕付けやトラブル防止策講座を開催するようになり、ペットは今や社会的関心事になった。富裕世帯では毎月、平均500元ほどをペットのために消費している」

 500元といえば、他地域から上海に仕事を求めてやってきた外地人の1ヶ月分の給料とほぼ同額。「動物に人の月給分の金額を消費する経済行動には疑問だ。もっと有効なカネの使い方を考えるべきだ」という批判がある。

 90年代半ばから、行政側はペット対策として、主要都市を中心に養犬管理規定を施行。犬を飼うには居民委員会への届け出、公安局での登記など煩雑な手続きを義務づけ、1000元を超える高額な登録費を徴収してきた。

 公安局は「査狗」と称して、ペット犬の取り締まりを強めてきた。03年には、未登録で犬を飼っていたために、公安局に飼い犬を取り上げられてしまうという物語の「卞拉是條狗」という映画も公開された。

 ところが最近では、各市人民政府は制度変更を行い規制緩和を進めだしたことから、今後ますますペットを飼う世帯が増加し、ペットにかける費用も増額すると予想されている。

 これを好機ととらえ、先の実業家はトリマー養成の専門学校を年内に上海で開校する予定だ。さらにペット同伴可能のレストランやホテル経営に乗り出すとともに、海外旅行がブームとなっとなったことから、旅行中にペットを預かるペットホテルの建設も計画中だ。

 しかし急激にふくれあがったペット市場だけに、さまざまな問題が表面化。病気にかかった犬でさえ、どうどうと売られてたりしている。

 犬の仕入れ先は、大半が黒竜江省や遼寧省などの東北部から。このため気候や風土に適応できず、すぐに病死してしまう例も珍しくない。悪質なペットショップでは、病気の犬を安値で売り抜くといったことも日常的に行われていると噂される。

 「トラブル防止のための対応策に、実は問題が多い」という声がある。東北部で仕入れ上海に犬を運ぶ業者は、「住民の健康や安全を守るための手だてが確立されていない」と訴える。

 「ペットの売り主は言葉巧みに売り払い、検疫機関はろくに検査もしない。証明書の発行に際しては賄賂が要求され、まともな対応がなされていない」

 中国人の間では、以前から狂犬病は死亡率の高い感染症として恐れられている。

 「しかし、富裕層の欲望はたくましく、今後、プードルやマルチーズといった西洋犬がもてはやされると、次の商売をもくろむ業者もいる。それだけに、対応が急がれる」と、あるペット業者は忠告する。

 現地紙は、中国のペット総数はすでに1億匹を超えたと報じる。食糧安定確保を目的に、ペットを厳しく制限していた時代はすでに過去のこと。少子化や核家族化が進み、家族の一員にとしてペットをかわいがる世帯も多く、加熱するペット市場に日本企業も進出しつつある。


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