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〔073〕 日本関連の番組に抗議が殺到 深く潜行する中国の反日感情
【2005/05/20】

 4月に多発した、日本の歴史教科書や国連の常任理事国入りなどに反対する中国でのデモは、中国人の間に反日感情がいかに根強く存在しているかを、日本人に改めて思い知らせた。同時に、日本と中国両政府の硬直ぶりを内外に露呈させた。

 小泉純一郎首相の靖国神社参拝問題に関して、首相自身は国会で「他国は干渉すべきではない」、今年の参拝時期については、「いつ行くか、適切に判断する」と答弁し、参拝に問題はないとする考えを強調。日本国内の世論や隣国の声をまったく聞こうとせず、対話への可能性を断ち切ることにつながるかたくなな姿勢を崩さない。

 中国政府は、デモ拡大の危機感をいだくと、デモの権利を憲法で保障しながら一方的にデモを禁止する強行処置をとり、国民の基本的権利さえ政府の一存でどのようにでもコントロールできるとする、従来通りの強権ぶりをさらけ出した。

 解決すべき問題がいくつも浮上したにもかかわらず、結局、日本では将来の展望さえ見いだせなくする首相の独善的姿勢が、中国では法治よりも人治を優先するという政府の姿勢が押し通されただけ。日中ともに根本的な解決につながる具体策さえ出せず、うやむやのままにされようとしている。

 しかし、中国国内には、中国人でさえ驚く反日感情の根深さ象徴するやっかいな事態が広がりつつある。

 「長年、中日間の友好に寄与できると思い番組に取り組んできたが、これほど若者の間に反日感情が根付き渦巻いているとは想像もしなかった」
 日本と深い関係を保つ親しい人物に、テレビ番組のスタッフがこうもらした。

 その番組は、中国と日本の主要ニュースのほか、日中間の文化や生活習慣などの差異をテーマとして取り上げてきた。放送開始以来、10年近くになろうとする長寿番組だ。

 ところが、反日デモが頻発してから、なぜ日本を賛美する内容を放送するのか、といった投書が番組宛に多数寄せられるようになった。この中で、番組関係者を深く落胆させたことがある。

 どちらか一方に肩入れするような番組作りは行っていないという自負がある当事者を驚愕させたのは、マスメディアを監督、指導する言論統制機関として嫌われる宣伝部にまで、「日本を取り上げること自体が愛国主義に反する」「番組を即刻、中止すべきだ」といった投書が送られていたことだった。

 「何が若者たちをここまで反日へと駆り立てるのか、わからない。投書の文面を読み続けて理解できたことは、日本に対する反感が異常に強いことだけ。ただし、書かれている内容から読み取れるのは、若者が日本の実情を正しく理解していないことだ」

 簡単に送ることができる電子メールではなく、「抗議文を書き切手を貼って投函してくる投書が数多く送られてきたことから」、番組関係者は若者たちにアンケート調査を行った。

 日本と聞いてイメージする言葉は何か? この問に対する圧倒的多数は「戦争」。若者たちに広く浸透していると思われていた「漫画」「アニメ」「富士山」といった言葉は、かなり順位が低いという結果が出た。

 中国で報道される日本に関する記事を、長年にわたって調査する中国人記者はこう分析する。

 「中国国内で伝えられる日本情報は、批判的な内容が多い。在日中国人ジャーナリストが書き送る記事も、意図的と思える反日記事が多い。こうした報道姿勢が積み重ねられ、日本人の友人・知人を持たない若者たちが、ひとりよがりの反日感情を増幅させているのも一因だ」

 政府によって、デモや抗議活動は押さえ込まれ、関連するホームページやブログ、掲示板などへの接続さえ遮断されている。その結果、番組中止を要求する投書といった動きで、反日感情が若者の間に息づいているとも考えられる。

 「放送時間変更を検討するように」、番組は宣伝部から指示をうけるようになったという。


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